短鎖脂肪酸は体に有益な働きがある
腸内細菌は人が食べた物で消化しきれない食物繊維や多糖類を代謝して様々な物質を産生しています。
特に善玉菌が産生する有機酸である短鎖脂肪酸は人の体にとても有益な働きをしています。
短鎖脂肪酸は病原菌の感染防止
短鎖脂肪酸は腸内環境を弱酸性に保ち悪玉菌や病原菌の活性化や増殖を抑える作用があります。
大腸内に産生される短鎖脂肪酸のうちで、「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」は抗菌性が強く病原性大腸菌O157、サルモネラ、赤痢菌などの悪性度の強い病原菌の感染を抑える働きがあります。
短鎖脂肪酸はミネラル分の吸収を促進
短鎖脂肪酸の「酢酸」や「プロピオン酸」はカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分の吸収を促進する作用があります。
オリゴ糖を食べると腸内細菌のビフィズス菌は酢酸やプロピオン酸を産生します。これらの短鎖脂肪酸にはミネラルの吸収を促進する作用があります。
短鎖脂肪酸は大腸を健康にする
食物繊維の種類によって産生される短鎖脂肪酸の割合が異なります。
レジスタントスターチは酪酸を比較的多く作る傾向がありますが、この酪酸は大腸粘膜のエネルギー源の約8割をまかなっているといわれています。
また、酪酸は腸が収縮するぜん動運動を高めて排便を促進する効果を期待することができます。
レジスタントスターチは胃や小腸の消化酵素では消化されず直接大腸まで届くでんぷんやでんぷん分解物の総称です。
レジスタントスターチ多く含む食べ物は、いんげん豆、大麦、玄米、白米、全粒小麦などです。
これらの食べ物を摂取することで腸内環境を整えて大腸の健康を維持しましょう。
短鎖脂肪酸は大腸癌を予防
食事の欧米化とともに大腸がんが急増しています。
女性のがん死亡率の第1位が大腸がんですが、戦後の経済成長に伴って和食離れが進み穀類などの消費量はほぼ半分になったといわれています。
高タンパクで高脂肪の食事は悪玉菌のエサとなるため悪玉菌が活性化して腐敗物質や発がん物質を産生しますので腸内環境が悪化します。
また悪玉菌は一次胆汁酸を発がん性のある二次胆汁酸に変換しますので大腸がんのリスクが高まります。
悪玉菌が増えれば有益な働きをする短鎖脂肪酸が減少するので、食事では食物繊維やオリゴ糖を含んでいる食べ物をバランスよく摂取する必要があります。
短鎖脂肪酸の酪酸は正常な細胞を増殖させて大腸がん細胞を消滅させる働きが期待されています。
短鎖脂肪酸には悪臭の原因になるものも
短鎖脂肪酸の中には悪臭の原因となるものもあります。
アミノ酸のデアミネーションによって産生されるイソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸などで肉類をエサにする悪玉菌がアミノ酸を利用して産生します。
高タンパク、高脂肪の肉類を食べた時には大便やおならが悪臭を放つ原因となります。
以上のように、腸内細菌は人が食べたものをエサにして活動していますので、善玉菌を増やして元気して短鎖脂肪酸の産生を増やすように毎日の食事に気配り健康な腸内環境を維持しましょう。
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