腸内フローラ辞典

「消化管ホルモン」と働き

 

ホルモンは、ギリシャ語の「刺激する」や「興奮させる」が語源で特定の器官や細胞で生成され、血液などの体液を介して体内を循環し、特定の細胞でその効果を発揮する生理活性物質です。
 
腸から分泌されるホルモンは、内分泌系またはホルモン系と呼ばれ、食物の成分であるアミノ酸や脂肪酸などの量を判断し腸壁に存在するホルモン分泌細胞から血中に入り他の臓器や器官が正常に働くように命令を伝えるなどの役割をしています。

 

消化管ホルモンの種類と働き

 

◎セクレチン「secretin」

 

英国のベイリスとスターリングによって発見された最初の消化管ホルモンで、ホルモンの名前もセクレチンが発見された後この二人よってつけられました。
 
以降、脳や各器官から相次いで様々な種類のホルモンが発見され、体の調節に必要不可欠な物質であることが解明されました。
 
セクレトの「分泌する」とインの「化合物」の合成語です。

 

セクレチンは、27個のアミノ酸からなるペプチドホルモンであり、そのうち14個はグルカゴンと同じ配列を持っています。
 
胃から酸性を帯びた粥状液が送られてくると十二指腸の pH が低下して小腸粘膜で合成され分泌され、すい臓や十二指腸腺からの重炭酸塩の外分泌を亢進させる消化管ホルモンです。
 
また、同時に胃腸ホルモンのガストリンや胃液の分泌を抑制する働きがあります。

 

◎コレシストキニン「cholecystokinin」

 
セクレチンと同じく、英国のベイリスとスターリングによって発見された消化管ホルモンです。
 
コレシストキニンの「コレ」は胆汁、「シスト」は嚢・のう、「キニン」は動かすものや著しく劇的な生理的効果をもつ物質を意味します。全体の意味としては「胆のうを収縮させるもの」になります。
 
コレシストキニンは、アミノ酸33残基のペプチドホルモンであり、十二指腸内にペプチド、アミノ酸、脂肪酸が入ることで小腸のI細胞から分泌されます。
 
胆のうを収縮させて胆汁排出を促進させるとともに、すい臓を刺激して消化酵素の分泌を促進させる働きがある消化管ホルモンです。

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