痩せる腸内細菌ミヌタ菌とは

痩せる腸内細菌ミヌタ菌のことをご説明しますが、分かりやすくするために腸内細菌の前提知識を少しだけご紹介いたします。

多量の抗生物質を服用すると善玉菌などの有益な腸内細菌が死滅して減少し、特定の悪玉菌が増殖してクロストリジウム・ディフィシル感染症を起こすことが知られています。

米国ではこの細菌感染症で年間数万人が亡くなっています。

この病気の最新治療として、健康な近親者の便を移植する「便微生物移植療法」が効果をあげています。

米国で、この治療を受けた主婦は感染症が改善したものの、数ヵ月先に肥満になってしまいました。

その原因は便の提供者は健康ではありましたが肥満の娘だったからです。

つまり「肥る菌」も一緒に移植してしまったのです。

便微生物移植療法は安全を考慮して便の提供者が近親者に限定されていますが腸内フローラごと全てを移植する治療です。

しかし、遺伝子の解析技術が飛躍的に高まったとはいえ全ての腸内細菌の働きや機能を解明している訳ではありません。未知の部分も非常に多いのです。

便微生物移植療法は、日本では潰瘍性大腸炎などの疾患を対象に大学病院で臨床試験段階ですが、移植する全ての細菌について人体への影響が解明されれば肥満や病気の原因になる問題の細菌だけを選別して移植前に排除することも可能になるでしょう。

さて、ここからはダイエットに関係する腸内細菌のお話になります。

「肥る菌」は、同定されていてファミキューティス菌と呼ばれています。

肥満を抑制する腸内細菌も2014年に同定され、痩せ菌の総称として「クリステンセネラセエ(Christensenellaceae)」、腸内細菌名「ミヌタ菌(minuta)」と名付けられています。

ミヌタ菌は、BMIの低い人に豊富に存在することがわかっています。

腸内にミヌタ菌が存在すると痩せ型の体質となり体脂肪や体重が増えにくいと2014年にライフサイエンス分野の世界最高峰の学術雑誌『セル』に発表されています。

痩せる腸内細菌ミヌタ菌が同定され、ミヌタ菌を腸内に増やせば食事制限をすることなくダイエットできそうです。

しかし、如何にして腸にミヌタ菌を定着させ増やす事ができるかが課題です。

たとえ、ミヌタ菌のヨーグルトや胃酸から逃れるためにカプセルにミヌタ菌を詰めて腸に届けても腸の粘液層は他の腸内細菌がひしめき合った縄張り地帯であり、この粘液層の内側に入り込む時には腸管に存在するIgA抗体に厳しく選別されるため、新参者のミヌタ菌をすぐに定着させるのは簡単なことではありません。

そう考えると前述の便微生物移植療法によって腸内フローラごと入れ替える治療が主流になるかもしれません。

例えば、近い将来「痩せる菌ミヌタ移植療法」なるダイエット法が病院の消化器内科で実施されているかもしれません。

更に「ミヌタ菌浣腸ダイエット法」なるものが商品化され家庭でも簡単気軽に浣腸によってミヌタ菌を移植できる日が来るかもしれません。

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