がんの臭いが好きな線虫
がんなどの病気の種類で臭いが異なる
日本医科大学の研究では、「がん探知犬」は、がん患者の尿を嗅ぐことで「子宮がん、卵巣がん、乳がん、胃がん」などの識別できると発表しています。
がんに限らず、病気にかかった人は体内の組織などが変化することによって特有の臭いを発するといいます。
昔から「糖尿病」の方の体臭や尿は甘酸っぱい臭い、「慢性肝炎」を患っている方は「カビ臭い」体臭がするといわれてきました。
「口臭治療ガイドライン」では「腐った卵の臭い」の口臭は胃がんの可能性があるとしていますが、体内のがん細胞の壊死による腐敗臭などが原因のようです。
名古屋大大学院の研究チームは2011年に大腸がん患者のおならから極端に多い量のメタンチオールが検出されたと発表しています。
このメタンチオールが大腸がん患者の場合は、健常者の10倍以上の高い値が検出されたと報告しており、メタンチオールは「腐ったタマネギ」の様な臭いです。
東大生物化学研究室の発表では、乳がんおよび頭頸部がんから採取した臭いの原因物質のひとつとしてジメチルトリスルフィドを特定しています。
ジメチルトリスルフィドは、有機硫黄化合物で新鮮なタマネギのような臭いの無色ないし淡黄色の液体で、ホップ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどに存在する物質です。
2014年1月、ドイツ・コンスタンツ大学からは「キイロショウジョウバエ」が、がん特有の臭いをかぎ分ける能力をもっていると発表しています。
線虫は尿一滴でがんの臭いをかぎ分ける
線虫を活用すれば、尿一滴でがんの有無と種類を判定する方法を開発したと九州大学が発表しています。
線虫は、線形動物門に属する動物で、骨はなく、摂食、消化、感覚、運動、生殖など人間と同じような重要な器官を有している生物です。
九州大学は、この線虫ががんの臭いを好んでいるこてを発見し、尿がわずか一滴あれば、がんの有無と種類を特定するが出来ると驚きの発表をしました。
この線虫の嗅覚を用いたがん診断テストは「n-nose」と呼ばれています。
現在、主流を占めている血液検査の腫瘍マーカー検査(CEA)でがん患者をがんと診断できる確率が25.0%であるのに対して、「n-nose」では 95.8%という圧倒的な確率の高さで判定できる報告しています。
「n-nose」は圧倒的な判定精度の他にも多くのメリット
◎医療機関へ行かなくても尿一滴で検査が可能、検査キット又は郵送による検査。
◎検査結果が短時間(1時間30分)。
◎1検体あたり数百円で検査が可能、しかも早期発見が難しいすい臓ガンを含めて10数種類のガンの検出が可能。
◎腫瘍マーカーでは難しい早期ガンの検出が可能。
2016年12月に発表された臨床検査結果では「n-nose」の感度は90.5%と報告されていますので非常に高い確率で早期のがんも発見できることが証明されています。
忙しくて時間が取れなくてがん検診に行けない人も多くいると思います。検査をしなかったためにがんが進行し手遅れになった話も聞きます。
1日も早く「n-nose」検査が受けられるようになれば良いですね。
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