イスに座る時間と寿命の研究
NASAの研究「耳石」を動かせば長生きできる
「イスに座り続けると寿命が縮みます」
イスに座る時間、期間が長い人ほど寿命が短くなるという恐ろしい研究結果がヨーロッパやアメリカから続々発表されています。
これは座り病ともいわれ、米国NASAでも研究が続けられています。
無重力の宇宙に滞在し地球に帰還した飛行士の体力や循環器機能、骨密度、代謝(糖や脂質)が低下、更に認知機能までが低下することが突き止められました。
無重力の環境では耳の中にある「耳石が働かない」ので筋肉に刺激か行かず、よって無重力環境で筋力トレーニングを行っても筋力がつかないため筋力トレーニングにならないことが明らかになりました。
イスに座った状態を長く続けて体を動かすと、無重力状態と同じ状況になると説明しています。
例えば、1時間イスに座っていると22%も寿命が縮むと報告しています。
「耳石」が活発に動いていれば、自律神経の働きが活発になって良好な状態を保つことができると述べています。
以上のことから、イスに座って仕事をしているデスクワークの多いビジネスパーソンは短命ということになります。
日本では江戸時代末期に開国とともにヨーロッパ文化が輸入され、イスの生活が広く普及しました。
明治以降、イスに座っての会議、食事などの習慣が浸透してきましたが、それまでは、時代劇にみられるように正座やあぐらをかいて直接床に座っていました。
会社では事務作業や会議等ではイスがなければ仕事が出来ない環境です。
家庭、車、電車、いたるところで座る機会が多く座る時間が長くなっています。
既に適度の運動は健康の維持増進に効果がある事が分かっています。
しかし、イスに座っている時間が長い人ほど寿命が短いという話は聞いたことがありません。
NASAの「耳石」を動かす研究では
「耳石」を動かす行動は、ただ「立つ」だけで可能だと説明されています。
30分間イスに座って仕事をしたら、単に1回立ち上がることだけでいいのです。
別の研究でも、生まれたばかりの赤ちゃんをゆりかごの様に揺らしたら、それだけで筋肉量が増えたとする研究結果が報告されています。
体を動かさなくても「耳石」が動けば筋肉が鍛えられて筋力がつくことになります。
NASAの研究では、1日32回立ち上がる人の寿命が長くなったそうです。
長く座るリスクの研究結果
座っている時間と健康の相関について米国の先行研究の結果があります。
◎座位でのテレビ視聴時間の研究
座位時間が2時間未満を規準にして死亡リスクが段階的に増加する結果が出ています。
1.2〜4時間未満で死亡リスクが11%の増加
2.4時間以上で死亡リスクが22%の増加
更に冠動脈疾患死亡リスクが18%上昇することが示唆されています。
座位姿勢で1時間ごとに大腿動脈の機能を測定した結果では、最初の1時間の座位で血液を循環させるのに必要な血管の機能が50%も低下することが分かっています。
◎座位は、カロリー消費が少なく肥満になる
肥満の人は、座っている時間が長いという統計結果も出ています。
太りすぎると立っている姿勢がつらくて座れる場所を探してしまいます。そして更に肥満を助長する結果となってしまうのです。
アメリカで20年に渡って行われた調査では、太っている方は痩せている人に比べて一日に2時間半長く座っているという統計結果があります。
20年間で、座っている時間が増加し肥満も倍増しました。
また、デスクワーク組と立ち仕事組では、デスクワーク組が心臓病になる確率が2倍増になるとの調査結果が明らかにされています。
日本でも下半身の筋肉を動かすことが大切であることを裏付けるデータがあります。
それは長時間にわたってバスの運転席に座っている運転手は心筋梗塞などの疾患が多く、反面で体を動かす機会が多いバスガイドは少ないという報告があります。
座ることで寿命が短くなる原因
長時間座り続けると健康を損ねて寿命が縮まる原因はどこにあるのでしょうか?
座れば脳や脊髄から足の筋肉に送られる電気信号が滞り、代謝によるカロリー消費が下がります。
脂肪を分解する酵素「リパーゼ」が、中性脂肪を燃焼する効率も大幅に低下して、善玉コレステロールが減少します。
また、インスリンが血糖値を下げる作用も減少し、糖尿病の悪化要因になることも分かって来ました。
人体の解剖学的見地からは、イスに座れば臀部から後大腿部にかけて体重の圧迫を受けます。
後大腿部には、太い静脈が通っています。その静脈は、総大腿整脈とそこから分岐する深大静脈や浅大静脈が膝後ろへ走っています。
それらの血管が圧迫されることで、血流が悪くなり、主に膝の裏側に血栓が出来やすくなります。
また、下肢に酸素や栄養が運ばれ難くなります。
静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群又はロングフライト血栓症)と同じような症状が見られます。
>>言葉説明「静脈血栓塞栓症」
エコノミークラス症候群又はロングフライト血栓症などともいわれ、飛行機や車に乗って、同じ姿勢で長時間座り続けることで、血栓が出来て体内を巡り、肺に集まれば、呼吸困難になり死に至る事もあります。
座る頻度が高い生活の方は、「テロメア」の劣化が早くなって、喫煙と同じ位寿命を縮めるリスクがあると説明する研究者もいます。
>>言葉説明「テロメア」
染色体の複製に伴う損傷を防ぎ安定性を維持する機能や細胞分裂を繰り返すたびに短くなり細胞の老化原因と云われています。
座ることの健康リスクを下げる方法
座りっぱなしの健康リスクを下げるには、座りっぱなしの時間を減らすしか解決法がないということです。
デスクワーク中心のビジネスパーソンは、いかに対処すれば良いのでしょう。
米国はインディアナ大学の研究では、1時間の座位時間ごとにイスから離れて5分間程度の歩く身体活動で正常な状態が維持出来ると発表しています。
以上の事から、デスクワーク中心の方は、座りっぱなしを避けるために意識的に小まめに動く事がリスク回避の方法といえます。
仕事中は時間を作って運動を取り入れることは難しく、仕事の中で体を動かす事を意識しましょう。
例えば、コピーは部下に頼まず自分でする。
お茶やコーヒーが飲みたくなったら、自分でいれる。
階の移動は、階段を使う。出来れば、腿上げ効果のため一段抜かしがお勧め。
階段の一段抜かしは、通勤や外出時にも出来ますので是非トライして下さい。
オフィス等でのイスの座り方
最も負担がないイスの角度は、座面に対して背骨が135度となるように座ることだそうです。
しかし、この角度では仰け反ってしまい、仕事になりません。
太股裏の圧迫を減らすために、イスの高さを低くすることで、座面と太股裏に隙間を作る事をお勧めします。
ただし、この場合は机の高さとの兼ね合いがありますので、机が高くなる様でしたら、足の下に台を置くなどして調整してみましょう。
また、座った時に背中が丸くなる姿勢はよくありませんので、背筋を伸ばして椅子に浅く座ることをおすすめ致します。
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