糖尿病新薬「SGLT2阻害薬」の副作用多発・死亡例も
糖尿病の新薬「 SGLT2阻害薬」が日本でも市販薬として販売されています。
以前から、夢の糖尿病薬として注目されていましたが、ようやく市販されるようになりました。
しかし、効果が高い反面、脱水症状を始めとし様々な副作用による死亡例の報告もあります。
簡単に言えば、「SGLT2阻害薬」は体内のブドウ糖を尿から排出して血糖値を下げる働きをします。
本来、ブドウ糖は脳の働きや活動に必要不可欠な物質です。
体内の「SGLT2」は、尿からブドウ糖が排出されない様に糖を再吸収し還元する役割を担っています。
つまり、「SGLT2阻害薬」は、「SGLT2」の働きを阻害し尿から糖を排出するように働きます。
「SGLT2阻害薬」の作用が強く働けば、尿からブドウ糖が排出され過ぎて、血糖値が下がり過ぎ、低血糖をはじめとした様々な副作用を引き起こす可能性があります。
この「SGLT2阻害薬」の服用には、重度かつさまざまな副作用の可能性があり、服用には十分な注意が必要です。
「SGLT2阻害薬」は、一日一回の服用でも効果が持続し強い作用があることを念頭に置き、安易に服用するのは止めるべきでしょう。
「SGLT2阻害薬」の主な副作用
1. 尿路感染・性器感染症
ブドウ糖の再吸収を阻害する薬です。本来は「SGLT2」により糖分が再吸収されるため、尿道を糖分が通過することはありません。
しかし、「SGLT2阻害薬」の作用により尿から糖分が排出するされめため、尿道を糖分が通過すことになります。
この時に尿道の残る糖分は、雑菌のエサとなるため雑菌が繁殖しやすい環境となります。
女性の場合は、特に尿道と性器が近いため尿道と性器の両方で雑菌の感染を受けやすくなります。
入浴やシャワーで清潔に保つことが重要となります。
2. 低血糖
「SGLT2阻害薬」は尿からブドウ糖を排出する新薬ですので、必要なブドウ糖も過剰に排出してしまい、低血糖症状を引き起こす可能性があります。
重度の低血糖症は昏睡状態となることもあります。
3. 栄養状態の悪化
アジア型の糖尿病は、欧米型に比較すると、痩せている方が多い特色があります。
ブドウ糖が過度に排出されることで、体重がさらに減少することもあります。
4. 血中ケトン体の上昇
血中のブドウ糖が減少すると、体はエネルギーを確保するために、脂肪を分解してブドウ糖を作り出します。
脂肪がエネルギーとして使われるときにケトン体が作られます。
尿中ケトン体が陽性になる可能性が高くなります。
体内にケトン体が増えれば、血液が酸性状態のケトーシスとなり、脳の働きが低下して糖尿病性ケトアシドーシスを誘発して昏睡状態になることもあります。
5. 体液量が減少する
「SGLT2阻害薬」は、糖分の再吸収を阻害するので「浸透圧利尿作用」が働き頻尿や多尿になり、脱水症状を引き起こす可能性があります。
腎臓で血液をろ過してつくられる原尿は1日に180リットルにもなりますが、実際の尿として排出されるのは1〜2リットルなので99%は再吸収されて血糖値の維持に寄与しています。
この再吸収を阻害して尿に出す糖を増やせば血糖値が下がりますが、排出する尿量も増えます。
体内の水分の減少が脱水や脳梗塞のリスクを高めてしまいます。
脱水症状による死亡例も報告されています。
「SGLT2阻害薬」を服用するときには、水分を多めに摂取し、体調の変化には十分な配慮と注意が必要です。
脱水症状による口の渇きや脱水症状、また便秘にも注意しましょう。
服用にあたっては水分を多めに摂ることも忘れてはなりません。
特に高齢者への投与は厳重な管理下で行うべきで、利尿薬との併用を避け、発熱や下痢などの症状が起こった場合にはすぐに服用を止めることなどが大切です。
「SGLT2阻害薬」は新薬であり長期間服用した場合の副作用などが確認されておらず、この点からも注意が必要です。
以上の様に、様々な副作用の可能性がありますので、服用前には必ず医師の診断や十分なアドバイスを受けて服用するように心がけましょう。
SGLT2阻害薬と糖尿病性ケトアシドーシスの発症率
2017年6月8日のニュース
米国のブリガム&ウィーメンズホスピタルが、米国の民間健康保険の処方データを解析した結果、SGLT2阻害薬を使用する2型糖尿病患者はDPP4阻害薬使用者に比べて糖尿病ケトアシドーシスの発症リスクが2倍高かったと報告しています。
詳細な内容では、「SGLT2阻害薬の使用開始後、短期間で糖尿病ケトアシドーシスの発症リスクがDPP4阻害薬に比べて約2倍に上昇するが、入院に至る糖尿病性ケトアシドーシスの発症率自体は非常に低い」と結論付けています。
解析を担当した研究者はSGLT2阻害薬のベネフィットが非常に大きいことを認めた上で、「SGLT2阻害薬による糖尿病性ケトアシドーシスのリスク上昇は、処方時から治療期間全体を通じて考慮すべき要因の1つ」と述べ、使用開始直後から厳格なモニタリングを実施することの重要性を指摘しています。