ジカ熱の知恵袋 新生児に小頭症や神経異常 性感染も
出典:国立感染症研究所ホームページ「ヒトスジシマカ」
ジカ熱は、ジカウイルス感染症といい、デング熱と同様に蚊が媒介する感染症です。
特にヤブ蚊が媒介することがわかっていますが、デング熱を媒介するネッタイシマカや日本に生息しているヒトスジシマカもジカウイルスを媒介できると考えられています。
また、性感染することも分かっています。
2015年以降に中米や南米諸国でジカウイルス感染のアウトブレイクが起こりました。
そして、リオ五輪が開催される少し前の2015年11月頃からブラジルで頭部が極端に小さい小頭症の新生児が急増していることが報告され、日本でもニュースなどで何度も取り上げられました。
感染症の基礎研究や疫学研究によって、妊婦がジカウイルスに感染すると、母体に感染したジカウイルスが胎盤を通過して胎児の中枢神経に移行して小頭症の原因になることが示唆されています。
胎児にジカウイルスが入ると脳が十分に発達しないため頭蓋骨の発達も妨げられて、知能障害や運動障害、けいれんなどを起こす先天的な疾患となります。
ジカ熱の最初の流行は、2007年にミクロネシアのヤップ島で起こり、2013年にポリネシアで流行が起こっておよそ1万人の感染者が出て約70人が重症化したと報告されています。
2015年のブラジルでのジカウイルス感染者数は50万人から140万人と推測されて、2016年2月までにブラジルでの小頭症が4,300例、例年の10倍以上であったことが報告されています。
ジカウイルス感染後の潜伏期間は10日以内で発疹や発熱の症状が1週間程度続きます。
調査研究の結果、妊娠3ヶ月以内にジカウイルスに感染すると、新生児が小頭症を発症するリスクが高いと報告されています。
有効な薬やワクチンはまだ開発されていない
しかし、妊婦のジカウイルス感染の時期は妊娠週数に関係なく、小頭症のみならず、神経異常など胎児に悪影響を与える原因になっているようです。
ジカウイルスに対するワクチンや薬はまだ開発されていませんので、有効な治療法はなく対症療法になります。
特に妊娠初期の女性は、ジカ熱が発生している地域への渡航を控え、行く場合には蚊に刺されないように対策をして注意すべきです。
蚊以外に性交渉でも感染
ジカウイルス感染は、南米だけでなく北米でも見られ、日本でも輸入例が報告されています。
もし、ジカウイルスに感染している場合は性交渉や妊娠をしないことです。ジカウイルス感染は妊婦や生まれてくる赤ちゃんにとって大変危険です。
世界がグローバル化され、航空機などの高速大量輸送が可能になった現在、不特定多数の人が往来する都市圏では以前に比べて感染のリスクが極めて高くなっているといえます。
都市圏で新たな感染症が発生すれば、人口密度の多い中で多くの人に一瞬のうちに感染伝播し、拡散され同時多発的に大流行を引き起こす可能性が高まっているといえます。
日本でも発生したデング熱と同じ蚊であるヒトスジシマカも媒介すると考えられているジカ熱は、蚊の活動が活発となる5月から10月下旬にかけて特に注意すべき感染症といえます。
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