近年、乳酸菌やビフィズス菌の整腸作用や免疫力を高める作用など様々な健康効果が報告され多くの関心が寄せられていますが、乳酸菌やビフィズス菌が腸内で生成する人の体に有益な物質についても注目が集まっています。
日東薬品工業株式会社と広島大学大学院生物圏科学研究科はマウスを使った共同研究で乳酸菌「ロイコ菌」が産生する菌体外多糖EPSの経口摂取により自己免疫疾患(乾癬)の症状が緩和、また「ロイコ菌」のEPSには、腸内で多量の短鎖脂肪酸を生成させる働きがあり体重の増加を抑制することを確認したと発表しました。
短鎖脂肪酸は、食物繊維やオリゴ糖などを腸内細菌が代謝して生成される物質で、乳酸や酪酸、プロピオン酸等があり、これらの物質は腸内環境を弱酸性にして悪玉菌の活動を抑える働きがあることは知られていました。
同研究グループは既に、ロイコ菌のEPSを患部に塗ることで乾癬による皮膚炎の症状が改善されることを発表しており「ロイコ菌」が乾癬の改善に幅広く役立つ可能性があります。
「ロイコ菌」は乳酸菌の一種で正式名称は「Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides NTM048株」です。
「ロイコ菌」の菌体外多糖は「EPS」と呼ばれています。
ロイコ菌は、日東薬品が保有する乳酸菌でロイエンドウマメから単離した乳酸菌で、独特のネバネバ物質「EPS」を多く作り出す特徴があります。
「記事参照元」
乳酸菌が産生する多糖に自己免疫疾患(乾癬)の症状を緩和する効果を確認
乾癬とは
慢性の皮膚炎で、皮膚が赤く腫れて盛り上がり、その表面に銀白色のフケのようなかさぶたが付着して、ぼろぼろとはがれ落ちる皮膚の疾患です。
免疫機能が異常状態となることにより、炎症を起こす細胞が活性化して毛細血管が拡張することで皮膚が赤みを帯びた状態になります。
自分自身の身体に炎症を引き起こしてしまう「自己免疫疾患」であることが近年の研究で明らかになりました。日本国内の患者数は10万人(1,000人に1人)以上と推定されます。
ロイコ菌の菌体外多糖EPSが脂肪蓄積を抑制
ロイコ菌の菌体外多糖EPSが腸内細菌によって代謝されると酢酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸が生成されます。
この短鎖脂肪酸によって脂肪酸受容体GPR43が活性化され、体重の増加が抑制されると考えられます。
「GPR43」とは
GPR43は、短鎖脂肪酸受容体と呼ばれ、ビフィズス菌や乳酸菌が食物繊維やオリゴ糖を代謝して生成される短鎖脂肪酸と特異的に結合する物質のことです。
GPR43は、脂肪組織や免疫系組織に多く存在している物質で、Gpr43の 遺伝子欠損マウスを使った東京農工大学大学院の実験では、体重、脂肪重量の増加などの肥満傾向を示し、逆にGPR43 を過剰に発現させたマウスでは痩せの傾向を示めすことが明らかになっています。
「記事参照元」
東京農工大学大学院のマウスを使った「GPR43」の実験
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