中国から飛来する大気汚染物質「PM2.5」とは

 

顕微鏡写真の微小粒子状物質「PM2.5」は髪の毛の約50分の1と微小な粒子です

(東京都のホームページより)

 

顕微鏡写真の微小粒子状物質 

 

微小粒子状物質「PM2.5」とは

 

大気中に飛散、浮遊するPM2・5は、粒子状物質(Particulate Matter, PM)のうち、直径2・5μm(マイクロメートル :マイクロは100万分の1)以下の総称です。

 

ディーゼル車や工場の排ガスや石炭の暖房によるすす成分で硫黄酸化物や窒素酸化物など多くの有毒な物質を含んでいます。

 

日本の環境基準では、大気1立方メートル当たり1日平均35マイクログラム以下、年平均15マイクログラム以下とされています。

 

日本で、PM2.5の環境基準が策定されたのは2010年で、アメリカの1997年、ヨーロッパの2008年と比較しても遅れています。

 

日本で環境基準が策定されるきっかけとなったのは、東京大気汚染訴訟で原告になった患者の要求が受け入れられたことです。

 

2002年に東京都知事の会見でディーゼル車から排出されたペットボトルの黒い粉塵を撒き散らす石原慎太郎都知事の姿をご記憶の方もいるでしょう。

 

この時はまだPM2.5の名称は使われていませんでしたが、この時の黒い粉塵こそがPM2.5だったのです。

 

日本ではその後排ガス規制が法制化されてディーゼル車は無くなりました。

 

しかし、ここで注意しなければならないのは、中国から飛来するPM2・5のみに関心が高まっていますが、実際には東京都心の交通量の多い環状7号線や環状8号線、日光街道などの沿線の観測所では2月の測定で50μg前後のPM2.5の数値が観測されています。

 

前出のように日本の環境基準では1日平均35マイクログラム以下、年平均15マイクログラム以下とされていますが、東京都の年平均値であるある地点では年平均で19.1μgの数値を観測しています。

 

年平均が環境基準値を超えている原因は、中国からの飛来が大きな原因ではなく、国内自体の環境汚染が進んでいるということです。

 

「PM2.5」対策マスクをしましょう

 

昔から、黄砂と呼ばれ中国のゴビなどの砂漠の砂が強風に舞い上げられ、上空の偏西風に流されて海を渡り、日本に飛来してきています。

 

特に西日本ではその季節には空が黄土色に染まり車や窓ガラスに黄砂が積もる現象もおきます。

 

中国からの大気汚染による日本への悪影響が懸念され、毎日ニュースで報道され、国民の大きな関心と問題になっています。

 

中国とは日本海を挟み陸地は離れていても空は世界一つなので、残念ながら大気汚染を中国国内に閉じ込めておくことは出来ません。

 

中国国内では、大気汚染により視界が悪く車は昼間でもライトをつけて走行しています。

 

病院では、呼吸器疾患の患者で溢れかえっています。

 

中国の人口の約半数である6億人が被害を受けているとの調査も発表されました。

 

北京大学の発表によると、2012年に「PM2.5」が原因の死者が北京・上海など主要4都市で、年間8,000人にのぼったとしています。

 

北京市内の薬局では、PM2.5に有効だとされるマスクが売り切れになっています。

 

現状では、一方的に飛来してくる「PM2.5」や「黄砂」を防ぐための対策は、@外出を控える、A高機能マスクをする、B部屋に空気清浄機を設置する、くらいしかありません。

 

花粉とPM2.5、インフルエンザ対応グッズのご紹介

 

微小粒子状物質PM2.5は、花粉と比べても小さく軽量であるため長期間空中を舞っています。

 

空気清浄機は数分でこのPM2.5の集塵、除去に優れた効果を発揮します。

 

マスクは顔との隙間から有害物が侵入しますので、顔に密着しつつ、かつ呼吸しやすく口の部分が立体的な構造の製品がお薦めです。

    

大気汚染のピークは3月から6月

 

大気汚染のピークは3月から6月

 

 

最も懸念されている健康被害として、浮遊粒子状物質(SPM)である「PM2.5」を吸入すると慢性気管支炎や気管支喘息だけでなく、塵肺症(じんぱいしょう)や肺がんを発症する可能性が高くなります。

 

日本の大気汚染基準値は「35μg/?」に定められていますが、1月の中国では「1000」が観測され、2月に入っても「500」が続いています。

 

日本の主要都市にも汚染物質が飛来しており、昨年まで基準値を大幅に下回る「15」であったのが、東京でも練馬や板橋で基準値を超える「50」などの数値が観測されています。

 

埼玉にある国際環境化学センターでは、大気をフィルターを通して濃度を測定していますが、フィルターが黒くなる日が増えているそうです。

 

環境省では、測定値点を現在の2.3倍、1230箇所新たにに増やして観測体制を強化しています。

 

これからは、酸性雨などの被害も予想されていますので、雨の日は濡れないように注意が必要となります。

 

酸性雨は、森林などの植物を枯らせてしまうことも危惧されています。

 

汚染物質は花粉症の発症を早めたり、悪化させる原因になるとも考えられています。

 

中国からの大気汚染物質は、本格的には3月から梅雨の始まる6月の偏西風に流されて日本へ飛来してきますので、スギ花粉の飛散が終わる頃に今度は中国の大気汚染の被害がピークを迎えることが予想されます。

 

露天物の野菜などに食物に対する汚染も気になるところですが、調理する前に十分に洗い流せば大丈夫だそうです。

    

N95、R95、P95タイプのマスクはPM2.5対策として有効です

 

N95、R95、P95タイプのマスクの数字の95は、0.1〜0.3μmの微粒子を95%以上除去できる性能もっている防塵マスクという意味になります。

 

一般に最も流通している高機能「N95タイプ基準」のマスクならPM2.5対策として大丈夫です。

 

2.5とは、2.5μm以下の微小粒子状物質の総称です。

 

体内に吸引すると肺の奥まで入り込み血管に浸透していくと言われています。

 

環境省では「ただちに健康被害が出るわけではない」としていますが、PM2.5の性質として水に溶け辛く内蔵に長く留まってぜんそくや肺がんといった呼吸器系の疾患や心臓など循環器系の疾患をも引きおこす可能性があります。

 

安全のためには、PM2.5の数値が高い日は外出を避けたほうが良さそうです。

 

また、外出するときは、「N95タイプ」のマスクを着用することが推薦されています。

 

外出すると時に個人的にできる予防策は今のところマスクを着用するしかありません。

 

国内のマスクの消費量も前年と比較すると約3倍の24億枚となっているようです。