老人性認知症の予防進行対策


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認知症の方との接し方や対応

 

認知症は家族のサポートが必要 

 

認知症の中核症状

 

認知症の中核症状とは、「記憶障害」のほかに、時間や季節、今いる場所などが分からなくなる「見当識障害」や仕事や物事を手順通り行うことが出来なくなる「実行機能障害」などがあります。
 
これらの症状は、認知症の初期の方のほぼ全員にみられる症状ですが、脳の細胞が壊れることで発症することが分かっています。

 

 

記憶障害

認知症は進行すると「失認」といって見たり聞いたりしたことの意味がわからなくなります。
 
また、言葉が出なくなる、言葉の意味がわからなくなるなど「失語」の症状があらわれます。
 
その他にも「同じ話を何度もする」、「物をなくす」などの回数が増えていきます。
 
特に物をなくしたことを「取られた」と妄想し暴言や暴力に発展するこどもめずらしくありません。

 

見当識障害

時間や日時、場所などがわからなくなる、目前の人との関係や続柄がわからなくなりますなどの症状があらわれます。
 
記憶障害とともにアルツハイマー型認知症の特有の症状です。
 

 

実行機能障害

物事を順番に行ってやり通すことが出来なくなります。

 

 

▼ご家族の接し方・対応

記憶の低下や見当識障害は主にアルツハイマー型認知症でみられる代表的な症状です。
 
ご家族の中には、進行の予防やトレーニングなど良かれと思って、毎日「今日は何日?昨夜は何を食べた?」などと聞いているケースもあります。
 
しかし、認知症の人は分からないことを急に聞かれ、答えられないとパニックになったり、大きなストレスにもなります。
 
本人は、家族から日付も分からない人だと思われていると悩み気持ちが沈む原因にもなります。
 
例えば、「そろそろお雛様を飾りましょうか」、「サンマが美味しい季節になったね」など季節感を感じさせる言葉を話しかけましょう。
 
問う形式ではなく、思い出させてあげましょう。

 

   

 

認知症の周辺症状

 

認知症の人と寄り添うことが大切 

 

認知症には、認知症の中核症状をとりまいている「周辺症状(BPSD )」があります。
 
周辺症状には、睡眠障害、幻覚、妄想、徘徊、暴力、不安、食行動異常、介護拒否、抑うつ状態などがあります。

 

焦燥

認知機能の低下によって、不安や戸惑いが増大してイライラなどにつながります。
 
この時に周囲が責めたり、嘆いたりすると更に焦燥感が増大し、抑うつ状態が強くなりますので、注意が必要です。

 

▼ご家族の接し方・対応

本人に寄り添って、少し手助けをしましょう。そして、出来たことをほめてあげましょう。

 

△睡眠障害

睡眠中の眠りの浅いレム睡眠時に見た夢を実際に行動に移してしまうレム睡眠行動障害を起こします。特にレビー小体型認知症では良く見られる症状です。

 

▼ご家族の接し方・対応

寝つくまでの安心感を与えるために添い寝をしたりするのも効果があります。
 
ひとりで寝ることの不安を抱えていることが多いです。例えば、幻聴や幻視、昔の体験を思い出して怖くなっている場合もあります。
 
本人に不安の理由を聞き、その内容を決して否定せず、家族が一緒にいることを伝え「鍵をかけたから大丈夫」などと安心をさせましょう。
 
対応が難しい場合は専門医に相談しましょう。

 

幻覚

実際には存在しない物が見える幻覚症状があります。
 
特にレビー小体型認知症に多く見られる症状です。
 

▼ご家族の接し方・対応

家族など周囲の人は、否定しないことが大切ですが、暴力などの危険が伴う場合は、すぐに医師に相談しましょう。

 

妄想

認知症の初期には、人に物を取られたと思い込む「物取られ妄想」がみられます。
 
また、配偶者が浮気していると妄想して暴言や暴力につながる事があります。
 
更にいるはずのない同居人と暮らす妄想もあります。

 

▼ご家族の接し方・対応

孤独からの不安で妄想や嫉妬がおこります。
 
本人の運動機能に問題がなければ、一緒に外出するなど極力一緒に過ごすようにしましょう。

 

徘徊

 

認知症の周辺症状である徘徊 

 

夕方になると自宅に居るのに家に帰ろうとする「夕暮れ症候群」や同じ場所をウロウロしたり、遠くに出かけてしまい迷子になることもあります。
 
同じ時間に同じ場所を歩こうとする徘徊は「前頭側頭葉変性症」の代表です。
 
強制的に座らせたりしても収まらないので少し散歩をするなどして気持ちを紛らわすなどが効果的です。

 

▼ご家族の接し方・対応

本人の自宅であってもなくても、居心地が良ければ居たいと思うはずです。
 
ご本人が家の居心地が悪いと感じていて、別の場所に行きたいと思っている可能性もあります。
 
ご家族は、本人につらくあたってしまったなどがなかったかを考えてみて、心当たりがある場合は改善して様子をみましよう。

 

暴力

周囲とのコミュニケーションがとれなくなると情緒が不安定となったりして、何かのきっかけで暴力に及ぶこともあります。

 

▼ご家族の接し方・対応

認知症が進行すると、自分の気持ちや考えを言葉で表現することが難しくなり、怒りや不満が暴言や物を投げたり、叩いたりの暴力となって出やすくなります。
 
こんな時、ご家族は本当に大変ですが、暴言や暴力には理由があります。
 
このような状況になった時は。素直に「悪かったね」、「ごめんなさい」と伝えることが大切です。
 
また、暴力や暴言が収まらない場合は、反論せずにその場を離れましょう。
 
暴言や暴力が頻発したり、危険が生じる時は専門医に相談しましょう。

 

不安

認知症の初期には、認知症に対して自覚症状があり不安を感じるようになります。
 
不安が焦りや怒りにつながったり、妄想や抑うつ状態を起こすこともあります。

 

食行動異常

食事を拒否する拒食では食欲の低下や胃腸障害が原因の場合もあります。
 
満腹中枢の異常により食事を何回もしようとすることもあります。
 
認知症が進行するとティッシュペーパーや花などの食べ物以外の物を口にする「異食」が目立つようになります。

 

▼ご家族の接し方・対応

周囲の口に入れると危険な物は取り除きましょう。
 
「異食」が見られたら食べられるものと交換しましょう。「異食」の対応は難しいので専門医に相談しましょう。

 

介護拒否

着替えやオムツ替え、入浴の手助けなどで体に触れられることを嫌がったり、介護士に不信感をいだいていることもあります。

 

性的逸脱

日頃のふれ合い不足の寂しさや妄想などから性的な言動が増えることがあります。
 
具体的には、卑猥な言葉を発したり、下半身の露出や異性に突然抱きつくなどの行動を起こすこともあります。

 

▼ご家族の接し方・対応

本人に恥をかかせないような対応が必要になりますが、困難な場合は専門家に相談しましょう。

 

抑うつ状態

医師から認知症の告知を受けると気持ちが落ち込み、やる気も無くなって抑うつ状態になることもあります。

 

認知症に似ている抑うつ、せん妄
抑うつ状態やせん妄は認知症とは違うので区別することが大切です。
 
抑うつ状態は、気分が落ち込み、注意力が低下する状態がみられます。
 
また、せん妄では、軽い意識障害があり、混乱した状態がみられます。
 
いずれも、認知症の症状に似ているため、医師でも間違うことがありりますので注意が必要です。

 

▼ご家族の接し方・対応

認知症の人と家族がうまく暮らしている家庭では、少々失敗があってもとがめたり、指摘したりせずに大らかに対応し、出来る限り本人にやってもらって最低限の手助けしかしないようです。
 
本人も、いちいち言われないので気持ちの負担も少なくなり、リラックスできるので脳の働きも活発となって会話が成立することも多くなるようです。


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