クローン病
潰瘍性大腸炎は大腸だけの疾患ですが、クローン病は広範で「小腸型」「小腸・大腸型」「大腸型」に分類されます。
主な症状は、下痢、腹痛、発熱、体重減少、全身の倦怠感などです。
下痢や下血が軽度の場合は、診断がつかないことがあります。
食事を摂ると腹痛を起すため、栄養失調でやせてくることがあり「神経性食欲不症」と誤診されることもあります。
原因不明の慢性非特異性炎症疾患で、口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位におこります。
下痢・体重減少があり、消化管X線検査や内視鏡検査で、縦走潰瘍・敷石像・アフタ性潰瘍・ろう孔形成などの症状もみられます。
クローン病の特徴として、痔ろうを合併することがあります。
痔ろうの治療で、肛門科を訪れてクローン病と診断されることもあります。
主な原因
クローン病の原因は、まだ特定されていませんが、遺伝的な要因、食生活、腸内フローラの変化などもあげられています。
最近の研究ではIgA抗体(免疫グロブリンA抗体)の関与が指摘されています。
IgA抗体は、悪玉菌を殺したり、腸内フローラを整える作用の他に、腸の粘液層に人に有用な細菌を引き込んで定着させる作用ももっています。
このIgA抗体がある一部の腸内細菌とくっつくことが分かり、この細菌が腸の炎症に関わっていることが突き止められています。
腸内細菌との関係
善玉菌の「フィーカリバクテリウム・ プラウスニッツィ」は、粘液層にコロニー(居住地)を形成しており、発酵により酪酸エステルなどを産生して腸内を酸性の環境にして悪玉菌の活性化を抑えています。
また、酪酸エステルは「短鎖脂肪酸」と呼ばれ免疫の過剰反応を抑制するTレグ細胞(制御性T細胞)を増やす作用があります。
「フィーカリバクテリウム・ プラウスニッツィ」や「クロストリジウム属」の細菌が腸内にフローラに存在しなくなると、炎症性腸疾患や肥満などの病気になりやすくなることが分かっています。
国の特定疾患
国の特定疾患に指定されているので、医療費と薬代は申請すれば補助が受けられます。
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