脂肪酸の健康効果と摂取量


このエントリーをはてなブックマークに追加   


 
脂肪酸 ココナッツオイルの危険性 
 
ココナッツオイルのダイエット効果や健康効果がテレビや雑誌で紹介されています。
 
ココナッツオイルは良いことばかりで、危険性は全くないのでしょうか。
 
ココナッツオイルの産地はフィリピンやタイ、インドなどの東南アジアです。
 
インドでは、昔から伝統療法のアユールヴェーダの治療薬としてもココナッツオイルは活用されてきました。
 
ココナッツオイルは25℃以上で透明な液体ですが、それ以下になると白っぽくなって固まりはじめ、20℃以下では白い固体になります。
 
20世紀後半にココナッツオイルは、お肉の脂身やラードなどと同じ常温では固体の飽和脂肪酸のであるため、摂取を控えるべきだとする考えが広まって敬遠されました。
 
脂肪酸は炭素と水素、酸素が鎖状に結合したものです。
 
これらの結合の仕方や長さによって分類され名前がつけられています。
 
ココナッツオイルは結合の長さが中くらいの中鎖脂肪酸に分類されています。
 
中鎖脂肪酸は構造的に炭素の数が8個から12個の脂肪酸です。
 
多くの脂肪酸は長鎖脂肪酸ですが、特に中鎖脂肪酸であること自体が健康に効果をもたらすと報告されています。
 
脂肪酸の中でも中鎖脂肪酸はめずらしく、ココナッツオイルのほかにも母乳や牛乳にも多く含まれています。
 
中鎖脂肪酸は産まれたばかりの赤ちゃんをウイルスや細菌などから防御するために母乳に含まれていると考えられています。
 
炭素の数が8個から12個程度の中鎖脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸などがあります。

 

   

脂肪酸の分類

 
脂肪酸は以下のように分類されています。
 

 

〇不飽和脂肪酸(常温で液体)

 

 ▼多価(体内で合成不可)

 

   ◇オメガ3系脂肪酸 α-リノレン酸    エゴマ、アマニ
     EPA(エイコサペンタエン酸)     青魚
     DHA(ドコサヘキサエン酸)      青魚

 

   ◇オメガ6系脂肪酸 リノール酸     サラダ油、ゴマ油、大豆油

 

 ▼一価(体内で合成可)

 

   ◇オメガ9系脂肪酸 オレイン酸     オリーブオイル、菜種油

 

〇飽和脂肪酸(常温で固体)           肉の脂、バター、マーガリン、ココナッツオイル

 

 
ココナッツオイルは植物性の脂肪酸でありながら、動物性の脂肪酸に似ています。
 
ココナッツオイルの特徴は、常温では固体の肉の脂やバターと同じ飽和脂肪酸ですが、炭素の数が8個から12個の中鎖脂肪酸を60%も含んでいることです。
 
また、エゴマ油やアマニ油、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸と比べてココナッツオイルは飽和脂肪酸であるため熱や酸化に強く、常温で2年程度も使用することが可能です。
 
ちなみに、炭素の数が7個以下の脂肪酸を短鎖脂肪酸といいますが、短鎖脂肪酸は食べ物から腸内の細菌であるバクテロイデスが生成する脂肪酸で体に有益な酪酸やプロピオン酸などが知られています。
 
中鎖脂肪酸も長鎖脂肪酸に比べると分子量が小さいため、消化酵素の力を借りなくても消化吸収されるため消化器官に負担をかけずに素早く体内に吸収され、肝臓でエネルギーに変換されます。
 
中鎖脂肪酸は体内でケトン体に変化しますが、効率よく脳や神経、体の細胞のエネルギー源となります。
 
中鎖脂肪酸は消化吸収が早いので、脳の満腹中枢が刺激されて満腹感を感じやすくなり、食べ過ぎを減らして摂取カロリーを減少させたと報告されています。

 

   

ココナッツオイルが代謝を上げた報告

 

中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の空腹に与える影響を比較した研究では、食事の中鎖脂肪酸の割合が高いと食事の量が減り、摂取カロリーも減少したと報告しています。
 
また、中鎖脂肪酸は、エネルキーを消費する代謝が向上することが報告されています。
 
しかも肥満の人ほど代謝が向上し、ほぼ一日も上昇した状態を示す結果が得られたとされています。

 

お肌の乾燥や老化を抑える報告

 

皮膚の表面は皮脂膜でおおわれバリアとなって保湿されていますが、加齢や紫外線、ストレスなどによって皮脂の分泌が減少し、乾燥肌やシワの原因になります。
 
特に加齢に伴ってお肌の弾力性を保持しているコラーゲンやエラスチンが減少してシワやほうれい線の原因となります。
 
活性酸素は老化の原因物質といわれていますが、中鎖脂肪酸が分解されて生成されるケトン体には体内の活性酸素を無害化する酵素を活性化する働きがあると報告されています。
 
また、中鎖脂肪酸はビタミンやミネラルの吸収を高めてお肌の乾燥を予防し傷んだお肌を修復する作用があるとされています。
 
ケトン体は、ブドウ糖の代わりに脳や神経などのエネルギーとなる物質で認知症の予防効果が報告されています。
 
ケトン体は血中や肝臓に蓄えられたブドウ糖が消費されて使いきらないと合成されません。
 

 同じ食品の食べ過ぎは問題

 
以上のように、ココナッツオイルの健康、ダイエット効果が報告されています。
 
一方で、ココナッツやココナッツオイルを常用している東南アジアの地域では肥満者や脂質異常症が多く、LDLコレステロールが高く動脈硬化指数が高いという調査結果も報告されています。

 

どんな食べ物も食べ過ぎると健康被害があると考えた方が無難です。
 
ココナッツオイルにはダイエットやお肌に効果があるようですが、ココナッツオイルも食べ過ぎには問題があります。
 
植物性の脂肪酸ではありますが、常温で固体となる飽和脂肪酸ですので、性質として肉の脂やラード、バターと同じです。
 
ひとつの脂肪酸に偏らず、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸など、さまざまな脂肪酸をバランスよく摂取することが最も重要です。
 
テレビや雑誌などで、良い部分だけが強調されるため消費者は鵜呑みにして飛びつくことが度々ありました。バナナや納豆などお店の商品が売り切れ状態になったことをご記憶の方も多いと思います。


このエントリーをはてなブックマークに追加   


 

スポンサードリンク

 

関連ページ

「オメガ3系脂肪酸」高齢者認知症の予防に効果
必須脂肪酸のオメガ3系脂肪酸はアルツハイマーなどの高齢者認知症の予防効果が確認されており積極的に摂取しましょう
青魚のオメガ3系脂肪酸の過剰摂取に注意
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取バランスが重要です。汚染された青魚の過剰摂取に注意が必要です
オメガ3系脂肪酸は脂肪を燃焼し生成を抑える
オメガ3系脂肪酸には脂肪を燃焼して生成を抑制する作用があります
オメガ3系脂肪酸のアンチエイジング作用
オメガ3系脂肪酸のアンチエイジング作用があることが解明されています
オメガ3脂肪酸が大腸がんの死亡リスクを下げた研究
オメガ3脂肪酸が大腸がんの死亡リスクを下げた研究のご紹介
脂肪酸のバランス大丈夫?中鎖・奇数・DHA、ビタミンB12
脂肪酸の中でも「中鎖脂肪酸」、「奇数脂肪酸」、「DHA」をバランスよく摂取し、「ビタミンB12」の摂取することでがんやアルツハイマー型認知症を予防しよう

若返り法 健康的にやせる 基礎代謝を上げる 免疫を高める 危険な習慣 認知症を予防 腸内環境を整える