糖尿病の早期発見は検査
アジア型糖尿病は、痩せている人も多い
「糖尿病は太っている人に多い」というイメージがあります。
確かに糖尿病は食事の摂りすぎや運動不足が大きく関わっているので、太っていることで糖尿病の発症の危険性はかなり高まります。
糖尿病患者の約80%は肥満か肥満傾向であるとの一部の調査もありますが、糖尿病は、痩せているから罹りにくいとは言えない病気です。
予備軍を合わせると2210万人とも
近年、糖尿病患者は益々増え続けており国民病の代表ともいえます。
平成19年の国民健康・栄養調査では、“糖尿病が強く疑われる人は約890万人、糖尿病予備群と呼ばれる“糖尿病の可能性を否定できない人は約1320万人で、合わせると約2210万人にも達すると推定されています。
平成18年の厚生労働省の糖尿病実態調査では、“糖尿病が強く疑われる人”は約820万人、“糖尿病の可能性を否定できない人”は約1050万人で、合わせると約1870万人にも達すると推定されていました。一年間で340万人も増加していることになります。
また、平成9年の調査では、“糖尿病が強く疑われる人”は約690万人、“糖尿病の可能性を否定できない人”は約680万人で、合わせた数も約1370万人であり、非常に短期間で大幅に増えていることが分かります。
厚生労働省が健康長寿の実現などを目指して推進した『健康日本21』では、2010年には糖尿病患者(糖尿病が強く疑われる人)を1000万人に抑えるという数値目標が掲げられていました。
人口透析の患者も増えている
平成23年に発表された『健康日本21』の最終評価によると、直近の実績値(推計)は約890万人と、目標値を下回ったものの、増加する結果となりました。
また、『健康日本21』では糖尿病合併症の減少(合併症を発症した人の数)についても発表されており、糖尿病合併症で最も多い糖尿病性腎症によって新規に透析が導入された人の数では目標値として1万1700人を掲げたものの、直近の実績値では1万6414人と大きく増加する結果となりました。
85%は健康診断で判明
この結果は、糖尿病患者が治療を受けていないことが大きく関係しています。
推定されている糖尿病患者のうち、どれくらいの人が治療を受けているかを調べた国民健康・栄養調査の結果では、受診しているのは男性の56.9%、女性の54.1%と約半数の人でしか治療していないことになります。
この様に糖尿病になっていても通院して治療を受けていない人が圧倒的に多いのは、恐ろしい事に糖尿病は初期の段階では自覚症状がない病気だからです。
糖尿病の治療を受けている人のうち約85%は、健康診断によって糖尿病であることが指摘されています。
それだけに糖尿病は気づきにくく、わかったときには病気が進行して初期段階と同じようには治せない状態になっているということです。
糖尿病は血液検査によって血糖値を測定すれば診断できるため、まずは血液検査を受けて、自分の体の状態を知ることから、その対策が始まります。定期的に血液検査をうけましょう。
NHKクローズアップ現代の放送
平成24年8月30日にクローズアップ現代で放映された「糖尿病の"常識"が変わる」の放の内容を要約した「不治の病から完治する糖尿病へ」です。
最新の治療では糖尿病の初期にインスリン注射を取入れて、すい臓にあるランゲルハンス島のβ細胞の負担を軽減することで、症状の悪化を防ぐとともに改善させる方法が注目されています。ご参考にしてください。
米国の20年近くに及ぶ大規模な調査研究により筋力トレーニングが糖尿病の発症リスクを大幅に軽減することが分かりました。
詳しくはこちらをご覧下さい。>>>筋力トレと有酸素運動の組合せで糖尿病の発症リスクを59%も低下
血糖値対策 「阻害素材と促進素材」
高血糖になる仕組み
食事で摂取した糖質は、澱粉とショ糖に分けられます。
澱粉は多くのブドウ糖が結合したもので、胃の中の消化酵素のアミラーゼによって分解されて麦芽糖(マルトース)になります。
麦芽糖はブドウ糖が2個連結結されたもので、麦芽糖は消化酵素であるα−グルコシダーゼによってブドウ糖に分解されます。
ショ糖はブドウ糖1分子と果糖1分子が結合したもので、これは消化酵素のスクラーゼによってブドウ糖に分解されます。
消化酵素によって胃や腸でブドウ糖まで分解され、小腸から吸収され血液中に入った後、肝臓に運ばれます。
ブドウ糖の一部は肝臓に取り込まれ、ブドウ糖はグリコーゲンに合成されて肝臓に貯蓄されます。
肝臓に貯蓄されなかったブドウ糖は血液中を流れ、全身に行き渡り、細胞内に取り込まれて貯蔵されますが、残りはエネルギーとして使われます。
細胞内に貯蓄され、エネルギーとして使われていれば、食事によって上昇した血糖値は時間経過とともに低下していきます。
しかし、エネルギーとして充分に消費されないと、食後だけではなく、空腹時でも高血糖状態が続くことになります。
ブドウ糖分解阻害作用と効果ある素材
消化酵素のα−グルコシダーゼの働きを阻害する作用があり、麦芽糖がブドウ糖に分解されるのを阻害する素材として、「白インゲン豆・豆鼓エキス・ニガウリ・アロエ・羅漢果・菊イモ・グァバ・桑の葉・イチワサボテン・サラシア・オブロンガ」などがあります。
ブドウ糖吸収阻害作用と効果ある素材
ブドウ糖が胃から小腸に早く運ばれると血糖値が大きく上昇しますが、粘性のある食物繊維があるとブドウ糖が小腸に運ばれるまでに時間がかかり血糖値の上昇を抑えることができます。
また、粘性のある食物繊維はブドウ糖の一部を吸着して吸収されなくなることでも血糖値の上昇が阻害される。このような作用をする素材として、難消化性デキストリンがあげられます。
また、小腸からブドウ糖が吸収されるときには、腸壁にある酵素が働きますが、その酵素に結びつくことでブドウ糖の吸収を阻害する素材として、「ギムネマやシスベスタ」があげられます。
インスリン分泌促進作用と効果ある素材
膵臓を刺激してインスリンの分泌を促すことで血糖値の上昇を抑制する素材として「バナジウム・クロム・カイアポイモ・アメリカジンセン・バナバ」などのがあります。
ブドウ糖燃焼促進作用と効果ある素材
インスリンによって筋肉細胞内にブドウ糖が吸収されるのを促進し、ブドウ糖が燃焼されるのを促進させる素材として「クエン酸・ヤーコン・クロム」があります。
グリコーゲン生成促進作用と効果ある素材
ヒドロキシクエン酸によってブドウ糖からグリコーゲンへの生成量を高め、肝臓でのグリコーゲン蓄積量を増やして、血糖値の上昇を抑制する素材として「ガルシニアやカンボジア」があげられます。
糖尿病の食事療法、「食品交換表」の活用を
食事の量と栄養、規則正し食べることが大切
糖尿病の治療は一般に長期にわたります。
その中でもまず最初に行い、また最重要な治療法が食事療法です。
食事療法を行う上で一般的にいくつか注意すべき点があります。
まず第一に食べ過ぎないこと。
そして第二に食事の栄養バランスを考えること。
第三に規則正しい時間に食事をとることです。
また食事療法を進める上で大切なことは
[1]自分にとって必要かつ適切なエネルギー量を知ること。
一日に必要なエネルギー量を知り、余分なエネルギーを摂取しないためです。
自分にとっての必要なエネルギー摂取量というのは、年齢や性別、体格、仕事や活動量などを考慮し算出されます。
一般的には、まず「標準体重」を求め、活動量に合わせてエネルギー摂取の適量を決定します。
[2]栄養バランスを考えて、適切なエネルギー量を摂取すること。
自分にとって必要かつ適切なエネルギー量の範囲の中で栄養素のバランスをとる必要があります。
たんぱく質・脂質・糖質・食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂取するための日常的な工夫が必要となります。
栄養素のバランスとエネルギー管理を容易にするための糖尿病患者の必携書が「食品交換表」(日本糖尿病学会編 [糖尿病療法のための食品交換表 第6版] 税込み945円)が10年振りに改訂されています。
この「食品交換表」を活用しながら、必要なエネルギーと栄養素をとりながら糖尿病の完治に向けて、規則正しい食事療法を行うことを心がけて下さい。
<政府の食事バランスの指針>
糖尿病は食事療法と運動療法が基本!
糖尿病予備軍から脱出しましょう
糖尿病予備軍、つまり2型糖尿病になる前「境界型(プレ糖尿病)」の状態は、いずれは糖尿病に発展すると言う深刻な状況であることは違いありません。
糖尿病予備軍の内に適切な対策を立てる必要があります。
日本の食生活は戦後の経済成長のもと社会が豊かになった結果食生活も贅沢になり、好きな物や美味しいものは何時でも食べられるようになりました。
ましてやスナック菓子とかケーキと言った甘いものが氾濫しています。
そのような豊かな食生活が私達の体を知らないうちに蝕んできたのです。
まず、この様な食習慣を改善しなければ糖尿病予備軍から脱出は困難でしょう。
肥満と思える方は、自分の標準体重を知り、その体重を目指して食生活をコントロールすることから始めましょう。
一日に必要なエネルギー以上の食事を摂取しないように注意が必要です。
また、食事の量だけでなく、各栄養素のバランスも考慮して、三食規則正しく摂る様にしましょう。
糖尿病は怖い合併症を引き起こす病気です
糖尿病はその食生活、生活習慣病の代表とも言えます。
糖尿病予備軍から糖尿病へと病状が進行し、悪化すると失明や足の壊旦などの恐ろしい症状を生み出します。
また尿毒症、脳梗塞、腎疾患などを併発する可能性が非常に高くなります、合併症を伴って命にかかわるような事態も非常に多いのも糖尿病の特徴です。
会社や診療機関で糖尿病の予備軍と言われたら、まだ糖尿病となっていないので、糖尿病の予防のための対策を行う必要があります。
運動を習慣化することで「インスリン抵抗性」を改善
基本的には食事療法と運動療法ですが、この二つの予防対策を毎日の生活の中で行えば糖尿病予備軍から糖尿病へ進行するのを防止する事が出来ます。
運動には、インスリンの効き目を悪くする「インスリン抵抗性」を改善する働きがあります。
この「インスリン抵抗性」を改善するのに最適な運動は、体に酸素を取り入れながらする運動の有酸素運動です。
具体的な種目として、身近なウォーキング、ジョギングやサイクリング、水泳なども効果があります。有酸素運動は、運動が一定時間経過すると脂肪を燃焼するので、メタボリックシンドロームの改善にも有益なのです。
また、血糖値を下げる効果もあります。
筋力トレーニングが効果があります
また筋肉トレーニングでも筋肉の量を増やすことで脂肪の燃焼能力が向上し太りにくい体質になります。
筋肉の量が増えることで安静時であっても体の基礎代謝が向上するので消費エネルギーも増加します。
筋肉トレーニングは呼吸が出来る程度の軽めの荷重で体に酸素を取り入れながら、ゆっくりと出来るスクワットやベンチプレスなどが効果的です。
無理して重たい荷重でトレーニングすると関節や骨、筋肉や腱などを痛めますので十分に注意しましょう。
普段の生活でも意識すれば、十分な有酸素運動が可能です。移動のときに車やエスカレータを使わずに階段を上り、徒歩や自転車を利用するなどがとても有効なのです。
カロリーコントロールが出来れば甘い物も
ダイエットでは「甘いものは食べない」などと言いますが、甘いものは一般的に高カロリーですから避けた方が良いのですが、逆に言えば、1日の摂取カロリーを一定の量に抑える事が出来れば、甘いものを食べてもかまわないのです。
無理に甘いものを抑えるとかえって食べたくなるものですから、コントロールさえできれば甘いものを食べても良いわけです。
糖尿病予備軍の方は日記を付けましょう
そして、毎日の体の状態を日記にして記録をしましょう。日々の体重や血圧、食事の時間や内容、運動した時間や内容、体の状態などを付けておけば、医師の診断やアドバイスの時に有益な情報となります。
また、体重を減少させるためのヒントを得られるかもしれません。
糖尿病は、放置すると更に悪化してしまい、合併症などの怖い病気を併発します。
なるべく早い時期に糖尿病を認識し、更に悪化しない様に上手に付き合っていかなければならない病気なのです。
血糖値を上げない食生活と効果的な運動を継続することで糖尿病を予防、改善しましょう。
食事法によるプログラム
いずれにしても、糖尿病予備軍と言われたら、いたずらに不安がらずに、医師の指示のもとに生活習慣と食生活の習慣を変えていく必要があります。
自分一人で改善しようとしてもうまくいきませんから、専門家の指示が大切です。糖尿病予備軍から糖尿病に進行する前に、病気から脱出することが重要な事です。
喫煙は糖尿病を悪化させる
独立行政法人国立がん研究センターの多目的コホート研究では、禁煙後の糖尿病リスクについて、禁煙5年間は男女ともに糖尿病発症のリスクが高まることが分かっています。
また、喫煙量が多かった人ほど糖尿病の発症リスクが高いです。出来る限り早く禁煙をすることを推奨いたします。
禁煙するためには、周りの人のサポートも必要となります。禁煙のためコツをつかめれば不可能ではありません。
私も禁煙に成功をした一人ですから、意志を強く持てば必ず禁煙は可能です。
ご自分のため、ご家族のためにも禁煙にチャレンジ、成功しましょう。
情報サイト
米国の20年近くに及ぶ大規模な調査研究により筋力トレーニングが糖尿病の発症リスクを大幅に軽減することが分かりました。
詳しくはこちらをご覧下さい。>>>筋力トレーニングが糖尿病を予防する