炭水化物(糖質)の分類と特徴
■糖質は大きく3種類に分類される
糖質は、糖と糖との結合の数によって大きく以下の3種類に分類されます。
1.単糖類・・1個の糖のみ
2.少糖類・・2個から10個の糖が結合した構成
3.多糖類・・糖が多数結合した構成
1.単糖類とは
単糖類は糖の最小単位の物質で、代表的な単糖には一般的にはブドウ糖と呼ばれているグルコースや果糖と呼ばれているフルクトースなどがあります。
水溶性が高く甘味が高い特徴があります。
単糖類 グルコース
グルコースはブドウ糖のことで、自然界に豊富に存在している糖です。
でんぷんは多糖類ですが、体内の消化酵素で分解されると最終的に単糖類のフルクトースになります。
グルコースは、血中に含まれており、筋肉の収縮、神経の伝達などに使われて活動エネルギーになり、また脳のエネルギーとしても活用されている糖質です。
脳はブドウ糖だけがエネルギーとして使われているため、グルコースは必要不可欠で1日に約120gも消費するといわれています。
体内の余剰なグルコースは脂肪として蓄えられます。過剰摂取は、贅沢病とも揶揄される肥満や糖尿病の原因となります。
人体が余剰の栄養素を貯蔵する機能は、長い飢餓時代を経て、人類が生き延びるために獲得した防衛本能です。
皮肉な事に飽食の現代では命を縮める原因になっています。
単糖類 フルクトース
フルクトースは果実やはちみつに含まれている糖で、糖質の中で最も甘味度が高い特徴があります。
フルクトースは小糖類のショ糖(グルコースとフルクトースが結合したもの)に含まれています。
よって、ショ糖を加水分解すればフルクトースが得られます。
フルクトースは清涼飲料水として使用されています。
単糖類 ガラクトース
ガラクトースは脳糖(Brain sugar)ともよばれています。
グルコースほどの甘味はありませんが、水に溶けにくい性質があり、語源はギリシャ語で「乳の」を意味する「galakt-」からきています。
ガラクトースはグルコースやフルクトースのように自然界にはあまり存在しておらず、果実に少量含まれている単糖です。
赤ちゃんに与える母乳は乳糖と呼ばれるガラクトースとグルコースの化合物ですが、赤ちゃんは乳糖を体内酵素で分解してグルコースを得てエネルギーにしています。
赤ちゃんにガラクトースを分解する酵素が少ない時はガラクトース血症という遺伝病で白内障や肝機能障害などを起こすので早期の診断が必要になります。
グルコースと同様にラクトースを構成する単糖に分類されます。
2.少糖類とは
単糖類が2個から10個ほど結合した構成となっていて、結合した単糖類の数が2個の糖類を二糖類、3個結合した糖類が三糖類でオリゴ糖と呼ばれていますが、オリゴ糖は解釈の幅が広く定義が明確ではありません。
因みに糖が20個以上結合した多糖類もオリゴ糖と呼ばれることもあります。
オリゴ糖は、腸内の善玉菌を増やし腸内細菌のバランスを調整する機能も持っています。
少糖類 ショ糖(スクロース)
ショ糖は砂糖の主成分で、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した二糖類です。水溶性が高く、燃えやすい特徴があります。
ショ糖を酵素で加水分解するとグルコースとフルクトースの1対1の混合物が作られます。この混合物はショ糖よりも甘味度が高く転化糖と呼ばれます。
体内では、ショ糖かせ小腸に達すると消化酵素サッカラーゼにより加水分解されて、グルコースとフルクトースに別れて、急速に腸壁から吸収されて血中に入り血糖値を上げます。
糖尿病患者は、摂取を制限されています。
希少糖に分類されるD-プシコースは、グルコースの吸収を抑制する作用があります。
少糖類 麦芽糖(マルトース)
麦芽や水あめの主成分で、ブドウ糖がブドウ糖が結合した二糖類です。
主な使用用途として、ビールの醸造に活用されています。
少糖類 乳糖(ラクトース)
動物の母乳や一部の植物に存在する、グルコースとガラクトースが脱水結合した二糖類です。
母乳に約7%、牛乳には約4.5%含まれています。
酵素β-ガラクトシターゼにより、グルコースとガラクトースに分解されます。
3.多糖類とは
多糖類は、糖が10個以上から数千個結合したものをいうことが多く、糖の結合数ではオリゴ糖と重複している場合もあり、世界でも明確な定義がありません。
多糖類は、水と結合し易い特性があり、セルロースやチキンは水に溶けにくく、一方でんぷんやグリコーゲンゲルは水に溶けゲル状になるなど様々です。
ゲル状となる多糖は、食品添加物として利用され安定剤として用いられています。
また、多糖類は繊維、製紙、化粧品や歯磨剤等の日用品や医療など広い範囲に利用されています。
多糖類 でんぶん
でんぷんは植物が光合成によって根茎や葉(ジャガイモ、クズ)、種子(トウモロコシ、コメ)に蓄えたグルコースの重合体です。
でんぷんを取り出すときはでんぷんは細胞内に存在しているため、細胞膜を壊してでんぷんの粒子を取り出します。
多糖類 デキストリン
デキストリンはでんぷんを酵素によって加水分解したときにできる混合物です。
でんぷんを含んでいる食べ物を加熱すると、でんぷんの一部が分解されてデキストリンや二糖類のマルトースとなり消化しやすくなります。
多糖類 グリコーゲン
グリコーゲンは動物のエネルギー源として肝臓に蓄えられます。
糖質を食べると、胃腸で消化され、腸壁からグルコースとして血中に入りますが、血中の糖の濃度を一定に保つため過剰なグルコースはグリコーゲンとして肝臓に蓄えられます。
血中のグルコースが減少すると肝臓のグリコーゲンを分解してグルコースとして血中に補充されます。
多糖類 セルロース
セルロースは植物細胞の細胞壁や植物繊維の主成分で地球上の有機物の50%以上を占めているといわれている多糖類です。例えば木綿の繊維は純粋なセルロースでできています。
セルロースはグルコースが直鎖状に重合した天然の高分子で3,000個から10,000個から成ります。
多糖類 デキストラン
デキストランはグルコースのみが数千個以上つながった粘液性の多糖類です。
医薬品では血漿増量剤、化粧品では保湿剤、食品では食品添加物や飴などの粘性や接着性に応用されています。
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