健康診断 眼底検査
瞳孔から入った光が突き当たる眼球内の奥の部分が眼底です。
眼底検査では、眼底鏡で瞳をのぞきこむと内頚動脈から分かれた網膜血管が縦横に走っている状況が確認できます。ここが眼底で網膜のことです。
眼底検査には、散瞳薬を滴下して瞳孔が薬の作用で散大する20分後に眼底カメラで撮影します。
散瞳薬を使用すると、検査後も瞳孔の散大が継続するため、遮光が困難になります。
よって、健康診断では無散瞳眼底カメラが利用されます。
網膜血管は、脳血管や全身の血管の状態を反映するといわれています。眼底は体の中で唯一外から血管の見える部位といえます。
以前は、この血管の走行を見ることで、高血圧、高脂血症、糖尿病の血管への影響、動脈硬化の程度などを判断していました。
最近では、糖尿病の合併症の糖尿病網膜症の発見にも活用されています。目の病気では、緑内障や加齢黄斑変性症の早期発見の役割が大きくなっています。
動脈硬化性変化
動脈硬化や高血圧の場合は、網膜血管の蛇行や狭窄が起こります。
動脈硬化では、硬化した動脈が静脈を圧迫して交差することもあります。
また、網膜には変性、萎縮、浮腫、出血、白斑などがみられることもあります。
内科を受診して合併症などの精密検査をする必要があります。
眼底出血
網膜の血管から出血が起こるもので、糖尿病や高血圧が疑われます。血糖値や血圧が高く内科を受診していない人は、まず内科を受診しましょう。
視神経乳頭陥凹
視神経が網膜から脳に向かっている部分が視神経乳頭ですが、この部分の凹みが大きくなっている場合は視神経乳頭陥凹の疑いがあります。
検査でこの症状がみられた場合には、眼圧が正常範囲であっても緑内障の可能性があります。眼科での精密検査を受診しましょう。
糖尿性網膜症
糖尿病による糖尿病性網膜症では、網膜の出血、滲みだし、動脈瘤が発生する場合があります。
糖尿病による網膜症が疑われる場合は内科治療や眼科での精密検査が必要になります。
進行すると高度の視力障害につながる硝子体出血や網膜剥離が起こるリスクが高まります。
糖尿病性網膜症は失明原因の1位で、年間で約3000人が失明しています。
緑内障
緑内障は、自覚症状が現れた時には、すでに神経線維の70〜80%が死滅している怖い病気です。
一度死滅した神経線維は回復することはありませんので、視力も回復しません。
緑内障は、糖尿病性網膜症に次いで失明原因の第2位で、年間で約2000人が失明しています。
早期に治療すれば失明には至りません。
網膜剥離
網膜は10層からなっていますが、一番外側の網膜色素上皮と他の9層の神経網膜との間に水がたまって剥がれる症状が網膜剥離です。
網膜剥離が広がると視力や視界に障害が起こりますので、すぐに眼科で精密検査を受けましょう。
加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症とは、物を見る機能を司っているおう黄班部が障害されて見たいところが見えにくくなります。進行すると視力低下が起こります。
眼底検査では、異常な新生血管や網膜剥離、出血、浮腫などがみられます。前段階の病変である前駆病変のドルーゼンがみつかることもあります。
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