高齢者に多いリビングや寝室 予防と対策
厚生労働省の報告では、2010年の猛暑で熱中症による死者数が1745名にのぼり、そのうち65歳以上の高齢者が80%にも達しています。
今後も地球の温暖化やヒートアイランド現象、高齢化が進むことなどから熱中症患者や死亡者の増加が予想されています。
高齢者の場合、熱中症を発症すると重症化するケースが多く、特に部屋や庭先などで発症しています。
統計では、高齢者の熱中症は居間・リビングが最も多く、続いて寝室、しかも就寝中である夜に多いことがわかっています。
意外にも寝室で熱中症が多い要因は、昼間に屋根が太陽の熱を吸収し熱伝導によって熱がこもって夜に天井面の温度が上昇するため室内温度も高くなるのです。
更に就寝中は適切な室温管理が困難であることから寝室での熱中症が多い要因となっています。住宅内での熱中症には十分な注意が必要です。
高齢者の熱中症が多い理由
高齢者は気温の上昇に対する感知機能が低下しているため1年を通して気温が急に高くなる時季に熱中症を起こすケースが増えます。
特に梅雨の合間など突然気温が上昇した日、梅雨明けの蒸し暑い日、涼しい季節に暑さがぶり返す日などは、発汗の感受性が低下している高齢者の熱中症が多くなっています。
高齢者に熱中症の重症化が多い原因として体温の調節機能が年齢とともに低下することがあげられます。
高齢者は皮膚温度の感受性も低下しているため若者より高温の環境に気づきにくい点があります。
また、冷房に慣れていないため身体の冷えを嫌がったり、節電や節約を理由に我慢をする傾向もみられます。
高齢者の熱中症 予防と対策
温度計の設置
以上のように、皮膚の温度センサーが鈍化して、冷房に慣れていないため熱中症を多発させる原因になっているといえます。
マンションのコンクリートのベランダの表面温度は50℃にもなり、窓や壁の温度は放射熱によって上昇するため室内の温度も高くなります。
高齢者は、部屋に温度計を設置して室内温度をこまめにチェックして、部屋を27℃から28℃に保つようにしましょう。
1.ベランダには、すだれやよしずを設置して直射日光を遮断する。
2.部屋には温度計を設置して27℃から28℃を維持する。
3.昼間より部屋の気温が上昇するので夜はエアコンを使用する。
熱中症 高齢者の口のかわき感と水分補給
高齢者は、脱水が進んでも若者と比べて水分補給率が低いことが分かっています。
これは高齢者の口のかわき感の低下と腎臓機能の低下が影響していると推察されています。
この点からも高齢者では、口のかわき感に依存せずに、こまめに水分補給をすることが進められています。
1.高齢者は口のかわきを感じにくい。
2.口のかわきに依存せずこまめな給水をする。
3.1L中に9gの塩と糖分を加えた電解質溶液を摂取する。
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