ミトコンドリアと生物の分類
ミトコンドリアは、細胞の中にある小器官のひとつで赤血球を除いた全ての細胞に存在しています。
人の細胞は40兆個から50兆個といわれていますが、ミトコンドリアはひとつの細胞の中に数個から数千個も存在していると考えられています。
生物の分類
○真核生物 → 単細胞生物
・核がある → 多細胞生物 → 植物
・ミトコンドリアを保有 → 動物
●生物
○原核生物 → 真正細菌
・単細胞生物 → 古細菌
・核がない
・ミトコンドリアを持たない
細胞には細胞核を保有する「真核細胞(しんかくさいぼう)」と細胞核を持たない「原核細胞(げんかくさいぼう)」があります。
基本的に真核細胞にはミトコンドリアが存在し、原核細胞にはミトコンドリアは存在しません。
真核細胞で体が構成されている生物を「真核生物」といい、真核生物は動物や植物などの「多細胞生物」と菌類、原生生物などの「単細胞生物」に分類されます。例外的に単細胞生物にはミトコンドリアを持たない生物もいます。
原核細胞で身体を構成する生物は「原核生物」と呼ばれています。
原核生物は「真正細菌(しんせいさいきん)」と「古細菌(こさいきん)」に分類され、真正細菌には大腸菌や枯草菌、シアノバクテリアなどがあり、古細菌には温泉や熱水噴出孔に見られる好熱菌やメタンガスを作り出すメタン菌、高塩濃度の環境で生息する好塩菌など過酷な環境に分布しています。
ミトコンドリアの形状と色
ミトコンドリアの姿や形は中学校の理科の授業で学んだ知識が前提としてあります。
その形状は蚕の様な流線型で緑色、そして細胞の中ではあまり動かずじっとしているイメージが強いのではないでしょうか。
この典型的ともいえるミトコンドリアの形状は肝臓のミトコンドリアの形状を顕微鏡で撮影してデッサンしたものなのです。
実際には細胞内のミトコンドリアは活発に動きまわり他のミトコンドリアとくっついたり離れたりして激しく動いている様子が確認されています。
くっついたり、離れたりする行動についてはエネルギー生成する時に活性酸素の攻撃を受け傷んだ部分を修復するためだと考えられています。
電子顕微鏡や蛍光顕微鏡の開発によってミトコンドリアには存在する場所によって形状が異なる事がわかっています。
例えば、骨格筋では筋繊維に合わせるように細長い形状をしています。
心臓の細胞に存在するミトコンドリアはびっしりと詰まっています。心臓は休むことなく働き最も多くのエネルギーが必要になるため、臓器の中で一番多くのミトコンドリアが存在しています。
すい臓の細胞に存在するミトコンドリアは、他の臓器のミトコンドリアよりも太く流線型をしています。他の臓器より多くの酵素をつくりだして供給するためだと考えられています。
体のそれぞれの部位の働きや特徴によってミトコンドリアの形態や数も違っています。
次にミトコンドリアの色は、教科書などでは緑色で示されていることが圧倒的に多いと思います。
しかし、ミトコンドリアには鉄や銅の成分が含まれているため、実際には活動状態によって、赤色、青黒色、緑色などに変化する事がわかっています。
ミトコンドリアの名称と真核細胞の成立ち
1898年にドイツの科学者カール・ベンタによってミトコンドリアと命名されましたが、ギリシャ語の「糸」を意味するmitos (ミトス)と「顆粒」を意味するchondros (コンドロス)から作られた造語でした。
ミトコンドリアの名前が定着する以前には、サイトミクロソーム、サルコソーム、バイオブラストなどの様々な名前が付けられました。
現在のところ、原核生物である古細菌に同じ原核生物の真正細菌(ミトコンドリアの先祖)が入り込んで、やがて核を持った真核細胞に進化したという説が有力になっています。
真正細菌はバクテリアの仲間だと考えられており、大腸菌やサルモネラ菌、乳酸菌なども含まれると考えられています。
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