免疫を活性化させる方法手段


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ドラックリポジショニングとは「既存の薬を他の疾患の薬として位置づけして使う」という意味になります。
 
既存の薬を他の疾患にも応用することからこの様な名称がつけられています。
 
既にドラックリポジショニングとして活用されている例もあります。
 
新薬の開発には多額の資金と期間が必要になります。
 
例えばひとつの新薬を作るには化合物の基礎研究から始まって動物や人への臨床試験を経て長い場合は15年、その開発費用が1000億円近くもかかるといわれています。ばく大な時間と費用を投資しても結果的に薬になるのは3万分の1という極端に低い確率です。
 
このような薬剤開発の環境の中で、開発費や開発期間を大幅に減少させることが出来るのがドラックリポジショニングです。
 
新薬の開発の時間や費用を考えると、既存の薬を応用して他の病気の治療薬にできれば、病気で苦しんでいるご本人やご家族に対しても大変大きなメリットがあります。
 
新薬開発の関係者は、薬にはひとつの病気に対しての作用だけでなく、複数の疾患に対して作用があることが解明され、ひとつの薬で多い場合10以上の作用を持っている可能性があると報告しています。
 

   
既存薬を活用するドラックリポジショニング

 

現在、ドラックリポジショニングとして期待されている薬が糖尿病薬のメトホルミンと高脂血症薬のスタチンです。
 
糖尿病薬のメトホルミンは、がんの治療に効果があることが分かってきました。
 
また、高脂血症薬のスタチンが脳梗塞の発症を抑制することが解明されました。
 
現在臨床試験中ですが、近い将来ドラックリポジショニングとして活用されると思われます。

 

心不全の薬「カルペリチド」が肺がんの転移を抑える

 

国立循環器病研究センターの研究では、心不全の薬「カルペリチド」が肺がんの転移を抑える働きがあることがわかり、ドラックリポジショニング候補薬として全国10か所の医療機関で臨床試験が始まっています。
 
カルペリチドの新たな作用を発見した医師は、循環器科の外科医でしたが呼吸器科の他の病院に異動になり、そこで肺がんの術後の患者に心臓への負担を抑えるカルペリチドを投与しました。
 
患者は心臓の大きなトラブルもなく順調に回復していきました。
 
そして、患者の予後データを調べていた医師はあることに気づきました。
 
それは、肺がんは転移する確率が高く5割と高いところ、「カルペリチド」を投与した患者では転移が3割に抑えられていることに気付いたのです。
 
現在、カルペリチドは臨床試験中で、カルペリチドの投与を受けた77名中で9割が2年経過しても転移をしないという良い結果が得られています。

 

「カルペリチド」のメカニズム

 

カルペリチドが血液中の「E-セレクチン」の増加を抑えていることを突き止めました。
 
この「E-セレクチン」は血管の中に炎症が起こるのを促進させる物質です。
 
炎症が起こると血中に大量の物質が流れます。
 
この物質を血管の壁に抑えてしまうのが「E-セレクチン」です。接着剤の役割をしています。
 
肺がんの手術で多くの「E-セレクチン」が発生して、ここにがん細胞が付着することで転移が起きるのです。
 
カルペリチドが「E-セレクチン」の発生を抑制する作用があることが分かったのです。
 
この作用により、がん細胞が血管壁に付着しにくくなって転移を防ぐことができるのです。

 

C型肝炎治療薬「リバビリン」はがん細胞の抗がん剤耐性を壊す

 

日本が発信したドラックリポジショニングもあります。
 
2015年にC型肝炎の治療薬「リバビリン」が前立腺がんに対して効かなくなった抗がん剤を再び効くようにさせる作用を発信しました。
 
前立腺がんに長期に抗がん剤を使用すると、がん細胞が耐性を持ち抗がん治療を断念せざるを得ないケースがあります。
 
「リバビリン」に抗がん剤の効果を再び引き出してくれる作用が解明されてドラッグリポジショニングとして注目されています。

 

「リバビリン」のメカニズム

 

がん細胞は放置すれば永遠に分裂増殖します。抗がん剤はがん細胞をたたいて増殖を抑える薬ですが、抗がん剤を使い続けると、がん細胞は生きるために防衛策として自分の周りに殻を作って防御します。これは薬剤耐性といいます。
 
薬剤耐性を持った状態のがん細胞に「リバビリン」を投与するとこの殻が壊れるため再び抗がん剤が効くようになります。
 
 
ドラックリポジショニングのお話いかがでしたか、以前開発した薬が他の病気にも効果があれば薬の開発費用も低減できて、しかもいち早く効果のある薬を患者さんの元に届けることができるのです。


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