燃料電池自動車FCVの普及の課題と将来性
トヨタ自動車が最初に燃料電池自動車FCVの開発を手掛けたのが1992年です。
その後ハイブリット車の開発を手掛けましたが、実際に自動車として製品化されたのはハイブリット車の方が先でした。
燃料電池自動車FCVの一番の特徴は、二酸化炭素やその他の排ガスを排気しない、排出するのは水だけ、「究極のエコカー」という点です。
水素燃料を一回補給すれば、約650q走行し、燃料の補給時間もガソリン車と同じで約3分と短時間で充填可能です。
燃料電池自動車FCVは、「エコカーの持つ排ガスゼロ」と「ガソリン車の持つ利便性」の両方を取り入れた車と言えます。
燃料電池自動車FCVの普及には量産化が課題
2014年12月に発売されたトヨタ自動車の水素燃料電池車FCV「MIRAI(ミライ)」は、発売後1カ月の受注台数が、当初の年間販売目標の4倍に迫る1500台と出足は好調でした。
そして、2016年11月時点でも納車まで1ヶ月はかかる状況で好調に推移しているといえます。
トヨタは、生産能力を2017年に現在の4倍強の3000台に増強する計画で、FCV関連の特許を2020年までライバルの自動車メーカー各社に無償で提供することで、市場の拡大を目指しています。
トヨタのミライは、国の補助金を受けても購入には500万円以上が必要でまだ価格面でのネックがあり、価格を下げるには今後の技術革新と量産化が今後の課題と言えます。
トヨタ自動車では、2020年までに年間数万台の販売を目指して技術革新に取り組んでいるところです。
水素ステーションなどのインフラが問題
インフラの問題は、まだマーケットが形成されていない、需要のないところから始める難しさがあります。
1960年代に車が爆発的に普及した時代では、年間で給油所が2000ヵ所、自動車が100万台のペースで増えました。
まさにマーケットが形成されたからこそ、普及に弾みがつき好循環となりました。
この様な前例があるように車が普及するには、水素燃料を補給する水素ステーションの普及も重要なポイントになります。
国は2015年中に水素ステーションの数を100ヵ所設置する計画ですが、現在進行中のステーションは45ヵ所と遅れぎみです。
燃料会社が消極的な理由
水素ステーションの設置が国の計画通り進んでいない理由として、ガソリンステーションの設置費用が約1億円で済むところ、水素ステーションでは約4億円から5億円が必要になる点があげられます。
国から約2.5億円の補助金がでる仕組みもありますが、それでもまだ相対的に高いとの意見があります。
水素ステーションの設置に積極的に取り組んでいるのは、JX日鉱日石エネルギーと岩谷産業の2社で全体の8割近くを占め、他の企業は先行するこの2社の動向を注視している状況です。
2015年度内ホンダが、2017年には日産やメルセデスベンツも日本での燃料電池自動車FCVの販売を計画していますが、これらの自動車メーカーの販売計画台数や販売地域が明確になっていない事に加えて、水素ステーションの設置費用の他にも毎年多額の運用費が必要になります。
この運用費は年間で5000万円かかりますが、ここでも国は助成金として年間で約2000万円の補助を決定しています。それでもまだ燃料会社はリスクが高いと判断して足を踏み出せない状況です。
ちなみに水素ステーション100ヵ所の黒字化には約20万台の燃料電池自動車FCVの普及が必要だと試算されているようです。
更に、水素燃料の価格面でも国の制約があります。
岩谷は、燃料電池自動車FCVの普及を考慮し、また国の方針に沿って水素燃料の価格を格安の1キロ当たり1100円(税別)で販売すると発表しましたが、この発表にエネルギー業界の関係者は驚きました。
国は燃料電池自動車FCVの普及のためガソリン価格よりも水素価格を割高にしない方針であるため燃料会社は自由に販売価格に上乗せ出来ないという足かせも加わっています。
水素ステーションは安全性が高い設計
水素エネルギーは、太陽光や風力発電などの需要に合わせて発電することが難しい再生可能エネルギーが生み出した電気を保存すしておく手段として保存性や可搬性において大変有利です。
よって、再生可能エネルギーで発電して電気自動車に充電し、余った電気は水素に変換して貯蓄しておき必要に応じて燃料電池で利用するなどの多彩な使用法が考えられます。
この様に水素エネルギーは太陽光や風力、バイオマスなどの二酸化炭素を発生させないものからの水素の生成を目指しています。
水素燃料を生成している施設は、安全を第一に設計されており、例えば配管から水素が漏れた時に検知して自動的にバルブが閉まるように設計されています。
また、水素の重量は軽く空気の1/14、漏れれば、天井方向に向かうため、天井に傾斜をつけておくことで、天井一ヶ所に水素が留まらず一気に大気に拡散して放出させるように建物にも安全面の設計がなされています。
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