腸内細菌と酸素の関係を基準にした分類
腸内細菌の分類方法はいくつかあるようですが、腸内細菌と酸素の関係を基準にした分類法があり、次のように大まかに3つに分類されていますのでご紹介します。
1.嫌気性細菌
嫌気性細菌とは酸素が存在するところでは生きることができないタイプの細菌で善玉菌のビフィズス菌、バクテロイデスなどの日和見細菌全般、悪玉菌のウェルシュ菌などが代表です。
この中でビフィズス菌はわずかな酸素で棲息できるため微好気性細菌ともいわれている。
2.好気性細菌
好気性細菌は酸素のある場所を好むタイプの細菌で純粋培養の方法が発明されるまでは、このタイプの細菌が多く発見されました。
乳酸桿菌の一部や緑膿菌などが代表です。
3.通性細菌
通性細菌は酸素が存在しても、しなくても棲息できるタイプの細菌のことで純粋培養の方法が発明されるまでは、このタイプの細菌が多く発見されました。
代表的な細菌は大腸菌や腸球菌などです。
腸内細菌の研究を世界で初めて手掛けたのはオランダの呉服商レーウェンフックですが、これは17世紀のことです。
それから、約150年後に細菌の研究が本格化しました。
そのきっかけになったのがコッホが純粋培養の発明です。この発明で細菌の発見が飛
躍的に伸び多くの嫌気性細菌が発見されました。
純粋培養が発明されるまでは好気性細菌や通気性細菌が発見され嫌気性細菌の存在は確認されていませんでした。
産まれて直後の赤ちゃんは大腸菌が多い
産まれて直後の赤ちゃんの腸内は酸素があってもなくても生きられる大腸菌などが急激に増えますが大腸菌などが酸素を消費することで、腸内の酸素が無くなって嫌気性のビフィズス菌やバクテロイデスなどの腸内細菌が増えていきます。
ビフィズス菌は少しの酸素がある環境下でも生息できるので「微好気性の細菌」とも呼ばれています。
過去の腸内細菌の研究では、まず酸素にふれるシャーレで腸内細菌を培養することができる大腸菌などの好気性または通気性の細菌が最初に発見され研究されてきました。
純粋培養による細菌発見の起点
1886年にオーストリアの医者エッシェリヒが大腸菌の純粋培養に成功しました。
1899年にパスツール研究所のティシエがビフィズス菌の純粋培養に成功しました。
1900年にオーストリアのモローがアシドフィルス菌の純粋培養に成功しました。
以上のように、酸素を除去する培養設備がなかった昔は、酸素がある環境で生きられる通気性や好気性の細菌が発見されたんですね。
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