大豆のイソフラボンはポリフェノール
2000年に日本では狂牛病に感染した牛が確認されたことで、牛肉の消費が急減しました。
この時に牛肉にかわるたんぱく源として大豆からつくられている納豆に人気が集中してスーパーなどどても納豆の売り切れが起こりました。
大豆はたんぱく質を約15%含んでおり、牛肉の17%と比較しても含有量はほとんど変わりません。
大豆は「畑の肉」といわれるゆえんですが、たんぱく質の他にビタミンB1や脂質も多く含んでおりコレステロール値の低下や血圧を降下させる効果があることで知られています。
近年では、大豆に含まれるポリフェノールが「大豆イソフラボン」という成分であることが知られるようになり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防効果があることも認められました。
この大豆イソフラボンを発見するきっかけは、大豆製品に対する消費者のクレームからでした。
煮豆製品を購入したお客様から豆に白い斑点がついているというものでした。
食品メーカーの研究の結果、白い斑点の正体がイソフラボンだったのです。
大豆イソフラボンは、特に大豆の胚芽多く含まれ、今のところ、15種類の大豆イソフラボンが確認されています。
イソフラボンは、大豆の他にも同じマメ科のクズなどにも含まれています。
大豆イソフラボンは、ポリフェノールの仲間でフラボノイドの一種です。
イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと化学構造が似ており、エストロゲンとして作用する物質です。
このような働きから、植物性エストロゲンとも呼ばれています。
日本人の長寿要因や骨粗鬆症、更年期障害、乳がん等の発生率の低さは習慣的な大豆イソフラボンの摂取に有るとされ、世界の先進国で国家レベルでの研究がなされてきました。
その結果、骨粗鬆症、更年期障害、乳がん等の女性疾患に対する有効素材として広く知られるようになりました。
また、2型糖尿病や前立がんの予防効果があることも報告されています。
2006年には内閣府の食品衛生委員会が「イソフラボンは骨粗しょう症を予防し、更年期障害の症状を軽減する効果」を認めました。
厚生労働省は、イソフラボンを含む食品に骨粗鬆症を予防する特定保健用食品として「骨の健康維持に役立つ」という表示を許可しています。
イソフラボンと女性ホルモン
イソフラボンは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと構造が似ており、同じように働きます。
更年期の女性はエストロゲンの分泌が減少しますので、大豆イソフラボンを摂取することで更年期障害の症状を緩やかに抑える作用がありエストロゲンの代役を果たしてくれます。
また、イソフラボンには抗力エストロゲン作用といって、エストロゲンが過剰に分泌されると分泌を抑制する過不足を調節する働きがあります。
イソフラボンを摂取量についての注意
イソフラボンの1日あたりの目安摂取量は、40〜50mgとされています。
大豆製品を普通に食べている場合、特に過剰摂取になることはありません。
ただし、イソフラボンをサプリメントで摂取する場合は、イソフラボンのアグリコン型になるため一日の摂取上限値が30mgと定められています。アグリコン型とは、高吸収型のイソフラボンのことです。
妊娠中の方や15才未満の子どもは、サプリメントでの摂取は控えましょう。
抗がん剤治療やホルモン剤治療を行っている方は注意が必要です。
イソフラボンのみずみずしい美肌効果
最近の研究では、美肌には腸内細菌が関与していることが分かってきました。
イソフラボンに含まれるダイゼインという成分は、腸内細菌によって「エクオール」といわれる物質を生み出します。
このエクオールは、お肌の弾力性を保って、シワやたるみを予防してみずみずしいお肌を保つ作用があります。
このエクオールを生成する特定の細菌は、日本人では約50%、欧米人では30%が保有しているといわれています。
昔から、大豆食品を摂取していたアジア人にはエクオールを生成する細菌を持っている割合が高いのです。
また、女性ホルモンのエストロゲンは、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促して肌をなめらかに美しく保つ働きがあります。イソフラボンの摂取により、エストロゲンの不足をカバーすることができるのです。
強いストレスや紫外線によって、過剰に発生した活性酸素が肌細胞を攻撃すると、コラーゲンの酸化で肌のみずみずしさやハリが失われシワの原因になります。
イソフラボンの持つ抗酸化作用が活性酸素の発生を抑えて肌の健康を守ります。
イソフラボンには、以上のような美肌効果があるので、化粧品やサプリメントに活用されています。
イソフラボンの更年期障害を軽減する効果
女性は、40から50代に女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に減少しホルモンバランスが崩れることで身体的・精神的な不調が表れます。
更年期障害と呼ばれるこの症状には、顔のほてりやのぼせ、発汗、肩こり、頭痛、イライラ、不安などの様々な症状が起こります。
イソフラボンは、エストロゲンの分泌を促し、更年期障害の症状を改善する効果があります。
イソフラボンの骨粗しょう症を予防する効果
エストロゲンの分泌が減少すると、骨にカルシウムを蓄えておく力が低下し骨がもろくなるため骨粗しょう症の原因になります。
イソフラボンには、骨の中のカルシウムを溶け出さないようにする働きがあります。
大豆製品のフジッコは、イソフラボンが骨からのカルシウムの溶出を抑制する」ことを証明し、特定保健用食品として「骨からのカルシウムの過剰溶出に関与して骨の健康に役立つ」の健康効果の表示許可を受けています。
若い女性でも、過度のダイエットなどで体調に異常をきたしエストロゲンの分泌が減少すると骨粗しょう症が引き起こすこともあります。
イソフラボンは、エストロゲンの分泌を促し、骨の中にカルシウムを蓄えることで、骨粗しょう症を予防します。
以上のように、大豆に含まれているポリフェノールのイソフラボンは生活習慣病などのさまざまな健康効果が解明されています。
納豆や豆腐などの和食は気軽に食べることができます。是非毎日の食卓に追加しましょう。
豆知識
節分には「豆まき」が行われますか、日本では昔から穀物には神の魂が宿っており「穀霊」といわれてきました。外から襲ってくる厄病や邪気の象徴である鬼を追い払ってくれると信じて大豆の豆まきが行われました。
さらに豆まきの大豆は炒ったものが使われますが、「鬼の目を射る」→「魔の目を射る」→「魔目を射る(豆を炒る)」と音が共通であるために用いられるようになったといわれています。
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