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血管の断面図 
 
最近、世界的にも医師の間で血管の健康状態を知る指標として「血管年齢」が注目されています。
 
血管年齢を若返らせるには内皮細胞が重要なカギになります。
 
内皮細胞から発生するNO(一酸化窒素)が血管を保護する働きがあることが分かっています。
 
血管は加齢や生活習慣など様々な要因で柔軟性が失われて血管壁が厚くなったり硬くなったりします。
 
血管の柔軟性が失われることを動脈硬化といいますが、加齢とともに血管が硬くなっていくのは老化現象といえます。
 
しかし、最近では若い人にも動脈硬化が進行しているケースが増えています。
 
血管の動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす原因になりますので、若い時から不規則な生活習慣を見直す必要があります。
 
血管は、動脈、静脈、毛細血管の3種類があります。
 
血流は、心臓→動脈→毛細血管→静脈→心臓、の経路で循環していますが、心臓から出て全身に酸素や栄養素を送る動脈は「外膜」「中膜」「内膜」の3層の構造をしており、特に「内膜」は薄い線維性の「内弾性板」と血流と接する部分は「内皮細胞」で構成されています。
 
「内皮細胞」が入れ替わるターンオーバーは約1000日といわれています。
 
通常お肌のターンオーバーは約28日といわれていますので、内皮細胞のターンオーバーはお肌の約30倍の期間かかることになります。
 
しかし、内皮細胞が一度に入れ替わるのではなく、約1000日をかけてゆっくりと新しい細胞に入れ替わりますので、毎日の血管ケアを始めれば徐々に血管年齢も若返り健康的な血管に変わります。

 

NOを発生する内皮細胞の働き

 

血管の一番内側に張り巡らされている内皮細胞は、血液と常に接しているため血管を守り血管を強くするように働いています。
 
そのポイントはNOにあります。
 
内皮細胞が正常で健康な状態であれば、血管はイキイキして血管年齢を若く保つことができます。

 

1.内皮細胞は血管を守るバリア機能

 

内皮細胞は、血中に含まれている不良な成分が血管壁に侵入しないようにブロックしています。

 

2.内皮細胞は血管を拡張するNOを発生

 

内皮細胞は血管を良好に保つNOを発生させて血管壁に刺激を与えて拡張させ血流を促進させる働きがあります。血管が拡張すると血圧が下がり血管への負担が軽くなります。
 
また、NOが血中に入ることで血液がかたまりにくくなって、脳梗塞や心筋梗塞の原因になる血栓ができにくくなります。

 

内皮細胞から発生するNOはアテローム性動脈硬化を防ぐ

 

アテローム動脈硬化症を防ぐ健康な内皮細胞 
「アテローム性動脈硬化」

 

血管の内皮細胞のターンオーバーが正常に行われ内皮細胞が強いバリア機能を保持していればアテローム動脈硬化の原因となるプラークが発生しても退縮して小さくなり血管壁が修復されます。
 
また、たとえ動脈硬化がある程度進行していても内皮細胞が再び強固なバリア機能を持てば血管壁の傷も修復され血管年齢を若く保てることがわかっています。
 
内皮細胞がイキイキして健全になれば血管を拡張させて血圧を下げる作用があるNOが発生して血栓もできにくくなり良いサイクルが生まれます。
 
また、太い動脈の内皮細胞が健全になると、老化が進行していない段階であれば、その影響が細い動脈にも波及して血管全体が若々しく健康な状態に回復します。
 

   

内皮細胞を傷める原因を減らす

活性酸素を減らす

 

活性酸素は内皮細胞に傷害を起こす 

 

内皮細胞を傷める原因は活性酸素と高コレステロールです。
 
血中の悪玉のLDLコレステロールが多くなると血液がドロドロ状態となって血圧も上昇して血管内壁に圧力をかけます。
 
また、活性酸素とLDLコレステロールが結合して酸化コレストロールとなって内皮細胞のから血管内壁に入り込み、免疫細胞のマクロファージが働いてアテローム性動脈硬化の原因になります。
 
この様な状態を引き起こさないためには、喫煙者においては禁煙をしましょう。
 
また、保存料や着色料などの食品添加物や過剰な飲酒を避けることです。
 
更にストレスも血圧を上昇させる作用があるので、ストレスの軽減にも配慮する必要があります。

 

血圧を上げる塩分を減らす

 

塩分の過剰摂取は血圧を高めて血管の内壁に傷をつける 

 

血圧が上昇すると血管の内皮細胞を傷つけてしまいます。
 
この血圧が高くなる原因には「塩分の摂り過ぎ」と「肥満」が関係しています。
 
日本人は昔から塩分の多い食品が多いことが影響して、諸外国に比べて塩分の摂取量が多くなっています。
 
厚生労働省は、高血圧予防の観点から一日の塩分の摂取量の目標を(食塩相当量)、高血圧予防の観点から18歳以上の男性で8.0g未満、18歳以上女性で7.0g未満と定めています。
 
また、日本高血圧学会減塩委員会では高血圧予防のために、1日6.0g未満という塩分の摂取量制限を勧めています。
 
因みに世界的にみると世界保健機関(WHO)では世界中の人の食塩摂取目標を1日5.0g未満とし、米国では心血管疾患の予防のためのガイドラインでは塩分の最大摂取量が1日3.8〜6.0gと定めています。
 
しかし、実際の日本人の1日の塩分摂取量は男性10.9g、女性9.2gと摂り過ぎになっています。
 
塩辛い食べ物が好きな方は、内皮細胞をケアして血管を若く保つために薄い味付けに慣れて減塩生活を送りましょう。

 

脂質と糖質を減らす

 

血液がドロドロになる原因として脂質と糖質の摂り過ぎがあげられます。血液がドロドロになれば血流が滞るため血流を高めようとして血圧が上昇します。
 
食べ過ぎや栄養のバランスを欠いた悪い食習慣を改善して、適度な運動を取り入れることが重要です。
 
血液が順調に流れていれば内皮細胞に適度な刺激が加わりNOの分泌が促進されて血管を拡張して血圧が低下し血栓も予防されて好循環が生まれます。

 

内皮細胞を元気にして血管を若返らせる食事の順番

 

食事の最初に野菜を食べる   食事の2番目にはお肉等のたんぱく質を食べる   食事の最後にごはんやパンなどの炭水化物を食べる
 最初に食物繊維   →    2番目に脂質     →   最後に炭水化物

 

内皮細胞を元気にして血管を若返らせるための食事の順番は、まず野菜などの食物繊維を摂取し、次に肉などの脂質、そして最後にごはんやパンなどの糖質を食べるようにしましょう。
 
血糖値を上昇させる炭水化物を最後に食べることで糖質の吸収を抑えて血管の内皮細胞を守りましょう。
 
いかがでしたでしょうか。血管年齢を若く保つためには毎日の食習慣や運動の習慣に気を配ることが大切です。内皮細胞からNOを発生させて血管若返り生活に取り組みましょう。


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