血液循環を良くすれば免疫力が高まります
出典「NHKエンタープライズ 毛細血管」
血管は網目のように全身にくまなく張り巡らされています。
その血管内を血液は循環していますが、血液が全身を一回りする時間は約20秒といわれています。
この血管内を循環している血液には大変重要な働きがいくつかありますが、その中でも血液の循環を良くすることで免疫力を高めることができます。
血液循環を良くすれば全身に免疫細胞が運ばれる
細菌やウイルスは体のどこから侵入してくるかわかりません。
全身を循環している血液は免疫細胞を全身に行き渡らせています。
血液は血球と血漿で構成されていますが、血球成分には白血球、赤血球、血小板があります。
この中で免疫機能に関係しているのが液性免疫と呼ばれる白血球です。
白血球には顆粒球とリンパ球があります。
顆粒球は主に細菌を担当しています。顆粒球は全身をパトロールして有害な細菌が侵入すると、いち速く駆けつけて細菌を貪食して殺傷します。
この時に毛細血管の血流が増加して顆粒球が集結して細菌をせん滅しますが同時に炎症が起きて皮膚が赤く腫れあがります。炎症が治まるころに細菌の残骸の黄色い膿が残ります。
一方、リンパ球は主にウイルスを担当しています。リンパ球は複雑な免疫システムを駆使してウイルスや体内で発生した、がん細胞を殺傷する重要な働きをしています。
リンパ球は生成されるところによって呼び名が違います。
骨髄で生成される免疫細胞をB細胞、胸腺で生成される免疫細胞をT細胞といいます。
T細胞にはB細胞の免疫機能を助けるヘルパーT細胞と、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺傷するキラーT細胞があります。
これらの免疫細胞が血液循環によって全身に運ばれ私たちの体を異物から守ってくれているのです。
以上のように、血液は免疫作用を担っていますので血流が滞れば免疫力に影響が現れます。
血液の循環がスムーズであれば体内に侵入した細菌やウイルスを免疫システムが撃退してくれます。
酸素や栄養を補給して不要な老廃物や二酸化炭素を回収
血液は栄養素や肺から取り入れた新鮮な酸素を体のすみずみへ運び循環する働きがあります。
体の各組織で産生された老廃物(カス)や二酸化炭素を回収し、肺や腎臓などの排泄を担っている臓器へ運ぶ働きがあります。
酸素を全身に届けるのは赤血球の役割です。
血管で最も細い毛細血管の直径はヘモグロビンの直径よりも細く、ヘモグロビンは中央のくぼみを中心に折れ曲がって毛細血管の中を通り抜け酸素やたんぱく質を体のすみずみまで届ける役割を担当しています。
しかし、血液の循環が悪くなると十分な酸素や栄養が届かず、また産生された老廃物や二酸化炭素などを回収できなくなるため貧血などの体調不良を起こします。
血液の循環を良くして十分な新陳代謝を行うことが重要です。
血液循環で体温運搬して生化学反応を高める
私たち人間は風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると熱を上げて免疫力を活性化させます。
体温を上げることで生化学反応を高めて免疫力を上げてウイルスを撃退するのです。
血液が体内を循環しているので全身の体温を上げることが可能です。
体温が1℃上がると体内の生化学反応が1.5から2倍も上昇するといわれています。
このように血液の循環を良くすることで免疫力が高まり、体温が上がって病気にかかりにくい体質になります。
血液循環を良くして健康を維持増進しましょう。
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