腸内フローラの乱れは糖尿病を悪化させる
腸内環境と健康は深い関係にあることが知られてきましたが、腸内フローラが乱れると糖尿病を悪化させることが分かってきました。
腸内には、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌とブドウ球菌やウェルシュ菌などの悪玉菌、大部分を占める日和見菌などで構成されています。
この構成のことを腸内フローラと呼んでいますが、これらの3種類の腸内細菌のバランスが乱れて悪玉菌が活性化すると健康リスクが高まることが分かっています。
2型糖尿病患者は腸内フローラが乱れ
2014年の順天堂大学医学部の研究で、2型糖尿病患者の腸内フローラが乱れていることが明らかにされました。
腸内フローラが乱れると悪玉菌が生きたまま血中に入り込み体内に炎症を起こして血糖値を下げる作用があるインスリンの分泌が低下させるのです。
炎症は細菌やキズ、刺激物などに対して体内の免疫機能が反応して起こるもので体の正常な防衛反応です。
しかし、この炎症が過度に長引くことで体に悪影響を及ぼします。
肥満も炎症が起こりインスリンの効きが悪い
2015年に大阪大学の研究チームは、脂肪に炎症を引き起こすタンパク質を発見し脂肪の炎症が糖尿病の原因となることを解明しています。
この研究では肥満になると脂肪組織で炎症が起こり炎症に関係する物質が体内に増えることでインスリン の効きが悪くなることを報告しています。
食物繊維配合の薬でインスリン分泌量増加
米国のベンチャー企業では腸内フローラを利用して糖尿病を治療する研究が進んでいます。
この研究では腸内細菌の善玉菌が産生する短鎖脂肪酸がインスリンの分泌に関与していること突き止めています。
短鎖脂肪酸が減少するとインスリンの分泌が減って血糖値を上昇させることを報告しています。
そこで腸内フローラに短鎖脂肪酸をつくる細菌を増やすため食物繊維を配合した薬の開発がすすんでいます。
既に臨床試験が始まり、食物繊維を配合した薬を飲ませた患者と飲ませなかった患者の食後のインスリン分泌量を比較した結果、細菌を増やす薬を飲んだ糖尿病患者の方がインスリンの分泌量が増加する結果が得られています。
腸内フローラの乱れを整える食べ物
高脂肪、高タンパクの食事は悪玉菌のエサになるといわれています。
悪玉菌が元気になると腸内の環境がアルカリ性になって腸内フローラが乱れる原因になります。
腸内フローラを整えるには善玉菌であるビフィズス菌のエサになるオリゴ糖や食物繊維などの食べ物が必須です。
善玉菌が増えると酢酸や乳酸などの短鎖脂肪酸が産生されて腸内の環境が酸性になり悪玉菌の活性化が抑えられ腸内フローラを整えることができます。
腸内フローラを整える食べ物
機能食品 |
食べ物 |
オリゴ糖 | 玉ネギ、ゴボウ、白ネギ、アスパラガス |
食物繊維 | 海藻、こんにゃく、納豆、野菜、きのこ |
乳酸菌 | チーズ、ヨーグルト、みそ、漬物、甘酒 |
酵母菌 | ワイン、日本酒 |
こうじ菌 | みそ、しょうゆ、米酢 |
納豆菌 | 納豆 |
表中には、日本酒やワインなどのアルコール類もありますが、飲みすぎれば、せっかくのメリットもなくなって体と精神にも悪影響が及びます。
日本酒なら一合、ワインであればグラス二杯程度を目安にしましょう。
糖尿病の予防のためにも、腸内環境を整えることが必要です。
毎日食べるものに意識をはらって、腸内フローラのバランスを善玉菌優位に整えましょう。
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