体の免疫システムのお話し


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マダニ感染症の症状と予防対策

 

マダニが生息している山道 

 

マダニは、鳥類やほ乳類の血を吸う昆虫です。
 
マダニは様々な感染症を媒介します。
 
マダニ感染症は近年増加傾向で主な感染症には「日本紅斑熱」や「ライム病」、「重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome virus:SFTS )」などがあげられますが、この中でも特に「SFTS 」は重症化して死に至る恐いマダニ感染症です。
 
「SFTS」は、新しい感染症であるため、まだワクチンが開発されていません。
 
マダニは、山林や民家の裏庭、裏山、畑や田んぼのあぜ道などにも生息しています。野うさぎやイノシシ、シカなどが出没している環境に生息しています。
 
最近では市街地の雑木林などでも頻繁に発見されており、植物の葉の裏などに隠れて動物や人が接近するのを待ち構えています。
 
特に3月から11月までの期間は注意が必要です。
 
マダニは人や動物が吐く二酸化炭素や臭いを感知して近づいて接近します。
 
そして、人の皮膚に付着すると、吸血しやすい膝の裏側などの皮膚の柔らかい部分を探して?みつきます。
 
マダニの口は2本のノコギリ状をしており、皮膚に切り込んでセメント質を分泌し固定します。この時に麻酔も分泌して痛みを感じさせないようにするため、噛まれても気付きにくいのです。
 
マダニに噛まれていたら、自分ではがさずに皮膚科に行きましよう。噛まれている部分は強く固定されているため、皮膚内にマダニの口が残り、感染のリスクが高まります。
 
一度、噛まれると数日から40日間近くも血を吸い続けるため、マダニの体重は当初の100倍以上にもなります。
 
近年、野生の動物がエサを求めて人の生活圏へ出没する機会が増えていますので、市街地の住宅地の雑木林などでも発見が相次いでおり、マダニが保有するウイルスに感染するリスクが高まっているといえます。
 
マダニが媒介する感染症、「重症熱性血小板減少症候群」や「日本紅斑熱」、「ライム」の潜伏期間や症状、予防と対策を知っておきましょう。

 

   

 

重症化する重症熱性血小板減少症候群(SFTS )

 

怖いマダニの写真 
出典:国立感染症研究所ホームページ「フタトゲチマダニ」

 

「SFTS 」は、マダニに噛まれた後1週間から2週間ほどで発熱や頭痛、吐き気、下痢、筋肉痛、意識障害などが起こり、死亡率が20〜30%にも及びます。
 
SFTSは2009年に中国の河南省等で感染症が流行して高熱や嘔吐、下痢などの消化器官の症状や血小板やリンパ球の減少などの症状を発症していましたが、その後2011年にウイルスが発見されました。
 
日本でも感染者が報告されており、2013年から2017年6月現在で患者数266名、そのうち57名が死亡しています。
 
現在のところ、このSFTSウイルスに効果のある薬や予防ワクチンは開発されておらず、対症療法での治療となっています。
 
感染経路は主に体内にウイルスを持ったマダニに咬まれることで感染しますが、患者の血液に接触することで人から人へ感染した2次感染の事例も報告されています。
 
マダニはほ乳類を吸血しますが、幼ダニ、若ダニ、成ダニの各成長過程で吸血します。
 
特にメスは産卵期前に体重の1000倍を超える量の血を吸血するといわれています。
 
よって、野うさぎやイノシシなどの動物とマダニの体内でSFTSウイルスが保持されている可能性があります。
 
そして、SFTSウイルスを保有しているマダニにかまれることで感染しますが、かまれてもあまり痛みが無いため気付きにくい面があります。
 
マダニは皮膚に自分の体を確りと固定して吸血するため、無理にはがすと、マダニの体液が逆流するなどして感染のリスクが高まります。
 
SFTSに感染するとインフルエンザの初期症状に似ています。

 

   

 

「日本紅斑熱」とは

 

「日本紅斑熱」は噛まれたあと2から8日後に高熱、発疹、そしてダニに刺された部分が赤く腫れて中心部がかさぶたになります。
 
39℃以上の高熱とほぼ同時に手足や顔に米粒大の紅斑点があらわれます。紅斑は痛みやかゆみはありませんが、放置して治療が遅れると肝機能異常など重症化して死に至るケースもありますので注意が必要です。
 
1984年に四国の徳島県で発見された「日本紅斑熱」は「日本紅斑熱リケッチア」による感染症でした。
 

「ライム病」とは

 

また、「ライム病」は、野ネズミや鳥類が持っている「ライム病ボレリア」をマダニが媒介して感染します。
 
ライム病は、噛まれたあと数日から数週間後、噛まれた部分を中心に紅斑点があらわれ、筋肉痛や頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などインフルエンザのような症状を伴うことがあります。
 
症状が進行するとウイルスが全身に広がって顔面麻痺などの神経症状や心疾患、髄膜炎、慢性の関節炎、筋肉炎など様々な症状があらわれます。
  
 
他にもマダニの仲間が媒介する感染症として「つつが虫病」「Q 熱」「野兎病」「ダニ媒介性脳炎」などがあります。

 

マダニ感染症の予防対策

 

マダニは、家の近くの裏山や庭、畑、あぜ道などにも生息しています。
 
このような環境の場所に立ち入るときは、出来る限りお肌の露出を少なくして感染の予防と対策をしましょう。
 
草原や野山などの危険地域に入るときは注意が必要で、衣服や虫除け剤などの対策がとても重要になります。
 
国立感染症研究所のホームページで注意喚起している図ですので、参考にしてください。
 
野山を歩いたあと気になる症状が出た場合は医療機関を受診しましょう。

 

マダニを予防する服装や手袋など
出典:国立感染症研究所ホームページ

 

 

野生の動物に触らない

 

ペットのマダニ対策 

 

ペットのマダニ対策も重要です。
 
まず、野良猫や野良犬に触らないことです。
 
先日、女性が野良ねこに触ってSFTSに感染し死亡する事故が発生しています。
 
最近は、エサを求めてクマやシカ、イノシシなどの野生動物が住宅街にも現れています。
 
これらの動物は本来は山奥の山林に生息している動物で、マダニをたくさん体に付けていますので、近隣の野原や雑木林の植物にマダニがバラまかれています。
 
野良犬や野良猫はもちろんですが、ペットの犬や猫にもマダニが取り付く機会が増えていますので、ペットを自宅で飼って、一緒に寝ている場合などでは、マダニが媒介する感染症にかかるリスクが大幅に高まります。
 
ペットが食欲が無くなったり、発熱した場合は早めに動物病院で診てもらいましょう。
 
動物病院で虫除けの薬を取り扱っていますので、相談してみましょう。


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