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健康診断 血圧検査

 

 血圧検査 

 

日本では、50歳代で約半数、70歳以上では約7割の人が高血圧といわれています。高血圧は自覚症状がなく、高血圧が長く続くとさまざまな合併症を引き起こします。

 

血圧が高いと血管の内壁に強い圧力がかかり続けるため、血管が動脈硬化を起こします。動脈硬化がすすむと血管の弾力性が失われて傷ついて動脈硬化が進行し、脳の血管の動脈硬化は脳出血や脳梗塞などの脳卒中につながります。

 

また、心臓の筋肉に酸素や栄養を補給している冠動脈に動脈硬化がすすめば狭心症や心筋梗塞の原因となります。

 

更に腎臓の血管の動脈硬化では腎障害を起こします。いずれにしても心臓の負担が大きくなるため心肥大を起こしやすくなります。

 

この様な合併症を予防するためにも自分の安静時の血圧を知っておくことがとても大切です。

 

最近では、家庭用の血圧計が普及していますが、上腕で計測するタイプの血圧計を使い、注意事項を守って計測しましょう。

 

血圧は、心臓の収縮によって全身に送り出された血液が動脈の壁に与える圧力のことです。この圧力は心臓のはく動によって変動し血圧の状態は2種類であらわすことができます。

 

収縮期血圧(最大血圧)

心臓が収縮して大動脈に血液を送り出しているときに血圧は高くなり、その最大値を収縮期血圧といいます。

 

拡張期血圧(最小血圧)

心臓が弁を閉じて、拡張して大静脈からから戻ってくる血液をためているときには血圧が低くなります。その最小値を拡張期血圧といいます。

 

平均血圧は、次の式で表された血圧です。

 

拡張期血圧 + (収縮期血圧 − 拡張期血圧)÷ 3

 

高血圧は、心筋梗塞・脳卒中を招く動脈硬化や腎臓病等の発症に関与しています。

 

健診の血圧検査は、聴診法又は自動血圧測定装置によって測定されます。

 

聴診法では、いったん加圧した後、圧を徐々に減少させていく過程で聴取されるコトロフ音の音質や有無を聴診器で聞く方法です。

 

血圧は、心臓から送り出される血液の量と血管の抵抗によって決まりますが、血液が流れにくくなると全身に血液を巡らせるために強い圧力が必要になって収縮期血圧が高くなります。

 

また、拡張期血圧は65歳くらいから低くなる傾向がありますが、動脈硬化が進行していることが考えられます。

 

動脈硬化がすすむと、収縮期血圧が高くなり、拡張期血圧が低くなり、血圧の上と下の差(脈差)が大きくなります。

 

日本高血圧学会の血圧分類

 

血圧の分類は、世界共通です。

 

正常血圧の基準は、収縮期血圧が130mmHg未満かつ拡張期血圧が85mmHg未満です。

 

高血圧の基準は、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上です。

 

収縮期血圧と拡張期血圧の両方が、基準を下回っているときに正常域とされています。

 

    血圧の分類   収縮期血圧(mmHg)     拡張期血圧(mmHg)
    正常域血圧 至適血圧      <120     かつ      <80
 正常域血圧 正常血圧    120~129    または    80~84
 正常域血圧 正常高値血圧    130~139    または    85~89
 高血圧 T度高血圧    140~159    または    90~99
 高血圧 U度高血圧    160~179   または   100~109
 高血圧 V度高血圧     ≧180    または    ≧110
 高血圧 (孤立性)収縮期高血圧     ≧140     かつ      <90

 

白衣血圧と家庭血圧

 

病院などの医療機関で測る血圧は緊張などによって一時的に血圧が高くなることがありますが、これを白衣高血圧といいます。

 

反面で家庭で測る家庭血圧は精神的に安定してリラックスしているため医療機関の数値よりも低くなります。

 

家庭血圧では、この点を考慮して収縮期血圧が135mmHg以上または拡張期血圧が85mmHg以上で高血圧としています。

 

家庭血圧の計り方

 

家庭血圧の測定では、朝と夜の2回行ってその平均を計算します。

 

朝は起床して1時間以内に、トイレに行き、食事や薬の前に測定します。夜は就寝前に測定します。

 

検査前の喫煙、飲酒、コーヒーなどのカフェイン入り飲料の摂取は避けてください。

 

 

24時間血圧測定

 

携帯型の自動血圧計を身に着けて24時間、日常生活をしてもらい15〜30分間隔で自動的に血圧測定を行い記録します。2008年には健康保険の適用になっています。

 

血圧は、一日の中でも大きく変動しますので、40歳を超えたら年1回の健診だけではなく、一日に何度か時間を決めて血圧を測定して自分の本当の血圧を知っておくことをおすすめします。

 

この24時間血圧測定が開発されたことで、血圧の変動は人それぞれのパターンがあることが分かりました。

 

例えば、忙しい仕事のストレスで日中は高血圧状態が続いているのに、健康診断の時は仕事を離れているので血圧が下がる「仮面高血圧」で、家庭や仕事中には高血圧状態になるパターンです。
仮面高血圧の人は、正常血圧の人に比べると3倍も脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクが高いというデータもあります。

 

タイプとは、「早朝高血圧」、「夜間高血圧」、「昼間高血圧」など医療機関での血圧検査ではわからなかった高血圧のタイプが明らかになってきました。

 

「早朝高血圧」は、朝方に血圧が高くなり脳卒中や心筋梗塞を起こしやすい要因と考えられています。

 

また、「夜間高血圧」は睡眠中も血圧が高い状態が続き、心臓や血管の疾患を起こすリスクが高くなるといわれています。

 

「昼間高血圧」では、仕事や人間関係のストレスからくる「ストレス下高血圧」というタイプもあります。

 

血圧が低い場合

 

血圧が低い低血圧の基準は正式には設定されていませんが、厚生労働省では収縮期血圧が90mmHg以下の時に低血圧といわれています。

 

本態性低血圧といって、特に原因が明らかでない場合は特別な検査や治療は行われませんが、心臓や神経に異常があって血圧が低くなる場合は症候性低血圧が疑われる場合は検査や治療が必要になる場合もあります。

 

低血圧でも、他の糖尿病などの生活習慣病の危険因子が多くなると動脈硬化を進めて脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まることも知っておきましょう。

 

高血圧の予防と改善

 

日本人は外国人に比べて高血圧の人が多いといわれています。その原因として塩分の過剰摂取があります。

 

昔から、お味噌や醤油、漬物などの和食には多くの塩分が使用されていますが、塩辛い食べ物に食べなれていると、知らず知らずのうちに塩分の過剰な摂取になってしまいます。

 

一日の塩分の摂取量を少なくすることが重要です。なるべく早い時期に薄味に慣れておくことがポイントです。

 

喫煙や過度の飲酒、肥満やメタボリックシンドロームも血圧を高くする要因となりますので、出来る限りこれらを解消する努力をしましょう。

 

1.食塩の摂取を一日6g未満にしましょう。
  料理の調味料には塩の代わりにレモンなどの酸味のあるものを使用しましょう。例えば、納豆に付いている醤油を使わずにオリーブオイルとハチミツをを加えても美味しくいただけます。

 

2.野菜や果物を積極的に摂取しましょう。
  野菜に含まれているカリウムなどのミネラルは塩分を排出する働きがあります。

 

3.適度な運動を取り入れましょう。
  毎日、ウオーキングを30分程度取り入れましょう。

 

4.お酒は適量にしましょう。
  お酒は百薬の長といわれている通り、適度なお酒は血行を促進して免疫力を高めてくれます。
  しかし、過度の飲酒は血圧を高くする以外にもさまざまな生活習慣病の原因となります。

 

5.禁煙しましょう。
  タバコは百害あって一利なしといわれている通り、血管を収縮させて血圧を上げて動脈硬化の原因になります。その他にもさまざまな生活習慣病の危険因子となっています。
  さらに、副流煙による間接喫煙によって周囲の人まで重篤な疾患にかかるリスクを高めます。

 

大規模な検査による血圧数値(参考)

 

日本人間ドック学会と健康保険組合連合会(健保連)の調査研究小委員会は、2014年4月に「新たな健診の基本検査の基準範囲 (150万人のメガスタディ)」と題し、新たな正常血圧の基準値として収縮期血圧は147mmHgまで、拡張期血圧は94mmHgまでとしました。

 

この基準値は、健康な人の測定値を数多く集めて、95%の人の検査値の範囲を示したものです。

 

つまり、10000人の健康な人のうち9500人の人が、この基準値の範囲にありましたというものです。

 

将来の心血管の疾病については、考慮されていません。

 

人間ドック学会と健保連は「今後数年間さらにデータ追跡調査をして結論を出していく」、「今すぐ学会判定基準を変更するものではない」という声明を発表しています。


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