研究で、長寿者の血中には、総じてアディポネクチンの濃度が高く、100歳を超える長寿者では、血中のアディポネクチン量が標準の2倍から3倍もあることが分かっています。
アディポネクチンが長寿ホルモンと呼ばれる所以です。
コーヒーとアディポネクチンの分泌についての論文が複数発表されていますが、大部分の論文に共通しいることが、次のような内容です。
1.コーヒーを飲むとアディポネクチンが増える。
2.炎症性マーカーが低下する。
3.コーヒーに含まれるカフェインが、糖尿病や動脈硬化のリスクを高めるTNFアルファを低下させる。
「言葉解説:炎症マーカーとは」
炎症とは、細胞や組織の障害・壊死に対する一連の生体防御反応で、外傷や発熱、悪性腫瘍などの誘発因子があります。
炎症マーカーは、炎症の度合いを反映した数値で、数値が高いほど炎症の度合いが高いと言え、細胞の破壊が進んでいる状態である可能性が高いと判断されます。
「言葉解説:TNFアルファとは」
TNFアルファは、脂肪細胞から分泌されるサイトカインで筋肉、脂肪組織や肝臓での糖の働きを抑制する作用があります。肥満時には増加して糖尿病や動脈硬化などのリスクを高める働きがあります。
コーヒーとアディポネクチンの分泌に関係する研究
ハーバード大学では、平均年齢40歳で、BMI25以上の肥満で非喫煙者、健康な人45人を対象にコーヒーとアディポネクチンの分泌の関係について研究が実施されました。
コーヒーを飲む群、カフェインレスコーヒーを飲む群、コーヒー類を飲まない群の3群に分けて8週間後に血中のアディポネクチン量を比較しました。
この結果、カフェインの有無にかかわらず、コーヒーを飲んだ群はコーヒーを飲まない群に比べ血中のアディポネクチン値が有意に高くなりました。
国立シンガポール大学医学部のヴァンダム准教授は「習慣的なコーヒーの摂取がインスリン感受性を高める可能性が示唆された」と報告しています。
また、同准教授は「アディポネクチンの分泌にコーヒーの有益な効果があり脂肪組織や肝機能の改善が考えられる」と述べています。
東京大学総括プロジェクト機構
名古屋大学が実施した研究では、35〜60歳の男女約3300人を対象に、コーヒーの消費量別に血中のアディポネクチン濃度を測定した結果、コーヒーを1日4杯以上飲む人が最もアディポネクチン濃度が高いことが分かったと報告しています。
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