危険な生活習慣と免疫


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生活不活発病を発症する症状や原因と予防法

 

体を動かさなくなると生活不活発病になる
 

生活不活溌病(廃用症候群)とは

 
超高齢化社会を迎える日本では、高齢者の一人暮らしが急増しています。配偶者に先立たれて、可動範囲が狭くなって孤独となり、活動が減少することでさまざまな疾患につながります。
 
今回ご紹介する生活不活発病は、高齢かが進む日本にとって大変気になる、重要な疾患ですので、原因や症状を知っておくことで予防につなげましょう。また、周囲に生活不活発病の予兆がある方に気づいたときはアドバイスをしてあげましょう。
 
人は健康状態や加齢、社会的ストレスなどがきっかけになり動く事が、おっくうになることで心肺機能が低下すると同時に筋量も減少します。
 
そして、ますます活動することが、おっくうになる悪循環に陥り最終的には寝たきりなどの要介護状態になる病気を生活不活発病といいます。
 
高齢者に対して良かれと思い手助け支援をし過ぎることで本人の活動が低下してしまい生活不活発病になることがあります。本人が出来ることは手助けをせずに見守ってあげましょう。本人のためなのです。
 
生活不活発病は以前は「廃用症候群」と言われていましたが、廃用症候群の「廃」は「廃棄」や「廃業」、「廃人」などを連想させ不愉快になるということで、独立長寿医療研究センターの大川弥生先生が「生活不活発病」という名称を提唱しました。
 
生活不活発病は「最近、体が思う様に動かなくなったが年だから仕方がない」、「ちょっと病気をした後、体調が戻らないが年のせいで治りにくいのだう」などの症状が起こりますが、皆様は最近この様に感じたことはないでしょうか。
 

震災地で多発した生活不活発病は

 
震災地では外出を控えるようになって生活不活発病が多い 
 
生活不活発病は、文字通り生活が不活発になった状態で体や脳の働きが低下する病気なのです。
 
生活不活発病は東日本大震災で多発したことが知られています。
 
2016年に発生した熊本地震において生活不活発病との関連を調べるため、同志社大体力医科学研究センターが平均年齢75歳、78人を対象に筋肉量などの測定とアンケート調査を実施しました。
 
その結果「地震前より悪化した人」、「新たに症状が出た人」が比較的被害が少なかった八代でも全体の4割にも上ったことが分かり、地震が生活不活発病の悪化や増加の引き金になった可能性が高いとみられています。

 

震災地の方が生活不活発病を発症する原因は、「することがなくなった」や「外出の機会が減った」などです。
 
原因の「することがない」とは、それまで行っていた仕事、高齢者では農業などができなくなったことです。
 
また「外出の機会が減った」は家事や趣味、地域でのお付き合いや行事がなくなったなどです。
 
更に、周囲の人には生活不活発病の知識がないため「被災者だから」、「高齢者だから」と気を使って過度に手助けをしていました。
 
本人がやろうと思っていることまでやってあげるので益々体を動かす機会が減ってしまうと生活不活発病に近付いていきます。

 

 

無重力の宇宙飛行士と同じ

 

宇宙飛行士も筋肉が衰えて生活不活発病と同じ状態になる 

 

米国の話でありますが1938年に外科医のダニエル博士は、盲腸で入院した患者が手術の当日博士を無視して仕事に都合で退院しました。
 
しかし、その後全く問題なく普段の生活に戻る事ができたのです。当時盲腸の患者は術後1~2週間は入院をして安静にして寝てくべきであるとする「安静第一」が常識になっていました。
 
術後に早期に歩行した患者は、「安静第一」にした患者よりも体力の回復が早く食欲も旺盛で術後の傷の治りも早いことが分かったのです。
 
宇宙飛行士は宇宙の滞在が長期化すると骨が溶け出して尿中のカルシウムが排泄され、踵の骨のカルシウム量の減少が9%に及びました。
 
ご存知のように宇宙は無重力環境です。重力に逆らって体を動かす地球とは異なり、筋肉を使わずに生活を営むことが出来ます。
 
そして、脳は血圧の調整を必要としませんので「寝たきり状態」と同じになり、地上に帰還すると「起立性低血圧」を起こします。正に生活不活発病と同じ状態になります。

 

 生活不活発病の予防は医療費削減

 
当然の事ですが使わない機能は衰えます。
 
生活不活溌病は衰えるスピードが非常に速く大きい特徴があります。
 
世界保健機関WHOが世界的な増加を懸念している早死の原因にもなります。
 
2013年度の日本の概算医療費が前年度比2.2%増の39兆3千億円になり7年連続で増加しました。
 
国民1人当たりの医療費では65歳以上の医療費がおよそ72万円と65歳未満の4倍以上になりました。
 
20歳以上の人が毎日今より3000歩多く歩けば年間で1600億円の医療費削減に寄与できるとの研究調査があります。
 
生活不活発病患者の増加は医療費増大の一因になっていると言えます。
 

   

 

生活不活発病の症状

 

生活不活発病は心肺機能が衰えて様々な病気の引き金になる 

 

生活不活発病の症状は人それぞれで個人差があり、心身機能全体にあらわれる可能性がありますので、全ての症状をあげることはできません。
 
生活不活発病はまだ知られていないため、別の病気であると考えてしまう危険性があります。

 

1.体の一部に起こる症状

 
体の一部に起こる症状として広く知られているものに「関節の動きの制限」や「筋力低下」、「筋肉萎縮」があります。
 
また、体を動かさないため骨に刺激が行かなくなって「骨萎縮」が起こります。
 
更に、長い時間同じ姿勢でいることで血液の流れが悪くなって静脈の壁に血栓ができて「静脈血栓症」を起こします。

 

2.全身に起こる症状

 
体の隅々に酸素や栄養を供給しているのは血管ですが、血液送り出しているのは心臓です。
生活不活発病になると体を動かさなくなるので、「心臓の働きが低下」して十分な栄養や酸素を全身に運べなくなります。
 
体を動かさずに横になっている時間が長くなると、急に立ち上がった時に「起立性低血圧」を起こします。健康な体では立ち上がった時に下半身の血管を収縮させて血圧を保って脳に血液が巡るように働きます。
 
しかし、生活不活発病では体を動かさないために各機能が衰えて脳に十分な血液が行かなくなって起立性低血圧を起こします。
 
宇宙飛行士は無重力環境での滞在が長くなるため地球に帰還後「起立性低血圧」を起こしやすくなることが問題となっています。
 
また、生活不活発病では運動不足による「便秘」になったり、「食欲不振」になります。
更に「全身倦怠感」は体を動かさないための体力の低下や筋力の低下から起こりやすい症状です。

 

3.神経に起こる症状

 
体を動かさなくなると脳への刺激も少なくなります。脳の働きが悪くなって神経や精神の働きにも問題がでてきます。
 
脳を使う機会が少なくなると知的活動が低下して認知症の様な状態になることもあります。
 
また、周囲の出来事に無関心になったり、感情が鈍くなってうつ状態になることもあります。
 
しかし、生活不活発病では、体の動作を活発に改善すればこういった症状も改善することがわかっています。
 
 
以上のように、体や精神に幅広く様々な症状が現れます。記載した症状以外の他の症状も起こる可能性があります。
 

   

 

生活不活発病を発症する原因

 
生活不活発病は定年などが転機になっておこる 
 
生活不活発病の大きな特色は、「生活の変化」から生じる病気です。
 
人生は、人はそれぞれで異なります。仕事や家族、住居、交友、趣味など千差万別です。
 
そして、中高齢になると必ずといってよいほど転機が訪れます。例えば定年退職や配偶者との別離などです。毎日の生活が根本的に変わることで生活不活発病を発症するケースが多いのです。
 

定年などによる社会参加の低下

 
定年退職すると、それが転機となって社会とのつながりが低下するケースが多く見受けられます。仕事でかかわってきた社会に遠慮がちになったり、周囲の目を気にしてやりたいことを我慢するようになります。
 

体が動きにくくなる

 
中高齢になると膝や腰の痛みをかかえている人が多くなります。こうなると「痛いから動かない」という考えになって活動が減少してしまいます。
 

動作を自分で制限する

 
中高年になると生活習慣病をはじめとして様々な疾患にかかりやすくなりますが、「病気の時は安静」という通念に縛られて過度に安静にすることで活動を制限してしまいます。
 
まず、生活不活発病になると下半身の筋量が減少すると同時に関節の可動域も狭くなり、歩行に支障をきたすようになります。
 
下半身には太い筋肉が集まっており、使わないと筋肉は萎縮してしまいます。
 
また、活動量が減ると骨密度が減少し骨折しやすくなります。同時に心肺機能が低下することで疲れやすくなります。
 
活動が乏しくなると脳に刺激が行かなくなり、物事に対する関心がなくなり、思考や感覚の器官の働きが鈍くなります。
 
生活不活発病の特徴は、風邪や胃炎、頭痛のように決め手のなる分かりやすい症状が出ない事です。
 
例えば「歩くと疲れる」、「座っていても疲れる」、「立ち上がりにくい」など生活動作の不自由や困難がある点が他の病気と異なります。
 

 

生活不活発病になる典型的な流れ

 

生活不活発病のすすむ流れ 
 
 
@ 肉体的、精神的な原因(地震や水災害の被災地に多い)
 
    ↓
 
A 体を動かせない、動く事がおっくう
 
    ↓
 
B 筋肉や心肺機能が低下
 
    ↓
 
C 益々、体を動かす意欲がなくなる悪循環
 
    ↓
 
D 引きこもりとなり気分転換ができず、ストレスが溜まりうつ状態になるケースもある
 
    ↓
 
E殆ど動かさなくなり、要介護の状態となる
 
 
概ね、以上の経過をたどります。
 
生活不活発病は、最初は心か体の一方が病となり、それをきっかけとして心身共に不活発になってしまいます。
 
生活不活発病を理解しておくことで、自ら積極的に予防する事が大切です。
 

   

 

生活不活発病になるきっかけ、要因

 

生活不活発病の要因 

 

行動しなかったり、体を動かさない事を 年齢のせいにして片付けてしまう傾向がありますが、生活不活発病の入り口に立っている可能性があります。
 
心身は表裏一体と言われていますが、体力が衰える時に心も萎えてしまってはいけません。
 
心の持ち方が重要であることは、ドイツの哲学者カントが幼少児の時の体験から語っていますが、現在でも心の持ち方が大切であることが常識になっています。
 

生活不活発病は自分で気づくこと

 

生活不活発病は自分で気づくことが大切 
 
まず現在の生活が不活発になっていないかを自分で気づくことが大切です。また、家族などの毎日身近にいる方も、すぐに気が付くことができます。
 
医師よりも本人や家族の方が気が付きやすいのが生活不活発病の特徴です。
 
 
@ 生活が不活発になっていないか、自問自答してみる。
 
A 以前に比べて出来なくなった生活行為がないか考える。
 
 
地域の社会活動やコミュニテイに積極的に参加して、生きがいのある生活を送ることが大切です。
 
 
@ 生活が不活発になった点に気づいたら、活発な生活を取り戻す努力をする。
 
A 難しくなった生活行為があれば、「生活行為向上練習」を行なう。
 
 
「生活行為向上練習」は、自宅内や周辺地域での活動を練習して、短期的に集中して活動状態を向上することで、行動を始めれば短期に効果を上げることができます。
 

薬より運動や本人の気持ちが大切

 

「好循環をつくることが大切」

 
生活不活発病が改善するサイクル
 
生活不活発病の改善は薬ではありません。「不活発」を「活発」にすることで予防や改善をすることができます。
 
具体的には「難しくなったと感じている動作をうまく出来るようにする」ことが大切です。
 
@ 良く動くようにする
 
    ↓
 
A 生活不活発病が軽度になる
 
    ↓
 
B 動きやすくなる
 
    ↓
 
C さらに動きやすくなる
 
 
以上のような好循環をつくることが大切です。良い方向に回転すると改善が早くなります。
 
それには、「体を動かすこと」が目標なのですが、「単に体を動かす」という義務感や努力感ではなく、「充実した生活を送る」ことと「体を動かす」ことがつながっていないと、長続きしません。
 
つまり、「どのような充実した生活にするか」を本人が積極的に考えて関与することが重要です。また、本人の事が良く分かっている家族や友人など周囲の人のアドバイスも効果的です。
 
生活不活発病は、早期に生活習慣を改善すれば予防や改善をすることが可能です。
 
良かれと思って行き過ぎた手助けをすることが生活不活発病につながります。自分自身の事は出来る限り自分でしてもらうようにしましょう。
 
過度な手助けは結果的に本人のためになりません。少々時間がかかっても自分自身のことは自分でしてもらう方針が生活不活発病を予防するポイントです。


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お酒に強い人弱い人がいます。分解酵素からみた4つのタイプのご紹介
食事バランスの悪化は死亡リスクを高める調査結果
食事のバランスが悪いと死亡リスクが高まる調査結果のご紹介
キラーストレスは死を招く 対処法と解消法
キラーストレスは死を招きます。キラーストレスの対処法と解消法のご紹介です
キラーストレス ストレスホルモンが免疫力を低下させる
NHKで放映されたキラーストレスとストレスホルモンのメカニズム、働きや作用をご紹介します。キラーストレスは免疫力を低下させます
キラーストレスの恐怖が脳の神経細胞を破壊する
キラーストレスの恐怖が脳の神経細胞を破壊することがわかっています
飲酒で赤くなる人や女性は発がんリスクが高い
世界ででお酒とがんの研究がなされていますが、飲酒量が多くなるほど発がんリスクが高くなり、タバコが加われば飛躍的に発がんリスクが高まることが分かっています。
覚せい剤より怖い危険ドラッグの毒性や依存性
危険ドラックは成分が明らかにされていないため、どの程度の量でどのように作用するのか分かっていません。使用後に記憶もなくなり脳や神経系が壊れ死に至ることもあります
血圧サージの原因と予防法・解消法 「タオルを握る」
医療機関で計った血圧が正常範囲でも寝起きなどに血圧が上昇して高い状態がキープされる脳卒中や心筋梗塞の原因になります。血圧サージの原因と予防法や解消法、対策、血圧サージ共振仮説をご紹介します
怒りは心筋梗塞のリスクを高め免疫低下 6秒数えて沈静化
怒りは血管を収縮して酸素や栄養が届かず、やけどやキズの治りが遅くなります。他にも体調不良や睡眠不足の原因に、怒りのコントロール法をご紹介します

若返り法 健康的にやせる 基礎代謝を上げる 免疫を高める 危険な習慣 認知症を予防 腸内環境を整える