腸内フローラの基礎知識

マイクロバイオームのエンテロタイプとは

 

エンテロタイプの説明 
 
腸内の細菌の生体系全体の構成を腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)といいます。
 
腸内フローラは、国際的には腸内細菌の群集という意味からマイクロバイオーム(microbiome)と呼ばれています。
 
エンテロは「腸」、タイプは「型」ですので、「マイクロバイオームのエンテロタイプ」は、「腸内フローラの型」ということになります。
 
腸内フローラの細菌の構成は個々人によって異なり双子でも多少異なることが分かっています。
 
腸内フローラは生後からの食習慣や住環境によって形成されていきます。
 
九州大学とヤクルトはアジア地域の子ども達の腸内フローラを調査した結果、日本の子ども達の腸内細菌は善玉菌のビフィズス菌とバクテロイデス属細菌が多いことが分かりました。
 
ビフィズス菌は善玉菌の代表的な細菌でブドウ糖を代謝して酢酸と乳酸を生成します。
 
生成された乳酸は他の細菌により酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸を生み出します。
 
またビフィズス菌は、腸内環境を酸性にして発がん物質などを生成する腐敗菌のウェルシュ菌などの悪玉菌の増殖を抑制する働きがあります。
 
中高年になるとビフィズス菌は減少してウェルシュ菌が増加し腸内の老化が進みます。

 

 

 

腸内フローラの常在菌の分布によって3タイプ

 

この腸内フローラの常在菌の分布の違いによって3タイプに分けられています。この分類のことをエンテロタイプと呼んでいます。
 
腸内フローラの細菌の分布は性別や人種には殆ど関係なく食習慣が影響することが解明されており、炭水化物、蛋白質、脂肪、食物繊維などの日々摂取する食事のバランスなどに影響されます。

 

バクテロイデス属が多い1型

 

バクテロイデス属は以前は悪玉菌に分類されていましたが最近の研究ではバクテロイデス菌の中には短鎖脂肪酸を生成して脂肪細胞に脂肪が取り込まれるのを抑制、筋肉に作用して脂肪を燃焼させるなどの働きが確認され肥満を防止する作用があることが分かってきました。
このような事から、現在は日和見菌に分類されています。
 

プレボテラ属が多い2型

 

プレボテラ属は食物繊維の分解酵素が強く難消化性でんぷんや食物繊維の食習慣がある東南アジア人に多く心血管疾患の発生リスクの増大させるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)値を上昇させる作用があります。
 
プレボテラ属の嫌気性グラム陰性菌は口腔内細菌に多くみられ適切なブラッシングや口腔ケアなど歯周病の予防が重要といわれています。

 

ルミノコッカス属が多い3型

 

スウェーデン人の8割以上がこの3型で、このタイプの肥満の人の腸内フローラには、ルミノコッカス属が増加し肥満の抑制に関連しているバクテロイデス属が減少していることが明らかになっています。
 
腸内フローラにルミノコッカス属が増えると糖質の吸収と脂肪の蓄積が促進され脳梗塞や心筋梗塞などが生じやすくなるいわれています。
 
ルミノコッカス属の増殖と動脈硬化に関連する体内物質の研究がなされています。
 
 
いかがでしたか「マイクロバイオームのエンテロタイプ」、近年は世界で腸内フローラの研究が進んでいます。新たな研究結果などを参考にして健康の維持増進に必要な知識を更新しておきましょう。

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