脂肪酸の健康効果


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脂肪酸足りていますか?
 
脂肪酸のバランスは取れていますか?
 
脂肪酸は私たちの体に不可欠な物質ですが、摂り過ぎも良くありませんし、バランスも取る必要があります。
 
脂肪酸の構造は、炭素と酸素、水素だで構成されています。
 
脂肪酸には分類方法がいくつもあって混乱してしまいますが、炭素、酸素、水素の結合の仕方や炭素の数の違いによっても分類されています。
 
ここでご紹介する「奇数脂肪酸」、「中鎖脂肪酸」、「DHA」などの脂肪酸、そして「ビタミンB12」は、さまざまな研究の結果、疾患の予防や健康増進に深く関与していることが解明されています。

 

「奇数脂肪酸」は抗がん作用

 
奇数脂肪酸 
 
「奇数脂肪酸」は炭素の数が奇数の脂肪酸です。
 
ちなみに、オメガ3脂肪酸の「3」は、炭素の数ではなく、化学構造式の端から数えて最初の炭素の二重結合が3番目にあることから命名されています。オメガ3脂肪酸の「3」が奇数だから奇数脂肪酸ということではありません。
 
奇数脂肪酸は、動物の肉に比較的多く含まれていますが、特に牛や羊などの反芻動物の肉や乳に多く含まれています。
 
また、チーズや牛乳にも奇数脂肪酸が含まれています。
 
魚や卵にも微量含まれていますが、野菜や穀物には奇数脂肪酸は含まれていません。
 
牛や羊などの反芻動物はエサとなる牧草を食んで消化器官の微生物によって奇数脂肪酸が生成され、筋肉や乳脂肪の成分の一部となります。
 
マウスを用いた研究で、この奇数脂肪酸には抗がん作用があることが分かっています。

   

「中鎖脂肪酸」はアルツハイマー型認知症の予防

 
中鎖脂肪酸 牛乳 
 
中鎖脂肪酸は炭素の数が8〜12程度の脂肪酸です。
 
中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸よりも代謝が速く、内臓脂肪になりにくい特徴があります。
 
長鎖脂肪酸は炭素が13以上の脂肪酸で炭素鎖が長くなるほど水に溶けにくくなります。
 
また、脂肪細胞を小さくして、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンのアディポネクチンの分泌量を増やして糖尿病の予防が期待されています。
 
小腸から比較的速く吸収されて肝臓に運ばれ分解されてエネルギーとして消費され体内に蓄積しにくい中鎖脂肪酸は母乳や牛乳、パーム油、ココナッツオイルに多く含まれています。
 
中鎖脂肪酸はケトン体を合成します。
 
脳の関門を通過できる脂肪酸はDHAのみですが、ケトン体も脳の関門を通過して脳のエネルギーとして活用されます。
 
アルツハイマー型認知症で脳神経細胞がブドウ糖を活用できなくなる症状ではケトン体が有効な脳のエネルギー源となります。
 
認知症の患者を対象にした研究で、中鎖脂肪酸を投与したグループで認知機能が向上した結果が得られています。
 
また、ケトン体は血中濃度が高いほど、学習や記憶能力が高くなるといわれています。
 
中高齢者では学習や記憶に関連する遺伝子が不活発になっていることが多く、中高齢になったら、糖質を減らしてケトン体を合成する中鎖脂肪酸の多い食事をすることが良さそうです。
 

「DHA」は糖尿など生活習慣病予防

 
DHAの健康効果 
 
マグロやブリ、サバ、イワシなどの青魚に多く含まれているDHAやEPA、人の体に必要な必須脂肪酸であり、様々な健康効果があることは広く知られています。
 
DHAは、同じオメガ3脂肪酸のエゴマ油やアマニ油などに含まれているα-リノレン酸を摂取すれば体内でも合成されます。
 
日本人は昔から魚を多く食べてきたため、体内で合成されるDHAが欧米人に比べて低いといわれています。
 
近年の欧米化した食事ではDHAが不足していると考えられますので、積極的に摂取すべきだといえます。
 
DHAやEPAの不足は、がんや糖尿病、アルツハイマー型認知症などの生活習慣病の発症率が高まることがわかっています。
 
研究の結果、DHAは脂肪酸の中で、唯一脳の関門を通過して脳神経細胞に到達して、脳の働きを高めアルツハイマー型認知症の予防効果があるこが分かっています。
 
また、DHAには、がんにかかりにくい体質にすることが報告されています。
 
他にも抗がん作用として、がん細胞の増殖及び転移の抑制、腫瘍血管新生の抑制、がん細胞の細胞死の復活、抗がん剤の感受性の亢進、などの報告があります。
 
さらにDHAは脂肪酸の中でも粘性が低く細い血管内にも入りやすく、血管の炎症を修復して動脈硬化の予防効果があることも分かっています。
 

DHA不足が視力低下や男性不妊を招く研究結果

 

 

 

国立国際医療研究センター研究所などのチームは、マウスを使った実験で体内にDHAがなくなると視覚や生殖機能が失われることを解明しています。
 
動物の体を作る細胞膜は、リン脂質という脂質が集まってできていて、眼球の内側にあって光を感じる網膜の視細胞や精子の膜には、DHAを含んだリン脂質が豊富に存在しています。
 
DHAは必須脂肪酸であり、体内で作り出すことができないため、食べ物から摂取しなくてはなりせん。
 
DHAを含む膜が作られないマウスの網膜では、目に入った光を電気信号に変える視細胞の一部の形が崩れていて、網膜に光を当てても電気信号が発生せず無反応で、ほぼ視力を失っている状態だったと報告しています。
 
また、DHAを含む膜が作られないマウスでは、採取した精子の90%が奇形で、精子の頭部に余分な物質が付着し、卵子に侵入するための先端部分が折れ曲がっているため、通常のマウスではほぼ100%成功する方法で5匹のマウスについて人工授精を試みたが、全て失敗したと報告しています。

 

常に摂取する必要があるDHA

 

以上の研究結果から「マウスで起こったことは人でも同様のことが起こると考えられるため体内でDHAが不足すると、視力低下や男性不妊の原因になる可能性がある」と指摘しています。
 
また、研究所の菱川大介上級研究員によると、DHAは摂取し続けないと体内で必要量が維持できないので、青魚やサプリメントからDHAを直接取ることが効果的だと思われると話しています。
 
「記事参照元」
 
「国立国際医療研究センター」 
 

「ビタミンB12」は神経代謝を活性化して認知症予防

 
脂肪酸 しじみ 
 
アルツハイマー型認知症の患者の脳内には代謝機能が低下して奇数脂肪酸が蓄積していることが分かっています。
 
この代謝に関係するビタミンB12の欠乏が原因で、高齢になると消化管からのビタミンB12の吸収が低下するからです。
 
ビタミンB12の補給によって神経細胞の代謝が活性化し、脳内の奇数脂肪酸が本来の代謝に使われることでアルツハイマー型認知症予防の効果が期待されます。
 
ビタミンB12は、貝類のシジミやアサリ、すじこ、海藻類では焼き海苔、味海苔、牛レバー、豚レバー、鶏レバーなどに多く含まれています。
 
 
食事はバランスよく摂取することが重要です。
 
以上のように「奇数脂肪酸」、「中鎖脂肪酸」、「DHA」などの脂肪酸と「ビタミンB12」を含む食品をバランス良く摂取することで健康維持増進に役立てましょう。


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