危険な生活習慣と免疫


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お酒を飲む機会が増えてる

 

 

 

女性の社会進出が進み、社会にでれば男女問わずビジネスパーソンにはお酒を飲む機会が増えます。
 
お酒は百薬の長といわれている通り、適度であれば血管を広げて血行を改善し体温を上げ免疫力を高める作用があります。
 
また、気分をリラックスさせてストレスを発散させてくれるメリットもあります。
 
しかし、継続的な飲酒は健康被害が大きくなることはご承知の通りです。
 
飲み過ぎて翌朝二日酔いで辛い思いをしたビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
 
多くの研究で、アルコールに含まれているアセトアルデヒドを分解する酵素は遺伝によって両親から引き継がれることが分かっています。
 
アセトアルデヒド分解酵素が欠損している遺伝子を持っている人の場合、お酒を飲み続けるとがんなどのリスクが高まることが分かっています。
 
以下にご紹介いたします。

 

飲酒が原因のがんの種類

 

飲酒と発がんの関係 

 

 
お酒とがんの関係で思い浮かぶのは肝臓ですが、実際にはお酒を飲むと喉や食道、胃、腸などの消化器官にアルコールがしみわたりますので、さまざまな器官や臓器にがんが発生するリスクが高まることが分かっています。
 
2007年にWHO(世界保健機関)は、飲酒が原因のがんの種類として、口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、更には大腸や女性の乳房も飲酒が原因で発生するがんとして特定しています。

 

アセトアルデヒドの発がん性の研究

 

アルコールが肝臓で分解されるときに産生されるアセトアルデヒドには強力な毒性があります。
 
WHO(世界保健機関)は2007年に「アルコール飲料に関するアセトアルデヒドには、人への発がん性の十分な証拠がある」としています。
 
この発がん性が確認されているアセトアルデヒドは、お酒の種類によって濃度が違います。
 
日本で飲まれているお酒で最もアセトアルデヒドの濃度が高いお酒は、
 
「焼酎」や「ウイスキー」ですが、その量を100とした場合、
 
「日本酒」や「ワイン」で70、
 
「ビール」では10〜20、
 
「ウオッカ」ではアセトアルデヒドの濃度が最も低く6程度です。

 

アルコールと乳がんのリスク

 

女性の飲酒は乳がんのリスクを高める 

 

飲酒と乳がんの関係については、多くの研究がなされ飲酒によって乳がんのリスクが高まるという結果が得られています。
 
ビール250ml、ワインなら軽く1杯程度増えることで、
 
乳がんのリスクが7%増、
 
ワイン4杯で28%の増加という研究結果があります。
 
日本の国立がん研究センターの研究でもほとんど同じ結果が得られています。
 
お酒を飲むと女性ホルモンのエストロゲンの分泌が増えるため、乳がんが増えると考えられています。
 
日本でも、近年乳がんが増加し続けていますが、女性の社会進出とともに飲酒の機会が増えているためではないでしょうか。

 

タバコとお酒の二刀流は発がんリスクが跳ね上がる

 

飲酒とタバコは発がんリスクが跳ね上がる 

 

愛知県がんセンターの「下咽頭・食道がんのリスクと飲酒・喫煙習慣」調査をご紹介します。
 
「お酒も飲まず、タバコも吸わない人を1」とした場合、
 
「お酒を飲まなくてもタバコを吸う人(毎日20本を30年)の発がんリスクが4倍」、
 
「タバコを吸わなくても、1日当たり日本酒換算で1.5合以上の飲酒で8倍」、
 
「酒も飲み、タバコも吸う場合が30倍」という結果が発表されています。
 
フィンランドの研究では、タバコとお酒の組み合わせで唾液中のアセトアルデヒド濃度が瞬間的に400マイクロモルまで上がり、タバコを吸うのをやめると急激に低下すると報告しています。80マイクロモルでDNAを傷つける恐れがあるとされています。

 

お酒を飲める、飲めない、3タイプ

 

女性の社会進出と飲酒

 

アルコールは体内に入ると、肝臓に運ばれて毒性のあるアセトアルデヒドに分解され、最終的には酢酸になります。
 
私たちの体の細胞には、このアセトアルデヒドを一瞬に分解して無害化する酵素が備わっています。
 
この酵素を「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」といいます。
 
少しのお酒で「赤くなる人」は、このALDH2が弱い人です。
 
お酒の強弱は両親から遺伝することが分かっていますが、次の3タイプに分けることができます。
 
1.「赤くならない人」は、ALDH2活性型といい両親からアルコールに強い遺伝子を受け継いでいる人です。
 
2.「赤くなる人」は、ALDH2ヘテロ欠損型といい片親のみから強い遺伝子を受け継いでいる人です。
 
3.「赤くなって全く飲めない人」は、ALDH2ホモ欠損型は両親からアルコールに弱い欠損遺伝子を受け継いでいる人です。

 

赤くなるALDH2欠損型は多発重複がんのリスクが高い

 

国立がん研究センターは調査の結果、ALDH2欠損型では、多発重複がんのリスクが高くなると報告しています。
 
ALDH2欠損型の人では、飲酒による多発重複がんのリスクが、食道がんでは5.3倍、頭頚部のがんでは7.4倍にもなっています。

 

ALDH2欠損型で赤くならなくなる人は危険

 

特に問題となるのが、「赤くなる、ALDH2ヘテロ欠損型」の人だと分かりました。
 
ALDH2ヘテロ欠損型の人は、飲み始めて2年から3年を経過すると赤くなる症状が消えてしまうのです。
 
そして、お酒を飲める強いタイプと勘違いをしてしまい、長期的な飲酒が多発重複がんのリスクを高めていると警鐘を鳴らしています。
 
このALDH2ヘテロ欠損型は遺伝子検査をすることで調べることが出来ます。簡単に調べる方法として、「お酒を飲み始めた頃、ビール一杯で赤くなったかどうか」です。
 
心当たりがある方は、飲酒による発がんリスクが高いので注意すべきです。
 
ALDH2ヘテロ欠損型の人では、日本酒換算で1.5合程度を飲む実験で、
 
「飲酒後の血中アセトアルデヒド濃度が20マイクロモル(ALDH2活性型は低レベル)を超え」、
 
「唾液中のアセトアルデヒド濃度が80マイクロモル(ALDH2活性型では50程度)を超えていた」と報告しています。
 
この80マイクロモルはDNAを傷つける可能性がある濃度といわれています。
 
ALDH2ヘテロ欠損型の人で、高濃度のアセトアルデヒドに口から食道にかけてさらされることになります。

 

赤くなるALDH2ヘテロ欠損型の人の食道がんのリスク

 

厚生労働省の研究班と国立がん研究センターの共同研究で、赤くなるALDH2ヘテロ欠損型の食道がんリスクは、
 
「1日の飲酒量が日本酒換算で1.5合未満だと食道がんリスクが6.8倍」、
 
「2合程度で65倍と飛躍的にリスクが高まり」、
 
「3合以上では104倍にもなった」と報告しています。
 
この結果から、赤くなるALDH2ヘテロ欠損型の人では毎日の飲酒量を日本酒換算で1.5合未満にすれば、食道がんの半数が予防できるとしています。

 

赤血球の大きさ(MCV)とがんのリスクの関係

 

赤血球の大きさMCVが巨大となると発がんリスクが高まる 

 

アルコール性の肝障害を調べるマーカーとして、γ-GPTの数値が指標になっていますが、酒を多く飲む人の中には、ノンリスポンダーと呼ばれ体質的にγ-GPTの数値があまり増えない人がいます。
 
そこで、健康診断の血液検査結果で赤血球の大きさを表すMCVの数値が、赤くなるALDH2ヘテロ欠損型の人のアルコール依存症のマーカーとして参考になります。
 
研究によると、赤くなるALDH2ヘテロ欠損型の人で、食道がんのリスクが上昇する1日1.5合以上飲酒する人の場合ではMCVが106フェムトリットル以上の巨大な場合に、アルコール依存症の患者では、咽頭がん、食道がん、胃がん、大腸がんも赤血球が巨大ではない人に比べて、2〜4倍も発がんリスクが上昇する結果が得られたと報告しています。
 
MCVが大きくなる原因は、緑黄色野菜やレバーに多く含まれている重要なビタミンである葉酸が欠乏していることがあげられます。
 
多量の飲酒で、葉酸を吸収しなくなるので、大酒飲みの人では不足しやすいビタミンなのです。


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