自己免疫疾患を知っておこう

円形脱毛症の原因と治療法

 

円形脱毛症になった元同僚

 
給料が低いとの理由で、給与の高い会社に転職した元同僚に久しぶりに会いました。
 
彼は、独身で一人暮らし、より生活を豊かにしたいという理由で転職し約半年経っていました。
 
転職先の仕事は、社長から指示される事を次々とこなして行かなければならず、特定の決められた仕事がないけど、期間を定められるため、徹夜作業になる事もあり、とてもハードで精神的にも辛いと聞かされました。
 
そして二箇所に円形脱毛症が出来てしまい、その部分を見せてくれました。
 
髪を逆なですると、後頭部に地肌があらわになった円形脱毛症が二箇所ありました。
 
本人は、かなりのショックを受けており、退職も真剣に考えているようでした。
 
仕事で体力的や精神的なストレスがかかったのが、原因であることは間違いないと思いました。
 
円形脱毛症は、最近の研究で自己免疫疾患の一つと云われています。

 

円形脱毛症の原因は自己免疫疾患

 
自己免疫疾患の代表的な病気には、橋本病に代表される甲状腺疾患であるバセドウ病や皮膚の色が部分的に抜けて白くなる病気の尋常性白斑があります。
 
花粉症や各種アレルギーも自己免疫疾患と云えます。
 
円形脱毛症は免疫機能が毛根の細胞を異物だと認識して激しく攻撃することで、健康な
髪の毛も抜け落ちてしまうのです。
 
よって、重度の肉体的、精神的ストレスが加わると、本来正常に働いている免疫機能に何らかの異常が生じて起こることになります。
 
ストレスの場合は、別の脱毛要因も考えられます。
精神的なストレスが加われば、交感神経が優位に働きます。リラックスとは反対の状態ですので、脈が上がり体温も高くなります。
 
つまり、精神的ストレスを受けると、ストレスに対抗するために交感神経が活発に動きます。
このストレスが終焉すれば良いのですが、長く続くと交感神経が異常を起こすことで、血管を収縮させるため頭部への血流が悪くなるため、毛根への栄養補給も十分に行き届かず脱毛が起こると考えられます。
 
円形脱毛症は、前出のバセドウ病や尋常性白斑などの自己免疫疾患を併発する場合があります。
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円形脱毛症はアトピー性疾患も併発

 
また、円形脱毛症の約半数の人が、アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎を併発しています。
 
これらの免疫系の疾患は、遺伝的な要因も強い傾向にあることが解明されています。
 
大規模な調査によると、円形脱毛症が遺伝的要因で発症することが分かっており、血縁関係が近いほど発症率が高い事も分かっています。

 

 

 

円形脱毛症の主な治療法

ステロイド外用剤の塗布

 
皮膚疾患の薬として使われているステロイド外用薬は、使用方法によりその効果は違ってきます。
 
また、ステロイド外用薬は副作用を考慮しておく必要があり、医師の指導のもと使用方法を守りましょう。

 

塩化カルプロニウム、ミノキシジルなど育毛外用剤の塗布

 
塩化カルプロニウムは、頭皮の毛細血管を拡張して、毛根への栄養補給を促してスムーズにする効果があります。円形脱毛症や悪性脱毛症などに効果があります。
 
日本皮膚科学会では、「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない成分」との評価をしています。
 
日本皮膚学会では、ミノキシジルとフィナステリドを推奨度が高い薬としています。
 
塩化カルプロニウムを2%の含有率である「カロヤンガッシュ」は市販薬として薬局で取り扱いされています。

 

グリチルリチンなど経口育毛剤の服用

 
製薬グリチロンは、グリチルリチン酸・グリシン・メチオニンを配合した医薬品です。グリチルリチン酸は、漢方薬の甘草から得られる成分です。
 
このグリシンとメチオニンは、育毛に必要なアミノ酸の一種で髪の主成分のケラチンの材料になる物質です。

 

経口ステロイド剤の服用

 
経口ステロイド剤は、根気強く治療を受けていく必要があります。
 
また、経口ステロイド剤の投与は、長期に及ぶ場合には副作用に注意する必要かあります。
 
処方前に医師から副作用の詳しい説明と、対処方法などを確認しておく必要があります。

 

 

患部の冷却療法

 
患部を氷点下80度のドライアイスや氷点下196度の液体窒素で冷やすことで軽い凍傷を起こして、凍傷に対する免疫作用を有効にすることで、脱毛症状に関係する免疫作用を弱める方法です。
 
治療は、週に一回程度、僅かな時間ドライアイスをつけたり、液体窒素はスプレーにより行います。
 
免疫作用を凍傷に向けて、毛根への攻撃を弱める方法と云えます。
 
日本皮膚科学会は、冷却療法は約70%の有効率があるとしています。
 
ただし、臨床的なデータは無いようです。

 

局所免疫療法

 
難治性の円形脱毛症に用いられる治療法で、脱毛部分にかぶれを引き起こす化学物質を塗布し誤った自己免疫作用を抑える力を引き出すと考えられています。
 
明確な機序は分かっておりませんが、約60%の有効率があるとされています。
 
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでも難治性の円形脱毛症については推奨されています。
 
局所免疫療法は、二週間に一度の通院で、うっすらと赤くなる程度に局所免疫療法の薬剤を塗布して治療をすすめます。
 
いずれの治療も効き目には個人差があり、即効性が低く長期間根気よくに治療に取り組む必要があります。