健康診断 糖尿病 「尿糖」
糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンの不足や、インスリンが分泌されていても、インスリンの作用が低下して起こります。
血中のブドウ糖は、インスリンの作用によって、筋肉細胞などに取り込まれて、活動エネルギーとして消費されます。
しかし、インスリンの分泌量の不足や、インスリンの作用が弱くなると 、ブドウ糖が筋肉細胞などに取り込まれにくくなります。
そうなると、ブドウ糖が細胞の外側に多い状態となって、血中に戻ります。
ブドウ糖の濃度が一定濃度以上になると尿に多く混じって排泄されます。
尿糖では糖尿病の診断はできない
尿から糖が、排泄されることから、糖尿病と名付けられています。
余ったブドウ糖が、尿とともに排泄されれば、問題がないように思えますが、しかし、大切なエネルギー源であるブドウ糖が、体の中で充分に使われていない状態になり、細胞に十分な栄養が行き渡らない事になります。
血糖値が170ml/dlを超えるくらいに高くなると、尿に糖が漏れ出るようになり尿糖検査で「陽性(+)」になります。
健康な人でも、一過性の尿糖がみられることがあり、糖尿病以外でも尿糖がみられる場合もあります。
尿糖が陽性で、血糖値が高ければ糖尿病が疑われます。特に空腹時の検査で尿糖が陽性の場合、かなり高い確率で糖尿病が疑われます。
また、血中の糖分が高い状態が続くと、重大な合併症を引き起こすことになリます。
尿糖検査は、血糖値検査を行わない場合に、糖尿病のスクリーニング検査として行われます。
血糖値に異常が無ければ、腎臓の糸球体でろ過されたブドウ糖のほとんどは、尿から排泄されずに、近位尿細管で再吸収されます。
しかし、近位尿細管にはブドウ糖の再吸収能力に限界があり、再吸収されずに残った糖が、尿中に排泄されて、尿糖が陽性になります。
既に糖尿病の人が、尿検査で「陰性(−)」から「陽性(+)」に転じた場合、糖尿病が悪化した可能性が高いといえます。
糖尿病は、インスリンが十分に分泌されていないか、インスリンがうまく働いていないことが考えられます。
尿糖が「陰性(−)」であっても必ずしも糖尿病ではないとはいえません。なぜなら、糖尿病の診断基準は空腹時血糖値が126r/dl以上とされ、ていますが、この数値を超えていても、尿糖は必ずしも「陽性(+)」にはならないのです。
最終的な糖尿病の診断は、空腹時血糖値や「ヘモグロビンA1c」の数値が優先されます。
「ヘモグロビンA1c」とは
赤血球中のヘモグロビンにはブドウ糖が結合した糖化ヘモグロビン(グリコヘモグロビン)が存在していますが、「ヘモグロビンA1c」はこの一種で、1日の血糖値の平均が高いほど増えることから「血糖コントロールの指標」とされています。
ヘモグロビンにブドウ糖が結合すると、赤血球の寿命が尽きるまで結合していますので、その割合を検査することで検査前の1〜2ヶ月の血糖値の状態が分かります。
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