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人体は巨大なネットワーク

 

人体のネットワーク 

 

NHK総合テレビの「NHKスペシャル」シリーズ人体 プロローグ「神秘の巨大ネットワーク」をまとめて記事にしました。
 
ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥先生が司会、案内役としてご出演されていました。
 
中山先生は、この番組の最後で「現在、人体の働きで分かっているのは、全体を100とすると、まだ10程度であり、未知の部分が多い」と仰っていました。
 
今回放送された重要なテーマは、「脳を介さずに全身の各臓器が臓器間でメッセージ交換をして私たちの健康を守っている」ということでした。
 
 
指令を出しているのは脳だけではない
 
これまでは、体の指令は全て脳が出して全身をコントロールしていると考えられていました。
 
ところが、最新科学の研究で体中の各臓器同士がメッセージを出して直接やり取りをしていることが分かったのです。
 
脳が一番偉いと考えられていましたが、脳を含めた全ての臓器が一律に正常に働いくことで健康を維持できていることが解明されたのです。
 
各臓器同士の会話が分かれば、健康の維持や身体の若々しさを保つ秘訣が分かってくるのだそうです。
 
逆に深刻な病気も臓器同士のコミュニケーションの異常によって起こっているというのです。
 
病気にならず、健康であるのは全身の全ての臓器が声を出して調和している生命維持されているからといいます。
 
今、医療の世界では大革命が起こっており、がんや糖尿病、高血圧などの生活習慣病や関節リウマチなどの自己免疫疾患などの難病も新しい治療法が見えてきたそうです。

 

   

 

私たちの体は巨大なネットワーク

 

ハワードヒューズ医学研究所に顕微鏡開発でノーベル化学賞を受賞したエリック・ベツィグさんが作った新時代の顕微鏡は100分の1ミリにも満たない免疫細胞が躍動的な動きをコンピューター上に立体的に映し出しました。
 
この最新の顕微鏡を使って、免疫細胞ががん細胞に食らいつき攻撃物質を出して貪食している姿も映し出されました。
 
また、免疫細胞が血液中をパトロールしているや血栓が血管を詰まらせる画像も見ることができました。
 

 

例えば、腸のメッセージのやり取り

 

この最新の顕微鏡を使って腸がメッセージ物質を放出している様子を観察することができました。
 
大腸の腸壁は絨毛、さらにその表面は微絨毛で覆われています。
 
その微絨毛の細胞から10万分の1ミリの極小の物質が放出され、血液にのって全身に運ばれ、脳や胃や膵臓など他の臓器にメッセージを伝えているところが映像で紹介されました。
 
これは大腸は栄養や水分を吸収する働きがありますが、栄養分が腸に届いたことを全身の臓器に伝えているのです。
 
このように全身の全ての臓器から様々なメッセージ物質が放出されていることが分かったのです。

 

 

心臓からの緊急メッセージ

 

人体のネットワーク 

 

心臓からも他の臓器に伝えるメッセージが発せられています。
 
この心臓が出すメッセージ物質はANPと名付けられています。
 
この物質を発見したのは国立循環器病研究センター研究所長の寒川賢治(かんがわけんじ)先生です。
 
血圧が上昇すると心臓に負担がかかりますが、心臓はメッセージ物質のANPを放出して、「疲れた」、「しんどい」のメッセージを発します。
 
このメッセージは、血管から全身に伝わり、臓器の一つである腎臓がメッセージを受けると、腎臓は尿を増やして、体内から水分を排出することで心臓の負担を軽くするように働きました。
 
この一連の働きには、脳が全く関与せずに成り立っているとが分かったのです。

 

 

なぜ心臓がANPを発すると楽になるのか

 

実は、血管壁にはANPを受け取る受容体があり、ANPを受け取ると血管内壁のささくれを修復することで血液がスムーズに流れるため心臓を楽になるのです。

   

 

 

がん治療に「ANP」を応用する

 

心臓が出しているこのANPを、がん治療に応用することができるのです。
 
がんの手術の時にこのANPを投与することで大幅に転移が抑制される結果が報告されました。
 
このANPを使わない場合は、2年間での「再発率が67%」であったのに対して、ANPを使った場合には「95パーントも再発が見られない」という結果が紹介されました。

 

 

ANPはがん細胞の転移を防ぐ

 

がん細胞は手術後に分散して全身を巡り、血管が傷んでいるとそこから侵入して転移、再発を起こすことが分かっています。
 
手術の時に患者にANPを投与することで、傷んだ血管壁を修復してがん細胞が入り込むすき間を無くすので転移を予防することができるのです。

 

 

全ての臓器からメッセージが放出され体に影響

 

メッセージ物質は、現在数百種類ほど発見されているそうですが、世界の研究者が新たに治療に結び付けるために日夜研究を続けています。
 
ほんの一例ですが、以下にご紹介いたします。
 
「脂肪細胞」
脂肪細胞もメッセージを出しています。
 
脂肪細胞は脳にメッセージを出して、脳に働きかけて食欲や性欲コントロールをしていることが分かっています。
 
 
「大腸」
大腸はインクレチンを放出して、脳へ栄養が充足したことを伝えて食べるのを止めさせるようです。
 
 
「肝臓」
肝臓は、鉄分が充足しているから吸収せずに排出するように大腸にメッセージを出します。
 
肝臓に鉄分が蓄積すると肝臓がんになるため、鉄分が十分であることを大腸に伝え排出するように伝えるのです。

 

   

 

血液一滴で13種類のがんを発見

 

これまでは、がんの検査は部位ごとに検査する必要がありました。
 
しかし、最新の技術で13種類のがんに対し一滴の血液で正確に早期発見できる技術が開発されています。
 
その正確性は95%以上とのことです。
 
なぜこんな高い確率で発見できるのでしょうか。
 
それは、がん細胞が血液中を巡る物質を放出しているのです。
 
その物質は、「エクソソーム」と呼ばれるカプセルで、がん細胞を拡散するメッセージ物質が入っているのです。
 
がんの種類によって、エクソソームの中に含まれている物質が異なっているので、その物質を調べれば、がんの種類が解明することができるのです。
 
この血液検査は、3年後の実用化を目指して研究が進められています。

 

 
エクソソームから腎臓がん早期診断バイオマーカー、アズロシディン(AZU1)を発見

 

2017年10月4日に公益財団法人がん研究会と国立研究開発法人日本医療研究開発機構は、血中を流れるナノサイズのがん細胞レプリカ「エクソソーム」から腎臓がん早期診断バイオマーカーアズロシディン(AZU1)を発見したと発表しました。
 
この研究発表の内容は、UICC(国際対がん連合)の公式誌である「International Journal of Cancer」オンライン版に掲載されました。
 
研究の詳細
がん研究会・がんプレシジョン医療研究センターの植田幸嗣プロジェクトリーダーと大阪大学大学院の辻川和丈教授、野々村祝夫教授の共同研究チームは、腎臓の患者から提供された「エクソソーム」の詳細な構成たんぱく質を解析した結果、アズロシディン(AZU1)というたんぱく質が腎臓がん細胞の作る「エクソソーム」で非常に多く存在していることを確認しました。
 
 
「出典:国立研究開発法人日本医療研究開発機構」
 

 

腎臓がんのアズロシディンの量は正常腎細胞のエクソソーム比30倍以上も存在していることが解明されましたが、臨床病期Ia期のごく初期の腎臓がん患者の血清75%からも検出が可能であることが分かったと報告しています。

 

エクソソーム上のアズロシディンを計測可能な診断法が実用化されれば、腎臓がんの早期発見率の向上とともに死亡数の大幅な減少が期待できると話しています。
 
「記事参照元」
「エクソソーム」から腎臓がん早期診断バイオマーカーAZU1を発見 

 

 

 

 

乳がんが脳に転移しやすいのか

 

例えば、なぜか乳がんは他のがんでは転移しにくい脳に転移するリスクが高いといわれています。
 
その理由もエクソソームの働きにあることが解明されました。
 
脳には、血液脳関門という厳重なバリア機能が働いています。
 
血液と脳の組織液との間では物質交換が行われていますか、すべての物質が脳に入ることができず、関所のチェックを受けて許可がなければ通過できません。
 
もちろん、がん細胞は脳内に入ることはできません。
 
しかし、乳がんの細胞は、エクソソームを血液中に放出して、血液脳関門をだまして血管壁から侵入し、バリアを突破することで転移をすることが分かりました。

 

   

 

自己免疫疾患も完治する時代に

 

関節リウマチ 

 

自己免疫疾患である関節リウマチの国内患者数は70万人といわれています。
 
関節リウマチは、免疫細胞が自分自身の関節細胞を間違って外敵だと認識して攻撃するために起こる症状です。
 
いわば、自己免疫疾患は免疫細胞の暴走です。
 
関節リウマチの症状は、全身の関節に激しい痛みや腫れが起こり、骨が変形し重度の場合は歩行も困難になる怖い疾患です。
 
関節の激しい痛みの原因は、骨と骨の間隔が少しずつ狭くなって最後には密着してしまいます。
 
この関節リウマチの原因が体内のメッセージ物質のやりとりの異常が原因であることが分かったのです。
 
この異常を起こすのはマクロファージと呼ばれる免疫細胞です。
 
「マクロファージの働きと特徴」 
 
 
本来、マクロファージは人体の最前線にいて外部から侵入してきたウイルスや細菌、体内で生じた老廃物やがんなどを貪食してくれる頼もしい免疫細胞です。
 
しかし、マクロファージが間違ったメッセージを出すことで、他の免疫細胞も影響されて自己を攻撃してしまいす。
 
マクロファージが放出するメッセージは、「TNFα」という物質で外敵がいるので、「攻撃態勢を整えろ」という警告メッセージを伝える物質です。
 
このメッセージを受け取った他のマクロファージは攻撃を開始して自己の関節を攻撃するため、関節リウマチが起こることが解明されたのです。
 
この仕組みの解明されたことで新薬が開発されています。
 
新薬の働きは、血液にのって関節の内部に到達し、異常メッセージ物質であるTNFαにくっつき誤ったメッセージが伝わらないようブロックすることでマクロファージの働きを抑えます。
 
注射をすることで、関節リウマチが改善する治療が行われています。 


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