老人性認知症の予防進行対策


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40代からの飲込み力トレーニング

 

誤嚥を予防、原因と対策 

 

自分自身で自立した生活を送ることができる健康寿命と平均寿命の差が男女ともに約10年前後もあります。
 
このような背景から、私たち中高年は寝たきりなどの介護を受ける期間をより短く短縮することが課題といえます。
 
加齢とともに体力が低下しますが、同時に口や喉の筋力も低下し、食べ物の飲み下す「飲み込み力」が低下してスムーズに出来なくなると誤嚥につながり肺炎を引き起こすリスクが高まります。
 
高齢者の肺炎は死につながる大変重篤な疾患です。
 
普段から口腔ケアに加えて飲み込む力を鍛え「飲み込み力」を維持すれば、誤嚥や肺炎の予防につながりますので、今から口や喉の飲込み力を高めるトレーニングに取り組みましょう。
 
自分や家族など周囲の方のためにも誤嚥の予防や対策を知っておきましょう。
 

 

〇肺炎が死因の3位に

 

近年、日本人の死因で肺炎が目立って増えています。
 
これまでの日本人の死亡原因は、
 
1位、悪性新生物
2位、心疾患
3位、脳血管疾患
 
の順番でありましたが、平成29年版の厚生労働省の人口動態統計では「肺炎」が脳血管疾患を抜いて3位になりました。
 
1位、悪性新生物
2位、心疾患
3位、肺炎
 
これらの死因上位の疾患は、高齢化が進んだために増えたといえます。
 
筑波大学の調査では、肺炎での入院のうち、60代では6割、70代では8割、80代では9割以上が「飲み込み力」の低下による誤嚥性肺炎となっています。

 

 

〇加齢とともに誤嚥が増える

 

特に肺炎が増えている原因として高齢者の誤嚥があげられます。
 
誤嚥と似ている「誤飲」とは、小さな子どもがボタンなどを飲み込んでしまうことをいいます。
 
誤嚥は、飲み込み方を間違ってしまうことです。
 
加齢とともに視力や聴力が低下するのは、やむを得ない部分もあります。
 
誤嚥は肺炎の原因になって命に関わりますので、年を重ねても誤嚥を起こさないために40代の今から誤嚥を知って、予防や対策の方法を身につけ準備しておきましょう。
 
加齢とともに体の老化、口や喉の筋力が低下し働きも少しずつ衰えていきます。
 
60代以降、何でも食べられる状態を維持するために、40代の今から口と喉をトレーニングして「飲み込み力」を鍛えておくことをお勧めします。
 

 

〇誤嚥と嚥下障害

 

通常、飲み物や食べ物を飲み込むと食道を通って胃に運ばれますが、飲み込み方を間違えば、食道と隣り合わせの気管を入り肺の方へ食べ物や飲み物などが入ってしまうことを誤嚥といいます。
 
食べ物や飲み物を飲み込むことを嚥下(えんげ)といいますが、喉の少し奥に喉頭(こうとう)と呼ばれている部分があって、通常は肺に酸素を送って呼吸をするために大きく開いています。
 
嚥下に問題が無ければ食べ物や飲み物を飲み込んだときに気管に入らないように軟骨の喉頭蓋(こうとうがい)がフタの役目をして侵入を防ぎます。
 
しかし、食べ物や飲み物を飲み込む時の動作に障害があれば気管に入ってしまいます。
 
これを嚥下障害といいます。
 
口や喉の働きが正常であれば、気管に物が入りそうになると、むせたり、せき込む咳嗽反射(がいそうはんしゃ)が起こって誤嚥しそうになったものを押し戻します。
 
この状態は皆様にもご経験があると思います。
 
食後しばらくしてせき込む場合は食事の残りかすが気管に入りそうになっている可能性もあります。
 

 

〇睡眠中にも誤嚥を起こす

 

嚥下障害は食事中だけではなく、睡眠中にも起こることがあります。
 
睡眠中に起きる誤嚥は無意識の時に唾液が気管に流れ込む「不顕性誤嚥」があります。
 
不顕性とは、気管に入ろうとした時に「咳き込み」や「むせる」などの反射が起こらないことです。
 
免疫機能は20代がいちばん高く、40代頃から下がり始め、40代から50代にかけて感染症などの疾患が増えてきます。
 
 
年齢と免疫の推移 

 

胃がんや大腸がんなどで消化不良による嘔吐、抗がん剤治療の副作用による嘔吐によって逆流した吐瀉物(としゃぶつ)が気管に入ることもあります。
 
特に抗がん剤治療では白血球数が大幅に減少し免疫力が低下しているため有害菌を殺菌できずに肺炎を起こすリスクが高いといえます。
 
また、脳梗塞や脳内出血などの脳血管障害や、パーキンソン症候群、アルツハイマー型認知症の方は、嚥下障害(飲み込みの障害で喉の神経や筋肉が正常にはたらかない)があり、肺炎を起こしやすいのです。
 
特に仰向けに就寝している時は嘔吐した物が、重力の関係から戻り気管に入りやすいので特に注意が必要です。
 
就寝中に嘔吐した場合、とっさの判断になりますが、極力横向き又は下向きに嘔吐し、気管に入らないようにしましょう。
 
高齢者の肺炎は寝ている夜に起こるといわれています。
 
それは唾液が無意識の内に少しずつ気管に入ってしまい咳が出ずに押し返せないため誤嚥になってしまいます。
 
口腔には多くの細菌が繁殖していますので、唾液の誤嚥によって細菌が肺まで到達し炎症を引き起こすことがあります。
 
特に免疫力が低下している高齢者や抗がん剤の治療は有害菌を殺菌できないため肺炎を起こすリスクが高まります。

 

 

〇体は使わないと衰える

 

特に筋肉の衰えは顕著で、若いスポーツマンでも骨折をして1ヵ月もギブスをしていると筋肉量が減って細くなります。
 
このように筋肉や骨には使用しないと短期間にやせる性質があります。
 
高齢者が普段の生活でも体を動かさないでいると体の機能が衰えますが、これを「生活不活発病」といいます。
 
例えば、高齢者が体の機能回復や療養のために入院し、栄養の供給を点滴や経鼻チューブで摂る状態が続き、口から物を食べないでいると摂食嚥下機能が低下し、普通の食事をしようとしても難しくなります。
 
こうしたケースでは、最初は柔らかく飲み込みやすくした食べ物から嚥下トレーニングをして、少しずつ普通の食事に変えて嚥下機能を回復させるリハビリを行います。

 

   

 

誤嚥のリスクと口腔ケア

 

高齢期では、歯や口腔機能が健全であることも大変重要になります。
 
毎日の歯磨きや入れ歯の清掃や手入れを習慣化して口の中の細菌が繁殖しないようにケアすることで誤嚥性肺炎のリスクを低下させることが大切です。
 
高齢者の口腔ケアは特に重要です。
 
入れ歯を使用している方は入れ歯にも歯垢が付着しますので、磨いて手入れをしなければばい菌や汚れがたまります。
 
入れ歯は毎食後取り外して汚れを歯ブラシでこすり落として流水で洗い流しましょう。
 
また、次のような症状や状態が以前より頻発するようになった時は注意しましょう。

 

 

〇食事中にむせるようになった

 

食事中にむせるのは、食べ物が気管に入りそうになるからです。
 
以前に比べてむせる回数が増えたら、「飲み込み力」が低下している可能性があります。
 
特に口の中でまとまりにくいパサパサした食べ物やまとまりにくい食べ物は気管に入りやすいためむせることがあります。
 
また、不用意に水を飲んだときにも咳嗽反射(がいそうはんしゃ)が追い付かずにむせることがあります。
 
水を飲むときはいったん口に含み意識をしてゴクンと飲むようにしましょう。
 
むせること自体は、水や食べ物が気管に入るのを防いでいるため問題がありませんが、以前と比べて頻度が増えた場合は唾液の分泌不足や舌の働きの低下、嚥下機能の低下が考えられます。
 
 
〇唾液がたまる

 

加齢とともに唾液の分泌が少なくなります。
 
唾液の分泌が多くてたまるのであれば良いのですが、嚥下機能の低下によって唾液がたまることがあります。
 
この場合は唾液を連続で飲み込む嚥下機能のトレーニングをしましょう。
 
唾液を連続で飲み込む反復唾液嚥下テストがありますが、このテストでは30秒3回以上唾液を飲み込めれば嚥下機能に問題なしと判定されます。

 

 

〇硬いものが噛みにくい

 

歯や歯茎に特に問題がなくて硬い食べ物が噛みにくくなった場合は、咀嚼に使う筋肉が衰えて弱くなっていたり、摂食機能障害を起こしているかもしれません。

 

オーラルフレイルを進行させないために

 

オーラルフレイルとは加齢に伴う身体機能の低下とともに、口腔の機能の軽度な低下をいいます。
 
オーラルフレイルの状態は健康と機能障害との中間であり、トレーニングによって元の状態に回復できることが大きな特徴です。
 
40代や50代の方であれば、高齢期になる前からオーラルフレイルにならないように気を付けましょう。
 
オーラルフレイルの初期は次のような事がみられます。
 
〇滑舌低下
 
〇食べこぼし
 
〇わずかなむせ
 
〇かめない食品の増加
 
〇口の乾燥
 
など口腔機能の軽度の低下は食習慣の悪化の兆候がみられます。
 
これらの症状は軽微であるため気付きにくく、見逃しやすいため注意が必要です。
 
さらに症状が悪化すると嚥下障害を起こし誤嚥につながるリスクが高くなります。
 
オーラルフレイルの予防として、
 
〇歯周病やむし歯などは早めに治療すること。
 
〇歯を失った場合も適切な処置を受けること。
 
〇かかりつけの歯科医を決めて、定期的に歯や口の健康状態を診てもらうこと。
 
以上のことを怠らずに日ごろより口腔ケアを行いましょう。

 

口腔の衛生を習慣化

 

誤嚥による肺炎を防ぐためにも口の中を清潔にしておく事が大切です。
 
歯磨きをせずに放置していると口の中に細菌が繁殖し、誤嚥をしたときに菌が含まれている唾液が気管を通って肺に達して肺炎の原因になります。
 
また、歯周菌は歯茎の血管に侵入して糖尿病の悪化や生活習慣病の原因になることが明らかになっています
 
入れ歯がある人は外してきれいに洗浄しましょう。
 
歯磨きだけではなく、舌も専用のブラシで清潔に保ちましょう。
 
舌の舌苔を落とすブラシ 
 
舌には白い苔のような物が付着している事がありますが、これは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれ細菌などが繁殖したものです。
 
舌の表面は食べ物の味覚や触覚を感じるために舌乳頭と呼ばれる柔毛状の突起で覆われています。
 
この舌乳頭に汚れや細菌が付着してこびりついています。
 
舌は歯ブラシでこすると傷をつけてしまいますので、舌専用のブラシを使いましょう。
 
水や保湿剤で湿らせて汚れを浮かせてから舌専用のブラシできれいにしましょう。
 
一度の掃除ではきれいに除去できませんので、少しずつ改善するようにしましょう。
 
口腔は乾燥すると汚れや細菌が付着しやすくなりますので、唾液の分泌を促進させましょう。
 
加齢とともに唾液の分泌が少なくなりますので、唾液線を刺激して唾液の分泌を促したり、水分補給を怠らないように心がけましょう。

 

   

 

飲み込み力を鍛えるトレーニング

 

自分でしっかり食べられることを維持するために今から飲込み力を鍛えるトレーニングを習慣化しましょう。
 
加齢とともに確実に筋力は低下します。
 
食べ物を食べるために必要な「そしゃく力」「摂取力」「嚥下力」は口やほお、あご、喉の周辺の筋肉を使いますが、これらの筋肉も加齢とともに低下します。

 

唾液を飲み込むトレーニング

 

唾液には様々な作用があります。
 
〇発音や嚥下をスムーズにする「潤滑作用」
 

〇食べ物の残りかすが残るのを防ぐ「自浄作用」
 
〇細菌の繁殖を防ぐ「殺菌作用」
 
〇口腔内の粘膜を保護する「粘膜保護作用」
 
〇口腔内のpHを整える「緩衝作用」
 
〇味覚を感じるための「溶媒作用」
 
〇でんぷんを分解する「消化作用」など多くの働きを担ています。
 
食べ物を食べる時には必ず唾液が分泌されていますが、食べていない時にも唾液は分泌されています。
 
食べ物や飲み物が口に入っていない状態で、唾液を飲み込むことを空嚥下(からえんげ)といいます。
 
唾液を飲み込むトレーニング
唾液を30秒間に3回以上嚥下できなかった場合は、摂食・嚥下機能に問題があると考えられますので、5回以上を目安に空嚥下のトレーニングをしましょう。
 
この空嚥下は、嚥下機能の低下を予防することができますので習慣的に行いましょう。
 
飲み込みは「嚥下反射」とよばれる体の反応です。嚥下反射によって、誤嚥の安全弁である「喉頭蓋」が器官の入口の蓋をして肺に入らないように防御します。
 
唾液を飲込むトレーニングによって正常な嚥下がスピーディーに行えるようにしましょう。
 
唾液の飲み込みを止めるトレーニング
指の腹で喉仏の位置を確認しましょう。
 
女性でも少し出っ張っているところが確認できると思います。
 
唾液を飲込んで喉仏が上下に動くことを確認しましょう。
 
それでは、飲込み力を鍛えるトレーニングです。
 
1.唾液を飲込んだ瞬間に喉仏が一番上に上がった所で止める。
(この時には、息が止まって呼吸ができません)
 
2.舌は前歯の内側と口腔の上にピッタリと密着していることを確認。
 
3.この状態で3〜5秒程度キープしてください。
 
4.1〜3を1日に5回程度トレーニングしてください。
 
70代の方がこの飲み込み力を鍛えるトレーニングを行ったところ、1か月で改善がみられたそうです。
 
唾液の分泌を促進するには
唾液の分泌が少ない場合は、舌の写真の唾液腺「耳下腺」や「顎下腺」、「舌下腺」を刺激して唾液の分泌を促しましょう。

 

 

 

「耳下腺」のマッサージ
「耳下腺」の位置は、上の奥歯あたりです。指で円を描くようにやさしく刺激してください。
「耳下腺」からの唾液の分泌は全体の7割程度です。
 
「顎下腺」のマッサージ
「顎下腺」の位置は、左右の顎の骨にそった柔らかい部分です。親指の腹をあてて、あごの先にかけてやさしく押しながら刺激してください。
「顎下腺」からの唾液分泌がいちばん多く全体の2割ほどです。
 
「舌下腺」のマッサージ
「舌下腺」の位置は、顎の先下にあります。両手の親指の腹をあててやさしく押し上げるようにして刺激してください。
「舌下腺」の唾液の分泌が一番少なく1割未満です。
 
「耳下腺」と「顎下腺」のマッサージが最も効率が良いといえます。

 

口と舌の筋トレ「パ・タ・カ・ラ」発声体操

 

 
「パパパパパパ・・・・・!」

 

 
いつでも簡単に出来る口と舌の筋力トレーニングです。
 
「パ・タ・カ・ラ」をはっきり発声することで、食べ物を喉の奥まで運ぶ筋肉を鍛えて口の機能を維持、回復、向上させることができます。
 
「パ・タ・カ・ラ」を「はっきり、かつ速く」発声することがポイントです。
 
「パパパパパパ・・・・・!」
 
「タタタタタタ・・・・・!」
 
「カカカカカカ・・・・・!」
 
「ララララララ・・・・・!」
 
「パ」の発声
破裂音の「パ」の発声は、口の開閉する筋肉「口輪筋」をトレーニングします。
「パ」は、唇をしっかりと開閉できないと発声できません。
食べ物をこぼさずに食べるトレーニングです。
発声のポイントは、唇の開閉を素早く行いましょう。
唇の筋肉を鍛えることで咀嚼中に食べ物をこぼさずに口を閉じることができます。
 
「タ」の発声
「タ」の発声は、嚥下をするときに舌の働きをスムーズにするトレーニングです。
食べ物を食べる時に舌を上の顎に押し付けて食べ物のかたまりを押しつぶしたりこねたりしていますが、この舌の動きのトレーニングです。
また、食べ物を飲み込む時に舌は上の歯茎の裏にしっかりと押し付けられています。
この舌の動きを良くするトレーニングです。
 
「カ」の発声
「カ」の発声は、喉の奥にある咽頭周辺の筋肉や気道を閉じる下あごから舌骨周辺の筋肉を鍛えることができます。
誤嚥しないように喉の筋肉を鍛えて食べ物をスムーズに飲み込めるようにするトレーニングです。
「カ」の発声は、喉の奥にしっかりと力が入らないと明瞭な発声ができません。
 
「ラ」の発声
「ラ」の発声は、食べ物を口から喉の奥に運ぶ動きのトレーニングです。
食べ物を口から喉に運ぶにはこの舌の動きが不可欠になります。
舌の柔らかい動きを維持、向上させるために必要なトレーニングです。

 

あいうべ体操で「口輪筋」「咀嚼筋」「舌筋」を強化

 

誤嚥予防 発声 

 

以前から知られている「あいうべ」体操は、口の動きを良くするトレーニングです。
 
「あ〜い〜う〜」と連続で発声して、最後の「べ〜」の発声と同時に舌を出して「あかんべー」をします。
 
この口の動きは、口の開閉をする唇の筋肉のトレーニングです。
 
口の周囲の筋肉を鍛えることで口が閉じられ鼻呼吸になります。
 
口が開いた口呼吸は、口の中が乾燥して咀嚼や嚥下に影響を及ぼします。
 
また、口の中が乾燥して細菌やウイルスの感染リスクも高くなります。
 
「あ〜い〜う〜べ〜」体操は、普段の口の動きよりも大きく動かすことを意識すると唇の周囲の筋肉が効果的に鍛えられて口がしっかりと閉じるようになります。

 

 

発声時のポイント

 

「あ〜」は、口を縦に大きく開きましょう。
 
「い〜」は、口を横に開きましょう。
「い〜」の口のかたちを意識してしっかり作ると口の周囲のたくさんの筋肉に力が入り、首筋も浮き出る感じになります。
 
「う〜」は、唇を前につき出すようにします。
この動きも強く行うことで口の周囲の多くの筋肉をトレーニングすることができます。
 
「べ〜」では、「あかんべー」の要領で舌をできるだけ長く伸ばしましょう。

 

   

 

嚥下おでこ体操

 

誤嚥 むせる 

 

以前に比べて「むせる」回数が増えていませんか?
 
加齢とともに筋力が低下するため「むせる」回数が増えます。
 
食べ物や飲み物を飲込む時の嚥下反射が遅くなってくるのです。
 
喉の筋肉の働きが低下して食道の開きが不十分になり気管に入りそうになって「むせる」のです。
 
「嚥下おでこ体操」は、喉の筋肉を鍛えて強くするトレーニングです。
 
やり方は、手のひらのつけねをおでこにつけて、手のひらとおでこの押し合いをします。
 
初めは喉の前のほうに力が入っているのを意識して約5秒を3セットが目安です。
 
慣れてきたら様子を見ながら回数を増やしましよう。
 
物を飲込む時には、喉仏が上に上がることで喉頭蓋が気管の入り口の蓋をします。
 
この喉仏を引き上げる筋肉の「舌骨上筋群」をトレーニングすることで食べ物の飲込みがスムーズになって気道が閉じやすく、食道の入り口が大きく開くようになります。
 
喉に食べ物のかすが残りにくくなって誤嚥の防止につながります。
 
 

顎持ち上げ体操

 
「嚥下おでこ体操」と同様に「舌骨上筋群」の強化トレーニングです。
 
やり方は、両手のひらの手根部を顎の下にあてがい、頭に力を入れて下げるように動かして、手はその力に負けないように上に持ち上げるのように押し合いをします。
 
このときに喉の前に力が入るのを感じて意識しましょう。
 
このトレーニングも「嚥下おでこ体操」と同様に気道が閉じやすく、食道の入り口が広くなって誤嚥の予防になります。

 

   

 

筋肉量を維持・増加のために「たんぱく質と葉酸」の摂取

 

たんぱく質の摂取で筋肉量を増やす 

 

加齢とともに筋肉量が減少しますので、適度なたんぱく質の摂取が欠かせません。
 
「食べる力」「咀嚼する力」「飲み込む力」は口や喉の筋肉が働いています。
 
筋力が低下すると、これらの機能も低下して嚥下障害の原因になります。
 
筋肉量の維持・増加のためには適切なたんぱく質の摂取と運動が大切です。
 
筋肉量が落ちると、体力の低下や免疫力の低下に密接に関係しています。
 
また、関節の曲げ伸ばしは筋肉の収縮と弛緩によって行われますので、運動機能を維持するためにも適切なたんぱく質の摂取が重要です。
 
体力や免疫力が低下すると誤嚥性肺炎につながりますので、50代から筋肉を意識した栄養の管理が大切です。
 
栄養素のたんぱく質は筋肉の主成分ですので不足しないように摂取しましょう。
 
筋肉は常にたんぱく質の合成と分解を繰り返すオーバーターンをしています。
 
栄養として摂取したたんぱく質は、体内で一旦アミノ酸に分解、吸収されます。
 
その後、各組織の細胞内でアミノ酸同士が結合してたんぱく質が合成されます。
 
たんぱく質の摂取量が少なく過ぎると合成よりも、たんぱく質の分解が増えてしまい筋肉量の減少につながります。
 
一日のたんぱく質の摂取量の目安は、成人では1日に体重1kg当たり1gのたんぱく質が推奨されています。
 
つまり、体重50kgの人では1日50g、体重60kgの人なら1日60gが目安となります。
 
ご存じのように肉や魚、卵、牛乳、大豆などは良質なたんぱく質を豊富に含んでいますので、日常的に摂取しましょう。
 

咳の反射を促進する葉酸

 

誤嚥をしようとした時に咳をして押し返すことを咳反射といいます。
 
葉酸は脳内ホルモンのドーパミンを生成する働きがあります。
 
ドーパミンを介して咳反射が起こりますので、体内の葉酸が少なくなると咳反射も低下してしまいます。
 
葉酸は水溶性のビタミンBの一種で、妊娠中に葉酸を摂取することで胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低下させる働きがあることで知られています。
 
葉酸は水溶性で体内に備蓄できないので毎日摂取したい栄養素です。
 
 
葉酸を多く含んでいる食べ物
 
ブロッコリーススーパープラウトジュース 

 

「ブロッコリースーパースプラウト」は葉酸を豊富に含んでいます。
 
「ウナギ」や「レバー」も葉酸を多く含んでいますが、加熱すると含有量は低下します。
 
「バナナ」は免疫力を高める作用があります。
 
「りんご」は、肺の機能を高めるといわれています。
 
「ブロッコリースーパースプラウト」や「バナナ」「りんご」「果実酢」などにオリーブオイルやエゴマオイル、水適量を加えてミキサーで回して毎朝召し上がりましょう。
 
 
当サイトでご紹介している「飲込み力を鍛えるトレーニング」のほかに、全身の体操やウエイトトレーニングなどの筋力トレーニングも適度に取り入れましょう。 


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