腸内フローラ 昔から世界各地に乳酸菌がありました

世界各地の伝統的な発酵乳・乳酸菌の歴史

 

 

発酵乳・乳酸菌の歴史 

 

発酵乳の起源は、西アジアにおこった紀元前のメソポタミア文明までさかのぼります。

 

牛・馬・ヤギなどの草食動物を飼って家畜の乳を飲むようになってからと推測されています。

 

その時代に家畜の乳を入れていた容器に菌が入り込み発酵したものを食べたところ体調が良く、保存性も高いことが経験的に分かって日常的に食べられるようになったといわれています

 

乳酸菌は、その後に東アジアから中央アジアを中心に世界的に広まり、世界各地でさまざまな発酵乳文化を形成しました。

 

 

 

コーカサス地方のケフィア(ケフィール)

 

黒海とカスピ海に囲まれたコーカサス地方では、古くからヤギ皮の袋にミルクとケフィアグレイン(ケフィア粒)を入れ、戸口の近くにぶら下げて作られていました。

 

長期間、熟成させたケフィアは、葉酸の含有量が増加します。

 

ケフィアには牛乳に含まれるラクトースの消化を助ける機能があり、ラクトースに耐性の無い人には適しています。

 

ケフィアに含まれているケフィランが、血圧やコレステロールの上昇を抑えるとの報告もあります。

 

カスピ海ヨーグルトとは別の乳酸菌であり、酢酸菌を含んでいます。

 

ケフィアグレイン粒は、日本に持ち込まれて「ヨーグルトきのこ」として知られています。

 

ケフィアグレイン粒は、乳酸菌や酢酸菌、酵母、カビ類などで構成されています。

 

 

     

 

北ヨーロッパのヴィリー、イメール、テッテメルク

 

メソポタミア文明の馬乳酒は、北欧にも伝わりました。

 

フィンランドの乳酸菌で、発酵すると粘り気のあるクレモリス菌が使われています。

 

クレモリス菌は、カスピ海ヨーグルトに使われている乳酸菌として知られています。

 

ヴィリーには、クレモリス菌の他に酵母やカビ菌も使われています。

 

同じ北ヨーロッパ地域で、クレモリス菌が使用されているデンマークの「イメール」やノルウェーやフィンランドの「テッテメルク」が知られています。

 

中近東のレーベンやアイラン

 

イスラエルやイラクなどの中東では、羊の乳を使った発酵乳の古くからの歴史があります。

 

羊の乳を利用したレーベンは、ラバンとも呼ばれブルガリア菌やラクティス菌、メセンテロイデス菌など様々な乳酸菌が使用されている特徴があります。

 

また、トルコの代表的な発酵乳アイランは、水牛や牛、羊の乳を原料にしてブルガリア菌とサーモフィルス菌が主に使われています。少量の塩分を加えて料理に使ったり、お茶の代わりとして飲まれています。

 

アイランを布の袋で濾過してチーズを作っていますが、これがトルバと呼ばれる発酵乳製品になっています。

 

 

     

 

中央アジアのクーミス

 

中央アジアのカザフスタンなどでは、クーミスと呼ばれ、内モンゴル自治区ではツェゲーと呼ばれる馬乳酒があります。

 

クーミスは、中央アジアで人が家畜の馬と暮らし始めた頃に、自然に作られていたものと考えられており、マルコ・ポーロの東方見聞録には「クーミスは美味しい飲み物である」と記録されています。またチンギス・ハーンの伝説に既に登場しています。

 

ロシアでは、クーミスを「クルンガ」と呼ばれていました。

 

中央アジアは野菜が少ない地域で、羊肉などの肉食中心の遊牧民の生活において、馬乳酒は乳酸菌がビタミンCを生成するため野菜の代わりにビタミンやミネラルを補うものとして大量に飲まれてきました。

インドやネパールののダヒ

 

インドの代表的な乳酸菌で水牛や牛などの乳を利用して作られています。使用されている乳酸菌の種類はヨーグルトのスターターとして標準的なブルガリア菌やサーモフィルス菌、その他にもラクティス菌やファーメンタム菌など様々です。

 

インドネシアのダディヒ

 

ダディヒは、インドネシアの代表的な発酵乳で、水牛の乳を竹筒に入れてバナナの葉で覆っておき、発酵させるものです。

 

バナナや竹筒には、植物性乳酸菌のプランタルム菌やメセンテロイデス菌が付着しています。また、水牛や人の手に付着しているカゼイ菌などが付着しており、これらの乳酸菌が自然発酵して作られたものです。

 

 

アフリカのザバディ、エルゴ

 

アフリカでは、牛、水牛、羊、ラクダなどの様々な乳を使った発酵乳が作られています。

 

エジプトでは、ブルガリア菌とサーモフィルス菌を使って発酵させたザバディが普及しています。

 

エチオピアでは、陶器の中でオリーブの枝を燃やし、燻煙を利用して乳を自然発酵させて作るエルゴがあります。

 

     

 

日本にも伝わった乳酸

 

農耕が中心の日本に紀元6世紀に朝鮮からから牛乳が伝わったといわれています。

 

奈良時代以降に、ヨーグルトに似た「酪」、チーズに似た「蘇」、バターに似た「醍醐」などの乳製品が作られていたようです。

 

農耕が基幹産業の日本には、牧畜文化が基盤の酪農乳酸菌系の発酵食品は定着しませんでした。

 

しかし、江戸時代には日本独特の発酵食品文化が生まれ発展しました。

 

その代表的な物が、味噌やしょうゆ、ぬか漬けなどの醸造乳酸菌系の発酵食品で、現在でも腸内フローラを整える食品として注目されています。

 

生きた菌のヤクルト

 

医学博士の代田稔氏が「ラクトバチルス・アシドフィルス・シロタ株」の培養に成功しました。

 

「ヤクルト」の語源は、エスペラント語でヨーグルトを意味する「ヤフルト」をアレンジした造語です。

 

 

死んだ菌のカルピス

 

1919年に三島海雲が内蒙古で出会った乳酸がきっかけになりカルピスを考案しました。

 

「カルピス」の商品名は、カルシウムの「カル」とサンスクリット語で「サルピス」(sarpis)は最高に美味い乳製品(大般涅槃経より)から命名されています。ちなみに、英語でも「カウピス」(cow pisss)で牛の尿を意味しています。

 

大般涅槃経の中に記述されている「牛より乳を出し、乳より酪(らく)を出し、酪より生酥(せいそ)を出し、生酥より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐を出す」などの記述もあります。

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