骨が若返りのカギを握っている
骨は単なる体を支えるだけの骨組みではありません。
骨は、「記憶力」や「筋力」、「免疫力」、「精力」にも関係していることが解明されてきました。
ところが、骨折などによって動くかなくなると骨が「老化」のスイッチを押してしまうことがあるのです。
骨を強化して免疫力を高め若さを保ち続けるにはどうしたらよいのでしょうか。
そのヒントがNHKスペシャルで放送されました。
以前のNスぺの放送でも、脳を介することなく全身の臓器同士がメッセージ物質をやり取りして私たちの体を守っていることが放送されました。
今回は、骨が他の臓器にメッセージ物質を発して、若さを保つなど様々な働きをしていることが解明され明らかになりました。
骨は若さを保つ大切な働きをしていることが分かった
高齢者が大腿骨を骨折して寝たきりになると4人から5人にひとりが1年以内に死亡するというデータがあるそうです。
特に高齢者の皆様は骨折には細心の注意が必要です。
骨折をして動かなくなると老化のスイッチが入って一気に老化が進んでしまうのです。
骨量が少なくなると、若さを保つメッセージ物質の分泌が減少して老化が急激に進むことが分かってきたのです。
下半身の筋肉に大きな負荷がかかるサイクリングなどの自転車こぎは、骨に衝撃がかからないため、骨が異常をきたして若返りホルモンが出にくくなるというのです。
自転車は足腰の筋肉を増強することには向いていますが、骨に衝撃がいかないため、骨量が減少してしまうのです。
骨に衝撃が伝わる運動は、ウオーキングやランニングです。
ウオーキングやランニングなど、足が地面に着地した時に骨に衝撃が伝わる運動の方が骨量をキープできるということです。
骨量が低い人を対象にた実験では、週に3回、1回30分のジャンプを1年間継続したところ有意に骨量が増えた結果が得られています。
以下は、紹介されたマウスの研究ですが人を対象にした実験もスタートしています。
記憶力をアップさせる「オステオカルシン」
骨から分泌されているホルモン「オステオカルシン」が血液を介して脳に届けば記憶力が維持されることが明らかになりました。
この「オステオカルシン」が減少すると物事を最初に記憶する脳の海馬が縮小することが解明されました。
そのメカニズムは、脳の神経細胞には「オステオカルシン」と受け入れる受容体があって結合すると物事を記憶しようとする働きが強くなるのです。
若さをキープする「オステオカルシン」
「骨芽細胞」から分泌される「オステオカルシン」は、記憶力をアップさせるメッセージ物質です。
更に血管を通じて全身の臓器へ届いて若さをキープする作用も確認されています。
また、研究によって「オステオカルシン」は血糖値の上昇を抑えて糖尿病の予防効果があることも報告されています。
免疫力を高める「オステオポンチン」
高齢になると免疫力が低下して「肺炎」や「がん」などの免疫系の疾患にかかりやすくなります。
特に高齢者には、誤嚥による肺炎が深刻な問題になっています。
高齢者は、このオステオポンチンという物質が少なくなっていると考えられています。
「オステオポンチン」が免疫細胞に働くと免疫細胞が活性化して分裂し増殖することを突き止められました。
また、「オステオポンチン」が筋肉に伝わると、筋肉の働きの効率を高めることが分かりました。
更に、精巣に「ステオポンチン」が届くと男性ホルモンに働きかけて精子が増殖して精力アップすることも解明されました。
骨を作らないメッセージ物質「スクレロスチン」
骨は、新陳代謝が激しく、常に骨をつくっては壊しています。
この「スクレロスチンは骨を作らせない」ように働くメッセージ物質で、多すぎても少なすぎても問題です。
ここでは、骨を壊す「破骨細胞」と骨をつくる「骨芽細胞」のバランスが重要となります。
この「スクレロスチン」は骨の生成のブレーキ役であり、この「スクレロスチン」が減少すると骨が増えすぎる疾患になってしまいます。
座りっぱなしは「老化」の原因に
研究者は、骨には衝撃を敏感に感知するセンサーがあって、活動的であれば骨から全身を若く保つメッセージ物質が多く分泌され、非活動的になると若さを保つ必要がないと判断して老化が進むと結論付けています。
私たちビジネスパーソンのように、机に長く時間座って生活をしていると、若さを保つメッセージ物質が少なくなって老化が進むことになります。
座りっぱなしは避けて、1時間に1回は立ち上がって動き回る習慣を身に付けましょう。
立ったままで仕事をする机も開発されていますので、活用するのも良いでしょう。
「イスに座る時間が長い人ほど寿命が短い」
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