糖尿病辞典

糖尿病性ケトアシドーシス

 

インスリンはブドウ糖をエネルギーに変換する働きを担っています。
 
体に栄養分が入ってこなくなると体内に蓄えられた栄養分を分解してエネルギー源として消費します。
 
最初は、糖質のグリコーゲンを活用しますが、すぐに無くなるため、筋肉に貯えられた脂肪をを分解して糖質の原料にします。
 
この体脂肪を分解するときに産生されるのがケトン体です。
 
血中のケトン体が正常範囲とされる数値を超えている状態を「ケトーシス」といいます。
 
「ケト」はケトン体のことです。
 
その後、血中のケトン体がさらに増えて、ケトン体には酸性の物質が含まれているので、ケトーシスが長く続くと血液が酸性になってしまいます。
 
この状態を「糖尿病性ケトアシドーシス」といいます。
 
糖尿病性ケトアシドーシスは、非常に危険な状態で進行すると意識障害を起こして死に至るリスクが高まります。
 
糖尿病性ケトアシドーシスの発症年齢は若年層に多く、ほとんどが1型糖尿病患者で糖尿病性ケトアシドーシスが起こっています。
 
1型糖尿病に多い、糖尿病性ケアドーシスを引き起こす要因になるものは以下があげられます。

 

ケトアシドーシスの要因

 

1.インスリン注射の減量や中止

 

2.感染症

 

3.手術

 

4.清涼飲料水の過剰摂取など

 

 

ケトアシドーシスの症状

 

1.深い呼吸

  「クスマウル大呼吸」という異常に深い呼吸が規則正しく続く状態がある。

  吸う時と吐く時の時間がほぼ同じてあり、呼吸が苦しい状態。

 

2.吐く息から甘いケトン臭い(リンゴの腐った臭いに近い)

 

3.速い脈拍

 

4.脱水症状

 

5.血圧低下

 

6.悪心、嘔吐、腹痛などの消化器官症状

 

以上のように重篤な状態となります。

 

腎臓はろ過機能を担っており、血液をろ過して尿をつくりますが、通常では尿に含まれている糖は再吸収されて回収されます。

しかし、血糖値が高い状態では糖の再吸収が出来なくなって尿中に糖が排出されます。

この状態になると、尿の浸透圧が高くなって体内の水分も尿から排出され脱水状態になります。

 

そうすると血糖値やケトン体値も上昇して血液の適正なPH値の維持が困難になり、ケトーシス状態となり、ケトン体による影響で血液が急速に酸性に傾いて、ケトアシドーシスとなります。

 

2型糖尿病患者において起こりうるケトアシドーシスの例では、肥満でインスリンが効きにくくなっている方が清涼飲料水を習慣的に飲んでいる場合の糖尿病性ケトアシドーシスで、この場合を特に「ソフトドリンクケトーシス」と呼んでいます。

 

また、糖尿病の診断を受けていない人が、突然に糖尿病性ケトアシドーシスとなり、医療機関でインスリン投与などの適切な治療が行われず、胃腸炎など誤診によって悪化して死に至ることもあるので注意が必要です。

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