免疫力を高める死菌 乳酸菌EC-12をサプリメント
腸内細菌の集合体である腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)は、私たちの健康や病気に深く関わっていることが解明されています。
例えば、全く同じ物を食べて、太る人と体重に変化がない人がいます。
最近までは、太る体質には遺伝的な要因が関与していると考えられてきました。
しかし、最新の研究で遺伝的な要因よりも腸内細菌のバクテロイデスが作り出す短鎖脂肪酸が関係していることが明らかになってきました。
母体にいる胎児は無菌の状態です。
産道を通るときに初めて細菌に接触します。
その直後、母乳や近親者などと触れることで多くの細菌に接していきます。
また、生まれてしばらくは、悪玉菌は少なく殆どが善玉菌で占められ、年齢を重ねると共に悪玉菌が増えるといわれています。
私たちの体は、腸内フローラの状態が善玉菌を中心にした良い状態であるか、悪玉菌が優位な悪い状態であるかによって健康状態も大きく左右されることが分かっています。
腸内フローラの研究が進み乳酸菌の作用についてもさまざまな事が分かってきました。
乳酸菌について正しい知識を持って食生活を送れば、健康で病気にかかりにくい体質になるといえます。
最近は、さまざまな種類の乳酸菌が発見されて、それぞれの乳酸菌が持っている特性や機能に注目が集まっています。
善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌は、悪玉菌の働きを弱め腸内フローラのバランスを整える働きがあります。
研究では、インフルエンザやピロリ菌などの感染予防やアレルギー疾患の予防、肥満の予防にも効果があることも明らかになりました。
生ワクチンと不活化ワクチンとは
「生ワクチン」とは、生きている細菌のことで、BCG、みずぼうそう、おたふくかぜワクチンなどが知られていますが、これらの細菌やウイルスが本来持っている毒性を弱めて体内に入れ、体内で増殖させて免疫を高めることです。
「不活化ワクチン」とは死菌のことで、四種混合、B型肝炎、インフルエンザ、子宮頸がんワクチンなどがありますが、細菌やウイルスを殺して毒性をなくして免疫をつけるのに必要な成分をワクチンにしたものです。
「不活化ワクチン」は、病原体が生きていないワクチンでもその病原体に対する免疫を獲得できるように定期的に複数回接種することで免疫をつけていきます。
免疫の取得には必ずしも生きた菌である必要はありません。
生きた乳酸菌であっても、その殆どが強い胃酸や胆汁酸の影響で腸に届く前に死んでしまいます。
死んだ細菌は、乳酸菌はビフィズス菌のエサとなり腸内フローラを整える効果があります。
死菌の乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス菌EC-12株
死菌として有名なフェカリス菌は、EF-23、FK-23、EC-12などの菌株が商品化されています。
これらは加熱処理されて菌を殺して死菌として活用されますが、腸内環境を整えて免疫力を向上する効果が高いことで知られています。
死んだ乳酸菌の効果
◎善玉菌のエサになる。
◎悪玉菌が生成した有害物質と合成して中和する。
◎腸内の免疫組織パイエル板に働きかけて免疫細胞を活性化させる。
特に体内に入った異物を攻撃するマクロファージ、樹状細胞などと強く結びついて、免疫機能を活性化させる作用が確認されています。
エンテロコッカス・フェカリス菌EC-12株で増える短鎖脂肪酸
日本獣医生命科学大学の寺田厚名誉教授の殺菌した乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス菌EC-12株の摂取による有効性を調べる研究では、歳をとると増えて老化を促進させる悪玉菌のウェルシュ菌が減少し、腸内環境を整え免疫機能を高める善玉菌のビフィズス菌が増える事が分かりました。
食物繊維やオリゴ糖は、乳酸菌やビフィズス菌のエサとなりますが、同時に酢酸、コハク酸、乳酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸が産生されます。
短鎖脂肪酸は、上皮細胞の増殖や粘液を分泌促進、また水やミネラルを吸収するためのエネルギー源として利用されます。
短鎖脂肪酸の中には、血中に入って全身をめぐり、血中の脂肪が脂肪細胞に取り込まれるのを抑制する作用や筋肉に働きかけて脂肪を燃焼させる作用があることが解明されています。
エンテロコッカス・フェカリス菌EC-12株の摂取することで、病原菌の攻撃や有用な細菌を腸内の粘液層に取り込む働きをする特異的IgA抗体の量を増加させ、T細胞、B細胞などの獲得免疫を活性化させることも分かっています。
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