心臓は安静時に1分間に60回から80回収縮して血液を送り出していますが、同時に動脈も収縮と弛緩を繰り返して血液を体のすみずみに送っています。血管は第2の心臓といわれるゆえんです。
このように動脈は単なる管ではなくポンプ機能の働きをしていますので血管壁は強靭で弾力性に富んでいます。
しかし、血管が老朽化すると厚く硬くなり弾力性が失われ動脈硬化を起こして心臓に負担がかかるようになります。
また、血管の内径が狭くなると栄養や酸素が十分に運搬できなくなり臓器や器官が正常に働かなくなります。
そして血管が詰まると詰まる場所によって心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
血管は3層構造
動脈と静脈は3層構造になっています。
特に動脈は圧力がかかるため、柔軟性を保つ必要があるためコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの成分などでできています。
内膜
血液と接しているのが内膜で表面は内皮細胞で覆われています。
この内皮細胞は血管の作動物質を分泌して血管の収縮や拡張を調整するほかに血小板の
粘着や凝集を抑えて血管を守る重要な働きをしています。
内膜と内皮細胞は動脈硬化と関係があります。
中膜
血管の作動収縮や拡張などの動作をサポートしている筋肉です。
動脈には心臓から送り出された血液の強い圧力がかかるため中膜は厚く弾力性に富んでいます。
外膜
外膜は血管の外表面の膜です。
外膜には血管の外から細い血管を通じて栄養分などが運ばれます。
動脈硬化
動脈硬化は体のあらゆる場所で起こります。
動脈硬化には種類があり、起こる場所や発生のメカニズムが異なります。
大きく分類すると、日本人に一番多いのが、「アテローム動脈硬化」です。その他には「メンケベルグ型動脈硬化」や「細動脈硬化」などがあります。
日本人の死因の上位を占めている心筋梗塞や脳卒中の多くがアテローム型動脈硬化が原因で起こっています。
アテローム動脈硬化とは
アテローム動脈硬化の進行過程
アテローム動脈硬化は大動脈や脳動脈、心臓に血液を運ぶ冠動脈などの比較的に太い血管で起こります。
血液中には、赤血球、白血球、血小板のほかにも中性脂肪やLDLコレステロール、 HLDコレステロールなどの脂質が含まれています。
悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールには「小型LDL」と呼ばれる超悪玉コレステロールがあります。血中に中性脂肪が多いと小型LDLが作られやすくなり、小さいために抹消組織の細胞に取り込まれず長期に血中を巡るため酸化されやすくなります。
そして、小さいため血管壁に入り込んで貪食細胞マクロファージの影響で最終的にはアテローム動脈硬化につながります・
第1段階
LDLコレステロールが血管内壁の傷口から入り込むと、免疫細胞のマクロファージはLDLコレステロールを異物と判断して貪食します。
マクロファージは満腹になって役割を果たして死滅し、死骸が積み重なり盛り上がってその部分がアテロームとなり動脈硬化のもとになります。
第2段階
アテロームの中のLDLコレステロールが酸化すると毒性が強く炎症のもとになる「オキシステロール」に変化し、炎症が継続すると血管内膜から血管平滑筋細胞が壊れて移動し内壁が盛り上がって血液の通り道である内腔が狭くなります。
第3段階
炎症が慢性化するとアテロームを覆っている被膜細胞が死滅して薄くなります。
また、内膜もマクロファージが出す分解酵素によって薄くなります。
刺激によって被膜や内膜が破れて潰瘍ができるほか、プラークが破裂すると修復しようと血小板が集まって血栓をつくることによって血管が詰まり心筋梗塞などを引き起こします。
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血管・毛細血管を若返らせる食べ物
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