「出典:NHKエンタープライズ」
毛細血管が減少して衰えるとシミ、シワ、そして認知症の原因になることが解明されています。
毛細血管は一層の内皮細胞からつくられ末端の組織に栄養や酸素を運び、二酸化炭素や老廃物を回収する大変重要な働きをしています。
この毛細血管が老朽化すると血液がスムーズに通わなくなり、最後は血管そのものが消えて無くなることが分かっています。
その原因として、毛細血管を保護している壁細胞が劣化して、はがれると途中で血液が漏れて体の隅々に大切な栄養素や酸素が届かなくなると同時に二酸化炭素や老廃物の回収が出来なくなります。
体全体がむくみが続く方は、毛細血管が漏れている可能性があります。
でも、毛細血管は再生し増やすことが出来ます。
血管新生といって、毛細血管をケアすれば消えた毛細血管が増えて再生しアンチエージングにつながります。
血管の構造について、もう少し詳しくご説明いたします。
血管は心臓から送り出される血液が通る「動脈」、心臓へ戻ってくる血液が通る「静脈」、この2つの血管の末端をつなぐ「毛細血管」の３種類で構成されています。
これらの血管を全部つなぐと全長10万km、地球の赤道を2周半の長さにもなります。
今、医療現場で最も注目されているのは血管の中で一番細く血管全体の99%を占めている毛細血管なのです。
毛細血管をケアすれば、シミやシワ、たるみを防いで若返り、アンチエージングにつながります。
毛細血管の太さは非常に細く、血中のヘモグロビンがやっと１つ通過できるほどで動脈の千分の1、流れる血液も秒速1ｍｍ以下といわれています。
毛細血管は、内膜、中膜、外膜の3層構造の動脈や静脈とは異なり、薄い内皮細胞だけでつくられています。
心臓から送り出される血液は、大動脈→中動脈→小動脈→細動脈→毛細血管へと送られて細胞に有益な物質を届けています。
毛細血管の壁は非常に薄く細かい小孔が開いていて、酸素やブドウ糖、水、脂肪、ホルモンなどの栄養素や飲んだ薬の成分などが毛細血管から末端組織へしみ出します。
しみ出した栄養素などは細胞間へ流れ込み、最終的には細胞の中に浸透していきます。
また、細胞で発生した二酸化炭素や老廃物は細胞間に染み出して毛細血管の小孔から入り毛細血管内へ入り込んで回収されます。
このように毛細血管は、細胞に必要な物質を送り届け、不要になった老廃物や活動によって発生した二酸化炭素を回収する大切な働きをしています。
毛細血管は、一番細い血管だからこそ、体の末端隅々まで大切な栄養素や酸素を届けられるのです。
毛細血管は、酸素のない場所があるとそこへ向かって毛細血管を伸ばしていきます。
毛細血管が弾力性に富んでじょうぶであれば血管年齢が若々しく、お肌の隅々まで栄養や酸素が届けられるので若さを保つことができるといえます。
毛細血管が若い人は見た目も若い
「毛細血管と美肌」
日本人の約25%の4人に1人が心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気で亡くなっています。
血管年齢と健康寿命は相関関係にあるといえます。
毛細血管に支障があると体の末端の細胞に栄養や酸素を届けられず、老廃物の回収が出来なくなって、シワやシミ、肌荒れなどの老化を促進させてしまいます。
人は血管から老化するといわれていますが、見た目が若々しい人は血管年齢も若いといえます。
血管年齢が若ければ美肌や健康を維持することができます。
しかし、実際には多くの人は欧米化した食事や油分、飲酒、喫煙、運動不足、ストレスなどで血管の老化が進み、血管の弾力性が失われて硬くもろくなっていきます。
特に女性では、月経が終わりエストロゲンの分泌が減少すると動脈硬化が進むという研究結果もあります。
血液の巡りが悪くなれば、毛細血管も減少して栄養や酸素を末端に届けられなくなり、肌荒れやシワ、たるみ、くすみ、疲れやすいといった症状が表面化します。
毛細血管は、40代から減りはじめ60代では40%も減少するといわれていますので、毛細血管をケアして増やし再生することで若々しく保ちましょう。
毛細血管は腸や口などの粘膜に集中しており、動脈や毛細血管に問題があるとドライマウスや口内炎などになりやすく、頭皮の毛細血管に栄養や酸素が届かなくなれば抜け毛や薄毛が進行します。
血管の内壁に汚れがたまって詰まりやすくなると、しなやかさが失われます。毛細血管は老化とともに減少します。
毛細血管は、全身に張り巡らされ臓器や器官に存在しているため毛細血管が消えて減少するゴースト血管になったり、汚れがたまって詰まって弾力性が失われて衰えると様々な症状がおこります。
例えば。脳の毛細血管が詰まると小規模の脳梗塞を起こし認知症の原因になることもあります。
糖尿病では、本来は酸素と結合するヘモグロビンにブドウ糖が結合し運ばれるため糖尿病性網膜症や壊疽、神経障害などを引き起こすことにります。
また、インスリンの過剰な分泌は糖尿病のほか、肥満やがん、うつ病などを発症するリスクを高めることが分かっています。
毛細血管を増やす毛細血管ケア
「毛細血管ケア」
毛細血管をケアして増やして再生し血管年齢を若返らせることで、見た目も若返らせることができます。まず、毛細血管からアンチエイジングをしましょう。
毛細血管は40代から消えて減り始めるといわれていますが、食事や睡眠、また筋肉を鍛えて有酸素運動を取り入れることで毛細血管を増やして再生することも可能です。
私たちの体はくまなく自律神経に支配されています。毛細血管も自律神経の影響を受けています。
強いストレスや睡眠不足が続くと血管が収縮して高血圧状態となって血管に負担がかかり血管が老化する原因になります。
毛細血管ケアのために適度な運動を習慣化すれば、筋肉に酸素や栄養を運ぶために新しい毛細血管が増えて再生します。強度の高い運動は血管に負担がかかるため逆効果です。
運動の強度は、毎日ウォーキング15分程度、上半身の筋力トレーニングとしては自宅で気軽にできる腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットなど少し息が上がる程度で行いましょう。
スクワットの代わりに、駅や勤務先などで階段を一段抜かしで上がれば下半身の筋力トレーニングになります。
毛細血管ケア 生活習慣と食事、ストレス対策と方法
「動脈硬化」
血管の老化とは、血管内壁の内皮細胞の隙間に酸化コレステロールが入り込んで溜まり、血流が悪化するとともに血管の弾力性が失われ硬くなり動脈硬化へと進みます。
更に酸化コレステロールの蓄積が進むと白血球の貪食細胞であるマクロファージが酸化コレステロールを異物と判断して食べます。
マクロファージの死骸などが蓄積するため血液の通り道が狭くなり血流が悪化して血管が詰まり切れたりすることで脳卒中や心筋梗塞など引き起こします。
タバコは動脈硬化を進める
「タバコの害」
タバコは百害あって一利なしと言われていますが、発がん物質60種類、様々な化学物質を4000種類以上も含んでいることで知られています。タバコは血中の赤血球を増やす作用があるため血液が「ドロドロ」となる原因になります。
タバコに含まれている一酸化炭素は血管の内皮細胞を傷つけて動脈硬化を促進させることになります。
タバコの代名詞ともいえるニコチンは交感神経を刺激して血圧や心拍数を上げて血管に傷害を起こすことで知られています。そして傷害された傷の中に入り込んだLDLコレステロールを酸化して動脈硬化を進行させます。
またニコチンには血中の血小板を凝集させるほか、血液凝固因子を増やして血栓をつくりやすくする働きもあります。
さらに喫煙はアドレナリンなどのストレスホルモンの分泌を高めて血糖値を上昇させ、すい臓の働きを弱らせてインスリンの分泌を低下させたり、効きを悪くさせたりする作用も確認されています。
まず、喫煙者ではタバコを止めることで血管にかかる血圧を減らして動脈硬化を改善しましょう。
塩分、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸の摂取に注意しましょう
「トランス脂肪酸」
塩分の取りすぎは血圧の上昇を招き、血管の老化を促進させます。
塩分の代わりに香辛料やレモンなどで味付けをしましょう。
コンビニやファストフードの食品には塩分やトランス脂肪酸が多く含まれています。
その他にもトランス脂肪酸はケーキやクッキーアイスクリームなどにも含まれています。
また、バターやラード、赤身肉などに含まれている飽和脂肪酸やマーガリンに含まれているトランン脂肪酸の過剰な摂取は血管や心臓などの循環器やがんによる死亡リスクを高めることが12万人を対象にした30年間に及ぶ米国ハーバード大学の研究調査で明らかにされています。
オメガ3脂肪酸である不飽和脂肪酸を摂取しましょう
「オメガ3脂肪酸」
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸をアマニ油やエゴマ油、大豆油などのオメガ3脂肪酸やオリーブオイルや菜種油などのオメガ9脂肪酸などの不飽和脂肪酸に置き換えることで健康に大きなメリットがあります。
オメガ3脂肪酸は、サバやサンマ、イワシなどの青魚に豊富に含まれており血圧の安定に寄与する油ですので積極的に摂取しましょう。
GI値の低い食べ物を中心に摂取しましょう
「全粒粉の食パン」
白いご飯やパンは少しずつ血管を痛めつけてしまいます。
全粒粉のパンや玄米のご飯が血管の疾患である心臓病や糖尿病のリスクを下げることが明らかになっています。
欧米の男女約80万人を対象に約30年間に及ぶ大規模な追跡研究が行われました。
研究の結果、毎日全粒穀物を一定量(食パン3枚程度)食べる人は心疾患や脳卒中などの血管の疾患で早期死亡するリスクが約25%も低いことが分かりました。
また、がんによる早期死亡リスクも約15%低い結果となり、全粒穀物の摂取量が多い人ほど心血管疾患による死亡率が低くなると結論づけています。
できる限り全粒小麦粉のパンやパスタ、オートミール、玄米などを摂取しましょう。
GI値はグリセミック・インデックスと呼ばれ、食品が体内で糖に変わり血糖値を上昇させる速さを計測した値です。
GI値の高い食品は、食事の前後で血糖値の変動が大きくなるため、血管にダメージを与えて脳疾患や心疾患のリスクを高めることが分かっています。
GI値が低い食べ物ほど血糖値の上昇が遅くなり糖尿病を遠ざけて血管を保護することができます。
GI値を下げる効果のある食品は食物繊維、乳製品、豆類なとですのでGI値の高い食品を食べるときは、これらも一緒に摂取しましょう。
強いストレスも血管にダメージ
「強いストレスは血管にダメージ」
強いストレスも血管にダメージを与えることが分かっています。
強いストレスはキラーストレスと呼ばれ、キラーストレスによって交感神経が優位な状態か続くと血管を収縮させ、この状態が続くと心臓の周囲の血管を締め上げて心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高まることが解明されています。
緊張状態が続くときは、大きく深呼吸をして、腹式呼吸に切り替えてひとつひとつの呼吸に意識を集中することで副交感神経に切り替えることができます。
副交感神経が優位になれば毛細血管が拡張してリラックス効果を得ることができます。
また緊張状態が続くと免疫細胞が働かなくなることが分かっています。
最新の研究ではがん細胞を殺傷するナチュラルキラー細胞が働かなくなることが解明されています。
キラーストレスについては、こちらのサイトでご紹介しています。
血管をケアする食べ物
「ポリフェノールを含む食品」
過剰な活性酸素は、血中の悪玉コレステロールと結合し酸化して不要な物質に変化します。
免疫システムは不要な物質を異物と判断し貪食細胞のマクロファージが食べて処理します。その後マクロファージが死滅するとコレステロールの塊が残り血管内壁に入り込んで、その部分が塊となって動脈硬化を進めます。更に進行して血栓ができると心筋梗塞や脳梗塞につながります。
体内で発生した活性酸素を除去するために抗酸化作用のあるポリフェノールを含んだ食品を積極的に摂取しましょう。
ポリフェノールを多く含む食品としては、トマト、かぼちゃ、ゴーヤ、枝豆、ピーマン、リンゴなど多くの野菜や果物、ワインや緑茶などにも含まれています。
また、シャケや海老、カニなどの赤い色はアスタキサンチンと呼ばれ強い抗酸化作用を持つポリフェノールです。
ポリフェノールを含む食べ物
血管力を高める食品食材
半身浴で冷え性を改善して血管ケア
「半身浴の効果」
毛細血管は、足の先や指の先まですみずみに広がっています。血流が悪化すことで血液がとどこおって末端まで届きにくくなって冷え性になります。
人の体は、もともと昼間は活発に活動して夜は休むようになっています。
手足が冷え性の人は寝つきが悪く眠れないのは体のリズムが乱れているおそれがあります。
就寝前に38℃から39℃のぬるま湯にゆっくりと浸かって半身浴をしましょう。
ぬるま湯の半身浴は、副交感神経が優位になり血管が拡張して上肢や下肢の末端まで血液が行き渡り、反面で体の深部の体温が下がり睡眠へいざなってくれます。
熟睡できれば、血中の酸素や栄養素、ホルモンが末端まで行き渡り、血管のケアもできて体を健康な状態に保ってくれます。
バスクリンなどの蛍光物質には体を温める作用がありますので、適度に活用されることをお勧めします。
半身浴は、必ずぬるめのお湯で行いましょう。熱いお風呂では交感神経が優位になるため毛細血管が収縮して体の中心部に血液が集まって寝つきが悪くなります。
また、冬場は浴室内をシャワーで温めておき浴槽の温度に近づけてから入りましょう。
上半身が寒いと交感神経が優位になり半身浴の効果を期待することはできません。
就寝前に食事をすると体の中心部が温められて交感神経が優位となって寝つきが悪くなりますので、出来れば就寝3時間前には夕食を終えるようにしましょう。
ＮＯ(一酸化窒素)を増やして毛細血管を若返らせる体操
毛細血管をケアして若返らせるための運動をご紹介します。
医療法人社団池谷医院院長で循環器専門医の池谷敏郎先生が30年かけて考案した血管若返り体操が『ゾンビ体操』です。
ゾンビ体操をすると血流がよくなりNO（一酸化窒素）が作られて毛細血管の修復や拡張する効果があり動脈硬化の予防に効果があると説明しています。
また、脂肪を燃焼、心筋梗塞を引き起こす原因の一つであるエイリアン脂肪の燃焼にも効果があるそうです。
NO（一酸化窒素）の作用
①血管を拡張させて血圧を下げる。
②血栓の発生を抑えて動脈硬化を防ぐ。
ゾンビ体操の方法
①立った状態で肩から指先までの力を抜いてブラブラの状態にする。
②その場でかかとを少し浮かせつま先で足踏みのジョギングをする。
③ 顔と上半身の力を抜きイヤイヤをするように上半身をひねる。
④１分間行ったら３０秒程その場で足踏みをする。
ゾンビ体操１分間、30秒の足踏みを3セット行う。
以上を朝、昼、夜と1日3回行いましょう。
血管の若返り効果のほかにも下半身の筋力アップとシェイプアップ効果も期待できるそうです。
百聞は一見に如かず、こちらの動画をご参考にしてください。
池谷敏郎医師のゾンビ体操 yutube動画
以上、毛細血管ケアの対策と方法いかがでしたでしょうか。
毛細血管をケアして若返らせればお肌の健康や老化防止につながります。
日々、生活習慣に取り入れて健康寿命の延伸を目指しましょう。
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