大腸内視鏡検査前の腸管洗浄では腸内フローラに変化なし
最新の技術で腸内フローラに生息している腸内細菌を遺伝子解析によって網羅的に調べることができるメタゲノム解析が開発されました。
腸内フローラの細菌を調べるには糞便を採取してメタゲノム解析で調べますが、その糞便の保存方法について、従来の標準方法とされていた冷凍保存よりも簡便な収集方法を確立したと国立研究開発法人国立がん研究センターと国立大学法人東京工業大学 の共同研究グループが発表しました。
同研究では、糞便の凍結保存の代わりにグアニジン・チオシアン酸塩溶液を入れた採便容器を用いて便を室温保存することで「凍結保存便」と「室温保存便」の相関係数は高く、この2つの保存法による差異は少ないことが示されましたと発表しました。
室温保存が可能になれば病院や検査機関以外の遠隔地でも精度の高い検査結果が得られることにつながります。
また、もう一つの研究では大腸内視鏡検査においては検査前に腸管洗浄剤内服によって洗浄しますが、この洗浄で腸内フローラは変動しないことが確認されたと報告しています。
筆者は、3年前の健康診断で潜血反応がでて要検査となり、生まれて初めて大腸内視鏡検査を受けました。
そして、検査結果は潰瘍性大腸炎、以降腸内環境を改善する食べ物を摂取するようにして、年1回大腸内視鏡検査を受けております。
毎回のことですか、検査当日は自宅で腸管洗浄剤を内服し腸内の物を全て排泄して病院に行き検査を受けておりますが、この時の腸内フローラはどうなるのだろうと疑問を持っていました。
検査が終わった後の食事は流動食を摂るようにしていますが、同時にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が活性化したり、善玉菌のエサとなるオリゴ糖やヨーグルトを中心に食べます。
今回の研究で、腸管洗浄をしても腸内フローラは変化しないことがわかり疑問が解消されたてスッキリしましたが、大腸内視鏡検査が腸内フローラを変えて改善する契機にならないことが分かって少し残念な気持ちでもあります。
潰瘍性大腸炎の最新の治療法として注目されている「糞便移植療法」は2親等以内の近親者の糞便を患者の家族の腸内に直接移植する治療法として知られていますが、移植した細菌が腸内フローラとして定着するには、腸管I g A 抗体の厳しいチェックを受け認められた細菌だけが腸の粘液層に引き込まれるはずです。このようなメカニズムから考えると単に糞便を腸内に注入するだけで腸の粘液層に新たな腸内フローラが定着するのか疑問は尽きないところです。
「記事参照元」
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/press_release_20160707.pdf
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