茶カテキンの強い抗酸化作用と生活習慣病予防効果
緑茶に含まれている茶カテキンは、ポリフェノールの一種のフラボノイドに分類され、更にその中でもフラバノールという種類に分類されています。
茶カテキンは、紅茶やウーロン茶にも含まれていますが、緑茶に最も多く含まれています。
お茶には渋みがありますが、この渋みの成分が茶カテキンで強い抗酸化作用を持っています。
この茶カテキンを主成分として「ポリフェノン」という製品が開発されています。
日本では、食品の酸化防止や消臭抗菌などに用いられています。
一方、アメリカをはじめヨーロッパなどでは、ウイルスによるイボなどの皮膚疾患の治療薬として認可されています。
アメリカでは、2006年10月に米国食品医薬品局(FDA)が茶カテキン「ポリフェノンE」を主成分とする新薬を認可しています。
植物由来の成分を原薬とする医薬品が認められるのは、きわめて珍しく米国FDAでは初めてです。
西洋医薬では、「どの成分が何にに効く」という一対一の対応になっていて作用が明快でなければ、承認されることはありませんてした。
このような背景の中で、茶カテキンが承認されたのは茶カテキンの抗酸化作用の有効性が突出していることの証明ではないでしょうか。
カテキンの語源
1821年にドイツのルンゲがインド産のマメ科アカシア属の低木ペグノキから採取される生薬「カテキュー」から結晶状の物質を分離しました。
その後、同じドイツのエーゼルベックによりカテキュー にちなんで「カテキン」と命名されました。
現在、緑茶には、4種類のカテキンが含まれていることが確認されています。
そして、カテキンの種類によって生理作用も異なることがわかっています。
○エピカテキン
○エピガロカテキン
○エピカテキンガレート
○エピガロカテキンガレート
4種類の中でエピガロカテキンガレートは、全体の約半分の量を占めており、他の3種類のカテキンと比較しても最も強い抗酸化作用と生理活性作用を有していることが明らかになっています。
このエピガロカテキンガレートは、緑茶以外の植物には含まれていない緑茶特有の成分です。
九州大学農学研究院の立花宏文教授の研究で、エピガロカテキンガレートはがん細胞の表面に結合して増殖を抑制する効果があることを突き止めています。
茶カテキンの効率的な摂り方
茶カテキンは、緑茶に多く含まれているので、緑茶から摂取することが最も効率的です。
緑茶は茶葉に湯を注いで、その浸出液を飲みますが、茶カテキンをはじめとする有効成分が茶葉に残っていますので、茶葉も同時に摂取すると茶カテキンを無駄にせず、効率よく摂取することができます。
健康効果の高い緑茶ですが、タンニンも含んでいますので貧血気味の方は緑茶を飲むタイミングに注意が必要です。
タンニンは鉄分と結合して、鉄分の吸収を妨げるため、貧血ぎみの方は食後15分以上経過してから、緑茶を飲みましょう。
また、カフェインも含まれていますので、夕方以降に緑茶を飲み過ぎると不眠に悩まされることもあります。
茶カテキンの生活習慣病を予防する効果
茶カテキンには、肝臓で生成される胆汁酸の排泄を促し、血中のコレステロールや中性脂肪の増加を抑える作用があり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を予防する作用があります。
人の体には適度なコレステロールは不可欠ですが、コレステロール値が高くなりすぎると、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
活性酸素は、体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃して、死滅させる重要な役割を果たしています。
しかし、活性酸素が必要以上に体内に増えると自分自身の正常な細胞も傷つけてしまいます。
細胞が傷つけられると細胞の遺伝子に突然変異が起こし、細胞をがん化させる原因物質
なのです。
茶カテキンには、活性酸素を除去する作用があるビタミンEの50倍以上もの抗酸化作用があります。
活性酸素は、強いストレスや紫外線、タバコの喫煙などにより増加します。
カテキンの強い抗酸化作用で.過剰な活性酸素の発生を抑制して、増加を抑えて生活習慣病を予防しましょう。
茶カテキンの血糖値の上昇を抑える効果
茶カテキンには、小腸からの糖質の消化吸収を遅らせる働きがあり、急激な血糖値の上昇が抑える働きがあります。
また、以上の事を裏付ける研究として、お茶の日本一の生産県である静岡県立大学では、緑茶を1日に7杯分ほど飲むことで糖尿病疾患の方々の血糖値が改善したと報告しています。
茶カテキンの肥満を予防する効果
静岡大学農学部の茶山和敏准教授を中心としたカテキンと脂肪に関する研究で、マウスのエサに緑茶粉末を混ぜて4か月間与えた結果、お腹の脂肪の量が約6割も減少し、血中や肝臓の脂肪の量も著しく減少したと報告しています。
現在、「脂肪が気になる方へ」のキャッチコピーで茶カテキンを配合した飲料が特定保健用食品として販売されています。
茶カテキンはピロリ菌を殺菌する作用
胃がんの主な原因といわれているピロリ菌に対して、茶カテキンは増殖を抑える働きがあることがわかっています。
お茶の日本一の産地であり、日常的に緑茶を飲む習慣がある静岡県の大井川、天竜川の周辺地域では、胃がんの罹患率が低く、特に中川根町では、胃がん死亡率が、男性で全国値の約2割に過ぎないという調査結果が報告されています。
静岡県立大学短大と浜松医療センターの共同研究では、ピロリ菌を保有している方34名を対象にして、茶カテキンを一か月間投与した結果、半数以上の患者でピロリ菌が不活性化し、6名の患者では除菌されたと報告しています。
茶カテキンの効能は、ピロリ菌に対してだけではなく、インフルエンザ、病原性大腸菌0157やMRSAなどに対しても殺菌効果が確認されています。
茶カテキンは虫歯や口臭を予防する抗菌・殺菌作用
人間の口腔には数千億個もの細菌が存在しているといわれています。
フラボノイドに分類されるカテキンは、抗菌、殺菌作用があり、口腔の細菌の増殖を抑えて虫歯や口臭を予防する働きがあります。
は口の中の細菌の増殖を抑制し、虫歯を予防する働きがあります。また、フラボノイドは口臭を予防します。
また、茶カテキンは、ショ糖からグルカンを作るグルコシルトランスファラーゼ呼ばれる酵素の働きを抑え、虫歯菌が歯に付着することを抑える働きがあります。
食事のあとは、お茶ですすぎ飲みをすると口腔の殺菌に効果があります。
お茶などに含まれるタンニン酸は認知機能向上作用
緑茶や番茶に含まれるタンニン酸は活性酸素を抑え細胞死を抑えることが知られています。
静岡県立大学薬学部の山田浩教授の研究グループが実施した認知症の検査では、1日3回、合計2gを3ヶ月間摂取した後に行った認知症テストのミニメンタルステート試験で摂取前より認知機能が上昇したことが、2013年7月13日付け日本農業新聞に掲載されました。
タンニンは、多くの植物に含まれるポリフェノールの総称ですが、ご紹介したカテキンはタンニンの一種です。
タンニンを含む生薬は、血管を収縮させたり、下痢を抑える作用があります。
日本に昔から伝わる民間薬のゲンノショウコは整腸薬として使われていますが、有効成分はゲラニインというタンニンの一種です。
口腔清涼剤の原料として使われている阿仙薬という生薬には、カテキン類が主成分として含まれています。
カテキンは、消費者庁より「特定保健用食品」として指定されています。
口の中には食べ物のカスや様々な雑菌が生息し、口臭や虫歯の原因となっていますが、タンニンは食べ物のカスや雑菌などのたんぱく質と結合して固める働きがあります。
その結果、雑菌の繁殖が抑えられるため、タンニンは口腔清涼剤や口臭を抑制する薬剤として使われています。
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