「腸内細菌」と同じように「肺内細菌」も肺の健康や病気にかかわっているかもしれないと報告されました。
細菌は、体のいたるところに生息していますが、一番多く生息している器官が腸で、1000種類以上、600兆個から1000兆個といわれています。
口や皮膚などにも多くの細菌が生息していますが、気道や肺にも細菌が生息し、肺の健康や病気に深くかかわっている事がわかってきました。
米国ミシガン大学の研究グループは、「口から入って肺に至る気道に存在している細菌の集まりの影響で、ぜんそく(喘息)、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺の病気の予防や治療につながる」と報告しています。
既に様々な研究結果から、腸内細菌のバランスが崩れると、さまざまな病気にかかる事が知られていますが、この研究では肺に住み着いている細菌についても、そのバランス崩れると炎症や病気が起こると説明しています。
この肺内の細菌のバランスが崩れて破壊されることを「ディスバイオシス」といいます。
ディスバイオシス(Dysbiosis)の「Dys」は「無」、「biosis」は「腸内フローラの環境」という意味です。
研究グループは、交感神経の作用が高まると分泌されるホルモンの「アドレナリン」の一種であるカテコールアミンというホルモンに反応して、肺内細菌が壊れていく仕組みを突き止めました。
肺内の細胞は、感染を受けるとカテコールアミンを作り、このカテコールアミンが悪玉菌を増殖させて、炎症やストレス反応を悪化させるそうです。
研究グループによると、健康な人は、口から常に細菌が補給されて一定のバランスに保たれていますが、病気に冒され肺では、肺内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が異常な増殖をすると報告しています。
腸の疾患の「クロストリジウム・ディフィシル感染症」は、抗生物質を大量に投与した影響でほとんどの腸内細菌が死滅し、クロストリジウム属のディフィシル菌だけが異常に増殖して、激しい下痢を伴う偽膜性大腸炎などを引き起こし、重度の場合には死に至る病気もあります。
腸内も肺内も細菌のバランスをとることが健康の維持に重要だといえます。
「記事参照元」
関連ページ
- 腸内フローラは抗生物質を1年間続けても生存を確認
- 糞便中を調べた結果、健康な人では抗生物質を投与しても腸内に耐性菌が1年間生存していることが分かりました
- 日本の中高生の2割が過敏性腸症候群
- 上越教育大学の山本隆一郎氏らの研究グループは「日本の中高生のおよそ2割が過敏性腸症候群であると」発表しています
- 熟成発酵のキムチは腸内フローラを整え肥満予防
- 韓国東国大学の研究グループがは「時間をかけて熟成発酵させたキムチの方が新鮮なキムチよりも体への影響が強く、肥満に対する効果が高いと想定される」と発表しています
- チーズが腸内環境を改善した研究
- デンマークのオーフス大学を含む研究グループは「チーズかミルクを含む食事が、尿中の「TMAO」が減少し、脂質などの排泄が増加させている」と報告しています
- インゲンマメと腸内フローラが大腸の結腸粘膜を守る
- カナダ、ゲルフ大学を中心とした研究グループは「インゲンマメを食べることによって、結腸の炎症の重症度が軽減される」と報告しました
- 自己免疫疾患SLEは腸内細菌とポリフェノールが関係
- スペインの研究グループは「自己免疫疾患の全身性エリテマトーデスに対して、腸内細菌とポリフェノールが関係している」と報告しました
- 腸内フローラ 糞便移植で感染症を治す最新治療
- 米国ミネソタ大学を中心とした研究グループは「クロストリジウム・ディフィシル感染症の患者に健康な人の糞便移植をすると腸内細菌が変動して急速に正常化していくことが確認された」と報告しました
- 食品の乳化剤が腸内細菌に影響 腸炎とメタボを招く
- ジョージア州立大学の研究グループは「食品に添加された乳化剤は、マウスの腸内フローラに影響して腸炎やメタボリックシンドロームを促進させる」と報告しました
- 食べる食材の種類が少ないと腸内細菌の多様性が減少
- ロンドン・キングス・カレッジの遺伝疫学ティム・スペクター教授は、著書「The Diet Myth」に「ハンバーガーなどを食べ続けると、体をスリムに保ってくれる腸内細菌を多く殺してしまう」と研究結果を記載しています
- 糞便の細菌を調べて個人を特定する研究発表
- 米ハーバード大学の研究グループは個人の腸内細菌や皮膚に常在する細菌のコロニーは、指紋と同様に個人を特定する手がかりとなる可能性があると発表しました
- 腸内に有害物質二次胆汁酸を増やす社会的敗北ストレス
- 東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループは、「精神的ストレスモデルである社会的敗北ストレスを負荷したマウスを用いてストレスにより盲腸内容物中の代謝物や腸内フローラが変動している」ことを報告しました
- 潰瘍性大腸炎の悪玉菌を特定 完治に向けた治療へ
- 特定の細菌がイムノグロブリンAと結合し免疫反応を刺激していることを突き止め、その悪玉菌を腸に入れると炎症性腸疾患を発症することを報告しています
- 糞便移植で「潰瘍性大腸炎」が回復した研究結果
- カナダのマクマスター大学を中心とした研究グループが「潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患に糞便移植の有効性と安全性についての検証」を報告しています
- ヨーグルトとオリゴ糖が骨強度の低下を予防
- 株式会社明治は「動物実験で、はっ酵乳(ヨーグルト)とオリゴ糖の摂取が、胃酸分泌低下によって生じる骨強度の低下を予防することを確認した」と報告しています
- 夜に脂肪の多い食事を続けると肥満細菌が増える
- 米ソーク研究所とカリフォルニア大学サンディエゴ校のアミール・ザリンパー氏らの研究グループは「1日中、高脂肪食を食べていると、腸内細菌が肥満につながる「デブ菌」に支配されかねない」と報告しています
- 年齢を重ねると腸内に炎症を起こす原因
- 英国イースト・アングリア大学医学を中心としたグループは「年齢を重ねた腸ではインターロイキン6(IL-6)と呼ばれる免疫をコントロールする炎症に関係したタンパク質が増える」と報告しています
- 乳酸菌と酵母で発酵した乳酸菌飲料の香りでリラックス
- カルピス株式会社と留米大学の共同研究グループは「乳酸菌と酵母で発酵した乳酸菌飲料の香りは、自律神経にはたらきかけ、不安感を和らげることが明らかになった」と発表しました
- 乳酸菌「PA−3株」はプリン体を減少させ尿酸値を抑制
- 東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター所長の山中寿教授の臨床検査において、「乳酸菌「PA−3株」が、プリン体を分解して、プレバイオティクス(エサ)として消費することが分かり尿酸値が抑制されたことを確認しました
- 腸内細菌は便が柔らかいと豊かで硬いと乏しい傾向
- ベルギー、ブリュッセル自由大学のドリス・ヴァンデプッテ氏らの研究グループは「便の硬さが硬くなるほど腸内細菌の種類が減少する傾向があること、逆に便が柔らかいほど腸内細菌は豊かになる傾向があると」報告しました
- 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を抑える仕組みを解明
- 近年、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を抑える仕組みを解明する研究が相次いでいます
- 腸内環境のワースト3は九州地方
- 腸内環境のワースト3は九州地方の「長崎県」「鹿児島県」「宮崎県」で「揚げ物など油っこい食べ物が多い」や「お酒をほとんど毎日飲む」と答えた人の割合が多いことがわかりました
- 低カロリーと健康的な食品で長寿が期待される
- カロリーを抑えてメタボリックシンドロームの発症を抑えることができれば、肥満や脂質代謝異常、高血圧、糖尿病などの発症を抑え延命効果が得られ、10年後の健康度が1.5倍高くなることが報告されました
- 難病指定の多発性硬化症と腸内フローラの関係
- 国立精神・神経医療研究センターは、多発性硬化症患者の腸内フローラについて解析を行った結果「細菌叢構造の異常、特に特定の細菌で著しい減少がみられることを明らかにした」と発表しました
- 子どものぜんそくの原因 腸内細菌の多様性が低い
- カナダ・ブリティッシュコロンビア大学の研究機関は「ぜんそくになるリスクが高い子どもは、生後数か月間に一部の重要な腸内細菌が不足している可能性がある」と発表しました
- 潰瘍性大腸炎 便微生物移植療法の実施病院
- 便微生物移植療法とは、潰瘍性大腸炎などの患者の2親等以内の健康な家族から提供された便を患者の腸内に直接注入する治療法です
- 皮膚の常在菌叢 皮膚フローラが感染症を防ぐ可能性
- 米国インディアナ大学の研究グループは、軟性下疳と呼ばれる性感染症のなりやすさについて研究した結果、皮膚の常在菌叢の皮膚フローラが感染症を防ぐ可能性があることがわかりました
- 米国に続きオランダでも糞便バンクを開設
- 慢性腸内感染症の患者の治療を目的とした最先端医学の一分野で、健康な人の糞便を貯蔵し、悪玉菌により腸内環境が悪化して体調不良などの患者への移植に使用されます。米国に続きオランダでも糞便バンクを開設されました
- 母親の食物繊維不足が子どもに引継がれ腸内環境が悪化
- スタンフォード大学の研究グループはマウスを使った実験の結果から、母親の食物繊維不足が子どもに引き継がれ、子どもが食物繊維中心の食生活に変えても腸内環境が改善しにくく腸内細菌の多様性も得られないと報告しています
- ロイコ菌が産生するEPSは乾癬の改善と脂肪蓄積の抑制
- 日東薬品工業と広島大学大学院はマウスを使った共同研究で乳酸菌「ロイコ菌」が産生する菌体外多糖EPSの経口摂取により自己免疫疾患(乾癬)の症状が緩和、また「ロイコ菌」のEPSには、腸内で多量の短鎖脂肪酸を生成させる働きがあり体重の増加を抑制することを確認したと報告しました
- たんぱく質Lypd8が悪玉菌の粘液層侵入を防御する
- 大阪大学などの研究グループは、潰瘍性大腸炎などの腸の炎症を抑えるたんぱく質Lypd8を発見したと発表しました
- 有益な微生物を単離した腸内細菌由来治療薬に期待
- 武田薬品工業は、フランスのベンチャー企業エンテローム・バイオサイエンスと共同で、腸内細菌を標的とした消化器疾患治療薬の共同開発契約を締結しました
- 腸内細菌を解析 次世代シーケンサーやメタボローム解析技術
- 山形県鶴岡市の慶應義塾大学先端生命科学研究所は、2015年2月に国内でトップレベルのバイオテクノロジー研究を行うバイオベンチャーのメタジェンを設立しました
- 薬剤耐性のメカニズム カルバペネムも効かない
- 医療関係者が危機感を強めている薬剤耐性菌は、CRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)と呼ばれ、「悪夢の耐性菌」として世界の医療関係者が注目を集めています
- 長年の多量飲酒は腸内フローラが変化する
- 東北大学大学院工学研究科と久里浜医療センター、東京大学、国立がん研究センター、岡山大学、武庫川女子大学の研究グループは、アルコール依存症患者と健常者の腸内フローラを比較する研究を行い報告しました
- ロイテリ菌で夜泣きが4分の1に減少 チャイルドヘルス
- ワルシャワ医科大学小児科と兵庫医科大学小児科学の共同研究により、夜泣きや長泣きの原因である乳児疝痛に腸内細菌のロイテリ菌に改善効果があることが分かったと報告しました
- 大腸内視鏡検査前の腸管洗浄では腸内フローラに変化なし
- 糞便の保存方法について、従来の標準方法とされていた冷凍保存よりも簡便な収集方法を確立したことが発表されました
- 悪玉菌の増殖と活性化を抑えるIgA抗体を発見
- 奈良先端科学技術大学院の研究チームはマウスを用いた実験で腸内フローラの悪玉菌だけを捕らえて増殖を抑え、善玉菌はそのままにして腸内環境を整える抗体「W27IgA抗体」を発見したと報告しました
- 花粉症患者はピロリ菌除菌の失敗リスクが1.5倍高い
- 浜松医科大健康社会医学講座の尾関佳代子特任研究員らは、花粉症の患者はピロリ菌除菌治療を失敗しやすい傾向があると学会誌に発表しました
- 厚労省 民間遺伝子検査を厳格化 科学的根拠と専門家設置
- 厚生労働省は、平成28度中にも民間業者が行っている遺伝子検査ビジネスのルール作りを始めると発表しました
- 人の鼻中から新たな抗生物質を生成する細菌を発見
- 抗生物質が効かないスーパー耐性菌が増えていますが、この様な薬剤耐性のある細菌と闘うための新薬開発に取り組む生物学者らが抗生物質を予想外の「人の鼻の中」から発見したと報告しました
- 糞便のゲノム解析でオーダーメイド医療へ
- 大学などの研究機関が相次いで腸内フローラのゲノム解析の研究を行い、疾患予防の糸口や個々の患者に適した薬の投与などオーダーメイド医療に期待が高まっています
- 子どもの時に抗生物質を飲むと肥満のリスクが高まる
- 米コロラド大学医学部消化器病学のフランク・スコット氏らは、研究の結果2歳までに抗生物質を3回以上飲んだ経験のある子どもは4歳時点で肥満になりやすい可能性があると発表しました
- 腸内でセロトニン生成が増えればうつ病を予防
- スペインのナバラ大学の研究チームが、うつ病ではない健康な男女を追跡調査した結果、ヨーグルトをよく食べる女性は34%もうつ病の発症リスクが低かったと報告しています
- 健康な人の尿にも細菌が存在 膀胱フローラ !?
- 米国微生物学会の学術誌に、膀胱や尿道に疾患がなく健康な女性でも膀胱や尿に生きた細菌が存在することが確認されたと発表されました
- 腸内フローラの年齢解析で健康チェック DeNAと森永乳業
- DeNAライフサイエンスと森永乳業は、2016年9月から神奈川県の平成28年度未病産業の創出に係る委託モデル事業として「腸内フローラ」をテーマにしたヘルスケアサービスの実証事業を開始すると発表しました
- 納豆菌が世界の水質汚染を改善する
- 枯草菌が河川や湖沼等の汚染や悪臭の原因となる有機物をエサにして増殖して汚染された河川や湖沼などの水質を浄化して地球環境を救っています
- 高カカオチョコレートが大腸がんを予防する可能性の研究
- 帝京大学とチョコレートの明治は共同研究により、高カカオチョコレートの継続摂取が腸内フローラを改善して大腸がんや潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD )抑える可能性があると発表しました
- 炎症性腸疾患は血液のがんを発症するリスクが高い
- 台湾・郭総合医院の研究グループは、米医学誌に炎症性腸疾患の患者は白血病など血液のがんにかかる割合が高いと発表しました
- 浜松医大学附属病院が炎症性腸疾患の患者会「フローラ」を発足
- 浜松医大学附属病院が炎症性腸疾患の患者会「フローラ」を発足しました。
- 11月24日「腸内フローラの腸!いい話」慶応大 伊藤裕教授講演
- 平成28年11月24日に「腸内フローラの腸!いい話」と題して慶応義塾大学の伊藤裕教授が講演しますのでご案内します