ラクトバチルス・ガセリ菌(gasseri)の特徴と働き
名称 |
ラクトバチルス・ガセリ菌
Lactobacillus gasseri |
特徴と働き |
人の腸内に多く常在する腸内環境を整える善玉菌の代表です。
善玉菌は、腸内を弱酸性にすることで有害物質を産生する悪玉菌の活動を抑える働きがあります。
ガセリ菌は、生菌のまま腸に届くことが注目されています。
生きたまま腸に届く性質の細菌としてプロバイオティクスに分類されています。
乳酸菌の中でも、特にガセリ菌は強い酸にも分解されずに生菌のまま腸に届く乳酸菌です。
2001年にガセリ菌の中でも、ガゼリ菌SP株(ラクトバチルス・ガセリSBT2055)の人の腸内での定着を調べた研究で、1日1回、7日間継続してガセリ菌SP株を摂取してもらい、90日後に検査したところ半数の人の腸内からガセリ菌SP株の生菌が検出されたことが報告されています。
肥満を予防改善
2009年に九州大学らの研究グループと雪印乳業などの合同研究では「肥満傾向の人が、ガセリ菌SP株を12週間摂取した結果、内臓脂肪量、皮下脂肪面積、体重、BMI、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径が減少し、内臓脂肪低減効果があった」と日本乳酸菌学会が報告しています。
胃酸や胆汁酸に強く生きたまま腸に届いて腸管内に定住することが確認されています。
整腸作用のほかにコレステロールの低下作用、生体内抗酸化作用などの健康効果の研究発表がなされています。
ピロリ菌を抑制
胃に住み着いて、胃潰瘍や胃がんの原因になる悪玉菌のヘリコバクター・ピロリ菌へのガゼリ菌SP株の作用について調べた研究では、ピロリ菌の感染者229名に対して胃酸の分泌を抑えるラベプラゾール、細菌感染症の治療アモキシリン、ピロリ菌の除去治療に使用されるクラリスロマイシンの3種薬剤に加えて、ガセリ菌入りのヨーグルトを1日あたり112gを4週間摂取してもらった結果、ピロリ菌を根絶率が高かったことからガゼリ菌SP株はピロリ菌の駆除することで胃潰瘍や胃がんの予防効果があると考えられています。
免疫力を高める
マウスにガゼリ菌SP株を投与しインフルエンザウイルスを感染させて調べた結果、投与したマウスは投与しなかったマウスに比べてNK細胞などの免疫細胞が強化され、生存率が有意に高くなったことが報告されています。 |
お勧め |
雪印メグミルクの「ナチュレ恵megumi」にはガゼリ菌SP株が配合されています。
ビフィズス菌と共存することでより高い健康効果か期待されています。
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