ラクトバチルス属 (Lactobacillus)
ラクトバチルス属は乳酸菌に分類されグラム陽性の桿菌(末尾の言葉解説参照)であり、ラクトバチラスともいわれています。
ラクトバチルス属は約30の乳酸菌の属の中で一番大きな属に分類されています。
ラクトバチルス属は自然界にも広く分布しておりラクトバチルス属の乳酸菌は70種類以上も存在しています。
ラクトバチルス属はホモ型発酵するものとヘテロ型発酵するものと2種類に大別されます。
厳密には次のような発酵型に分類されています。
1.絶対的ホモ発酵型 → ブドウ糖から乳酸のみを生成する。(代表的な菌種として「デルブルッキー(delbruekii)」「ブルガリクス(bulgaricus)」「ガセリ(gasseri)」「アシドフィルス(acidophilus)」など)
2.条件的ヘテロ発行型 → ブドウ糖以外のペントースやグルコン酸から短鎖脂肪酸の酢酸やエタノール、CO2を生成する。(代表的な菌種として「プランタラムまたはプランタルム)(plantarum)」「カゼイ(casei)」「カルバタス(curvatus)」「サケイ(sakei)」など)
3.絶対的ヘテロ発酵型 → ブドウ糖やペントース、グルコン酸を問わず全てに対して酢酸やエタノール、CO2を生成する。(代表的な菌種として「ファーメンタム(fermentum)」「ブレビス(brevis)」「ブッフナー(buchneri)」など)
ラクトバチルス属は胃酸や胆汁酸などの消化酵素にも強く、しかも酸素の存在しない環境でも生存できる特徴をもっていますので人や動物の消化管にも多く生息しており昔からヨーグルトの製造に活用されてきました。
ラクトバチルス属の乳酸菌は発酵乳の製造に欠かすことの出来ない「ブルガリクス」「カゼイ」「アシドフィルス」「プランタラム(プランタルム)」などが広く知られており、ヨーグルトや乳酸菌飲料に活用され整腸作用や悪玉菌の増殖を抑える働きが報告されています。
ラクトバチルス属では、他にも「デルブルッキー」「ブッフナー」「ヘルベティカス」「ファーメンタム」「ヘルヴェティクス」などが代表的な菌種です。
女性の膣内の環境を守るデーデルライン桿菌(末尾の言葉解説参照)と呼ばれる細菌群も主にラクトバシラス属で構成されています。
乳酸菌 ラクトバチルス属の食品
菌 種 | 食品種類 |
プルガリクス | ヨーグルト・乳酸菌飲料 |
カゼイ | チーズ・はっ酵乳・酸菌飲料 |
プランタルム |
はっ酵食品・サイレージ(※) |
ヘルペティクス | チーズ、ヨーグルト、乳酸菌製剤 |
アシドフィルス | ヨーグルト・乳酸菌飲料、乳酸菌製剤 |
ファーメンタム | 醗酵産物 |
※サイレージとは青刈りトウモロコシや生草などをサイロに詰めて乳酸発酵させ貯蔵したもので酪農の飼料に使われるもの。
言葉解説
「グラム陽性」とは
細菌を色素によって染色して分類する方法をグラム染色といいます。デンマークの学者ハンス・グラムによって発明されました細菌の分類法です。
「グラム陽性」はグラム染色で紺青色あるいは紫色に染色される細菌のことです。
一方の「グラム陰性」とは赤色あるいは桃色に染色される細菌のことです。
「桿菌」とは
細菌の形状が棒状または円筒形の細菌のことで長桿菌や短桿菌の他にも複数の桿菌が縦に連なった連鎖桿菌があります。またらせん状のらせん菌などがあります。
「デーデルライン桿菌」とは
デーデルライン桿菌はラクトバシラス属の乳酸菌で女性の腟の中に常在して乳酸を産生することで腟内は強い酸性に保もたれ外部からの細菌感染を防ぐ重要な働きをしている乳酸菌です。
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