朝型に変えれば免疫力が向上して正常に
朝型の規則正しい睡眠は、健康維持のみならず、がんなどの生活習慣病の予防においてもとても重要であることが知られています。
石器を使った猿人が誕生したのが約200万年前以降、電気がなかった昔は太陽が沈めば休み、日がのぼれば起きて活動する生活をしていました。人間は長い期間この自然のリズムにあわせて生活をしてきたためDNAもそのようにプログラムされています。
ところが、近年は社会の24時間化が進み昼と夜の区別が薄れ本来の人間の姿ではなくなり、人類の長い生活習慣から確立されたDNA に逆らった生活をしています。
乱れた生活リズムや睡眠不足から交感神経の緊張状態が長く続き、がんをはじめとして様々な生活習慣病に繋がっていると考えられています。
そのDNAの証が「サーカディアンリズム」と呼ばれる生まれつき持っている昼と夜のリズムであり、夜明けとともに交感神経を活性化させて活動し、日没とともに副交感神経へスイッチを切り替えて休息するという本来の人間のリズムなのです。
自律神経のバランスが大切
心臓の鼓動や血圧や発汗など自分で意識的にコントロール出来ない自律神経には交感神経と副交感神経の2つあることは広く知られています。
緊張状態の時に活発になるのが交感神経で神経伝達物質のアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。
リラックス時に活発になるのが副交感神経で神経伝達物質のアセチルコリンが分泌されます。
人の細胞は60兆個もあることが分かっていますが、この全ての細胞が自律神経の支配を受けていて神経伝達物質が神経末端から分泌され、どの細胞を休ませてどの細胞を働かせるかを瞬時にコントロールしているのです。
例えば、副交感神経が活発に働けば、心臓のはく動を緩やかにして血管を拡張させて血流を促し血圧を下げるように働きかけます。副交感神経の状態はリラックスモードとなり空腹感が生じたり、大腸のぜん動運動が活発になって排便を促進させます。
これとは逆に交感神経が活発になると心臓のはく動が速くなって血圧も上昇します。
ストレスが強い状態が長く続けば交感神経が活発になった状態が長く続くことになり、副交感神経との切り替えがスムーズに出来なくなることで食欲がなくなり、眠れないといった症状が起こりやすくなります。
この時の生体反応は、脈拍が速くなり血管を収縮させて血流も速くなります。血管収縮が続くことで血流障害が起こり低体温症になります。
顆粒球が増えすぎるとがんなどのリスクが高まる
交感神経が優位の状態が続くと白血球の顆粒球が増えすぎ生活習慣病のリスクが高まります。
免疫細胞の白血球には、マクロファージと顆粒球、リンパ球の3種類があります。
マクロファージは、貪食細胞とも呼ばれ細菌やウイルスなどの有害物質が体内に侵入すると、とにかく片っぱしから食べてしまいます。
また、マクロファージは、体内に異物が侵入すると顆粒球やリンパ球を誘導します。
自律神経の交感神経が活発な状態ではマクロファージは顆粒球を増殖させるように誘導し、逆に副交感神経が活発な状態の時はリンパ球を増殖させるように誘導します。
顆粒球は、体内に侵入した異物に対して分解酵素と活性酸素を使って破壊することで感染症などを防いでいます。
交感神経が優位な状態が続くと低体温になり、顆粒球が増えすぎ活性酸素も増えるため常在菌と反応して粘膜の炎症を起こして胃潰瘍や歯周病などを引き起こします。
また、血流障害はミトコンドリアの酸素が十分に供給されず、エネルギーの産生が低下して疲れやすくなり免疫力が低下します。
交感神経が活発な状態は、遺伝子損傷の原因となる活性酸素の発生を招き細胞を傷つけてがん発生の原因である細胞のミスコピーを誘発しやすくなるのです。
この様な状態が繰り返し起こることでがん細胞を死滅させることが出来なくなりがん細胞が増殖することになります。
交感神経状態の継続 → 顆粒球の過剰増殖 → 細胞の損傷、生活習慣病
一方、副交感神経が優位な状態では、リンパ球のNK細胞やヘルパーT細胞が増殖してがんのもとを消去します。
しかし、副交感神経が優位な状態が長く続くと、リンパ球が過剰に増殖し過ぎて体内に侵入した異物に対して過剰反応を起こすことにり、害のない花粉などに対して反応するためアレルギー症状を引き起こしやすくなります。
副交感神経の継続 → リンパ球の過剰増殖 → アレルギー疾患
自律神経は免疫機能と深くかかわっているので、交感神経と副交感神経のバランスが取れていることが大切です。
特に朝早く起きて昼間に活動して、夜にリラックスする生活スタイルの人は健康状態が良い人が多いのです。
逆に夜に活動的で長時間の仕事を続けていたり、夜のお付き合いやゲームなどをして遊んでいる人は交感神経を緊張させている状態が続くため健康状態は悪くなります。
年齢とともに免疫力は低下します。40代から50代にかけて朝型の生活スタイルに切り替えることが重要です。
深夜勤務の看護師を対象とした調査によれば、深夜勤務前よりも深夜勤務後は白血球が有意に減少していることが分かっています。
朝型生活ががんなどの生活習慣病を予防
睡眠時間は人それぞれで、決まった睡眠時間があるわけではありませんが、一般的には6時間から7時間が適正といわれています。
睡眠中は副交感神経が極限状態であり、リンパ球や成長ホルモンなどの体に有益な物質が多く分泌されます。
繰り返しになりますが、人間は昔から夜明けとともに起きて日が沈めば休むという一日のサイクルを持っています。
昼間は、交感神経が優位となり、夜は自然に副交感神経が優位になるようにDNAに記憶されているのです。
この点からも、極力、夜更かしをしないで朝型の生活を習慣化することが、白血球などの免疫機能を正常化させて、がんなどの様々な生活習慣病を予防することができるのです。
朝起きて朝日を浴びることで体内時計が正常化して免疫力も正常化します。夜更かしは止めて朝方の生活習慣に切り替えましょう。
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