糖尿病辞典

糖尿病の新しい治療法のご紹介

 

現在、日本国民の糖尿病予備軍を含めると2200人、6人に1人で原因不明の1型と2型がありますが2型が全体の95%と言われています。

 

糖尿病が悪化すると失明、腎不全、心筋梗塞。認知症などの合併症を引き起こします。

 

平成24年8月30日にクローズアップ現代で放映された「糖尿病の"常識"が変わる」の内容を要約したものです。

 

これまでの治療法としては、「一に食事療法」「二に飲み薬」、「最後はインスリン」注射の順番でした

 

好きな食べて、ワインも飲める「糖質制限食」とは

 

「85kg、血糖値はHbA1cが7.6%だった40歳の女性の場合」

 

新たな治療法が開発されつつあります。

 

肉も揚げ物も、そしてワインも楽しめる食事療法、それは「糖質制限食」と呼ばれています。

 

現在、各医療機関でもこの「糖質制限食」を取り入れています。

 

当初7.6%HbA1cが5.4%の正常値に改善

 

9年間糖尿病で悩んでいた85kgで血糖値はHbA1cが7.6%(正常値6.2%未満)だった40歳の女性が、「糖質制限食」を取り入れて1ヶ月後に血糖値が正常値に戻りました。

 

女性は、医師の食事指導によるカロリー制限食でカロリーを8割を減らす従来の制限食を始めたが、毎日の食事のカロリー計算のための細かいグラム数の計測や食べる物の種類を決めるのに数時間かかることもあって、精神的にも不安定な状態となり2ヶ月で従来の食事療法を断念しました。

 

その後症状が悪化し網膜で出血を起したため緊急手術により止血して失明の一歩手前の状態となりました。

 

最後に医師と相談して、「糖質制限食」を取り入れたところ 1ヶ月で血糖値が正常値になり、3ヶ月後には85kgの体重が64kgになり21kgのダイエット、血糖値は当初HbA1c7.6%が5.4%と正常値に下がりました。

 

この「糖質制限食」は糖質である小麦やコメを減らし、肉や魚や卵などは好きなだけ食べられる食事療法なのです。

 

例えば、麺類は糖質なので豆腐で作った麺などに切り替えるなどの工夫をすることで他には制限のない精神的な苦痛も少ない食事療法です。

   

北里大学研究所センターでは糖質制限食を研究

 

北里大学研究所センターでは3年前から従来のカロリー制限食に失敗した人たちにコメや麺を減らした食事に変えて研究をすすめていますが、薬を服用しなくて血糖値が正常値となる人も現れています。

 

糖質の少ない新しいパンなども開発されています。

 

研究に参加している糖尿病患者12人の血糖値が半年間で7.6%から7.0%に下がる効果が出ています。

 

担当している医者は、「スタンダードなカロリー制限食は有効であるが、どうしても続けられない方の治療オプションとして意義がある」と言っています。

 

最近注目されている希少糖プシコースは、カロリーゼロ、甘さは砂糖の約7割の夢の糖と云われています。

 

血糖値の上昇を抑える作用があり、病院では、糖尿病患者のデザートの甘味料として使用されるようになってきました。

 

食べたい物が食べられないストレスから解放され、食事制限をしなくても糖尿病の治療に取り組める日が近そうです。

 

糖尿病は完治するのでしょうか

 

以上、糖尿病患者の例を見てきましたが、ここにご紹介した方々の糖尿病は完治したのでしょうか。
 
結論から言えば、完治したのではなく血糖値のコントロールをしながら、普通の人と同じような生活をしているのです。
 
広く知られているように糖尿病には1型と2型の2つのタイプがあります。
 
1型糖尿病は、遺伝などの要因によって、血糖値を下げるインスリンを分泌するすい膵臓のβ細胞が破壊又は消滅した状態で最新の医療でも完治することはありません。
 
主に小児期から青年期にかけて発症することが多いタイプです。
 
一方で、2型糖尿病は食習慣や運動習慣などの 生活習慣に起因し、インスリンの分泌量が少なくなったり、インスリンの働きが悪くなったりすることで発症するタイプです。
 
2型糖尿病でも生まれつきインスリンの分泌量が少ないという遺伝的な要因もありますが、食生活や運動習慣、ストレスなどの生活習慣や社会環境などが要因になって発症します。
 
日本人の95%が2型糖尿病です。
 
戦後の高度経済成長とともに急激に変化した食事の欧米化や車や電車などの交通機関の普及発達に伴う運動不足が原因といわれています。
 
また、糖尿病が増えた原因の根底には人類の長い歴史にあります。
 
人類の長い歴史は飢餓との戦いでした。飽食の時代は歴史的に見ればほんのわずかな期間であり、次にいつ食べられるかわからない食べたものを体に溜め込むようにDNAにプログラムされていると考えられています。

   

徹底した血糖値管理で普通の生活

 

糖尿病は、血糖値が高い状態が慢性的に続くことでおこる様々な合併症が怖いことで知られていますが、血糖値の上昇を抑えることができれば、健康な人と同じように生活を送ることが出来ます。
 
長年、暴飲暴食を続けているとインスリンを分泌するβ細胞が酷使され疲弊して、血糖値が上昇しても十分なインスリンを分泌できなくなってしまいます。
 
暴飲暴食の食生活を変えずに続けていると最終的にβ細胞が死滅します。
 
最新治療でもβ細胞を復元したり、復活することはできません。
 
ips細胞の研究が進めば将来的に可能性がありますが。
 
このように糖尿病とβ細胞は表裏一体の関係にありますが、疲弊してインスリンの分泌が低下したβ細胞を更に悪化させないように生活習慣を見直すことが最も重要です。
 
食事の見直しをして血糖値の上昇をコントロールできれば、健康な人と同じように生活を送ることが出来ます。

 

食事の管理を徹底することが重要

 

糖尿病は現在の医療では完治することは難しいといえます。
 
しかし、血糖値を管理してコントロールできれば、今以上に悪化させて合併症を招くことなく普通の生活を送ることが出来ます。
 
やはり食事の管理が最も効果があるといわれています。
 
血糖値を上昇させる食事の摂取に細心の注意をして、管理を継続することが大切です。
 
血糖値が安定しては合併症のリスクが低くなれば薬の使用量の減量や中止して経過を観察することも可能です。
 
血糖値のコントロールが良好な状態が続ければ完治したのと同じ状態を保つことができるのです。
 
しかし、途中で血糖値の管理をやめてしまえば、合併症が進行して取り返しがつかない事態となります。
 
糖尿病は、油断をすることの出来ない疾患でありますが、血糖値の管理さえできていれば、合併症を起こすことなく普通に生活が出来ます。

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