白癬菌を退治して完治する方法
水虫にいちど感染すると自然に完治することはありません。
水虫の原因である白癬菌は増殖力が強いため、感染すると状態は次第に悪化して、ますます治りにくくなります。
治療しても頑固でなかなか治らないのが水虫の特徴です。
注意することは頑固な水虫に感染しないように予防することが最も重要です。
水虫に感染しないためには感染経路を断つことが大切です。
つまり、白癬菌に接触しない事が基本です。
皮膚に白癬菌が付着した時は24時間以内に洗浄して洗い流せば感染から逃れることができます。
なぜなら、白癬菌が皮膚についても菌糸を伸ばし角質層の中に入り込むに時間がかかるからです。
しかし傷口から白癬菌が侵入した場合、すぐに感染してしまいます。
ですから、少しの傷にも注意を配る必要がありますし、手や足に傷を受けたときはカットバンなどで白癬菌などの細菌を防御しましょう。
白癬菌はどこにも生息しています。
例えば、水中や土の中、当然のことながら床や畳にも生息しています。
白癬菌には数十の種類があるとされており全体として白癬菌群と呼ばれています。
白癬菌は人の体の部位でも以下の病型があります。
1.頭部白癬(しらくも)
頭部白癬は白癬菌が髪の毛に感染し脱毛を起こすこともあります。
毛穴に白癬菌がすみつくと毛穴が赤くはれることで周囲の髪の毛が抜け落ちることがあります。
主に小児に多くみられる白癬菌ですが高齢の女性にもみられます。
犬や猫などのペットが保有している「犬小胞子菌(ミクロスポルム・カニス)」や「トンズランス菌」など家庭に侵入しやすい白癬菌に感染して起こります。
頭部白癬の症状は感染部分が赤く腫れるほか、鱗屑と呼ばれるフケが発生しボロボロとはがれ落ちたり、患部の毛髪が抜けやすくなる場合もあります。
放置して悪化すると、白癬菌が皮膚の奥まで侵入して膿疱が生じて脱毛が進みケルスス禿瘡になります。
発熱や悪寒などを伴う場合がありますが、治療によって患部は正常化して髪の毛も生えてきます。
2.体部白癬(ゼニたむし)
手足や陰股部を除いたお腹や背中などの胴体の皮膚に生じる白癬菌で足の水虫にかかっている人が放置すると体部白癬を起こす場合があります。
足の水虫をかいた手で体の他の部位をかくことで感染が広がります。
例えば、多汗症の方や肌を不潔にしている方、寝たきりや基礎疾患を持っている方なども体部白癬を起こしやすい傾向があります。
体部白癬では感染初期は小さな斑点がポツンとできてかゆくなります。その後広がって硬貨ほどの大きさになり環状の大きな斑点が隆起して水泡や丘疹となる症状がみられます。
犬や猫、ウサギなどのペットから感染する「犬小胞子菌」や「トンズランス菌」が原因の場合は、かゆみが強く感染部分が鮮明な紅斑が多発します。
ペットの毛にムラやハゲがある場合は白癬菌に感染している可能性がありまので、人の治療とともにペットの治療をしなければ感染が続き完治しません。
ペットなどの動物から感染した白癬菌の方が激しい症状が起こるといわれています。
ペットの白癬菌は人との親和性が低いため強い免疫反応が起こり症状が重度になるようです。
3.陰股部白癬(いんきんたむし)
蒸れやすく湿度が高い陰股部は白癬菌が好み増殖する環境です。
よって、陰股部は白癬が発生しやすい部位となります。
陰股部白癬は、主に股の付け根やお尻、腿にも感染が広がります。
陰股部白癬は不潔にした男性が感染するという概念がありました。
しかし、最近では女性の陰股部白癬が増えています。原因は通気性の悪いナイロン製の下着やパンティストッキングで、蒸れて白癬菌が増殖しやすい環境になっています。
恥ずかしい部位であるため受診が遅れて悪化するケースが多いといえますが、放置すると患部が広がり色素沈着を起こすこともあります。
また陰股部白癬は運動などによって体温が上昇すると患部の痒みが増す傾向があります。
陰股部でも陰のうは皮膚の角質層が薄く、抗菌力の強い特別な脂肪酸があるため白癬菌は感染しにくいといわれています。
4.足白癬(水虫)
足白癬は最も多くの人が感染しています。白癬患者人口の約65%を占め日本人の20%から25%が足白癬といわれています。
足白癬には 「趾間型」、「小水疱型」、「角質増殖型」に分類されます。
趾間型足白癬
「趾間型足白癬」は足の水虫で最も多い症状です。足の薬指と小指の間の股に一番多く発症します。
趾間型足白癬に感染した部分は皮膚がふやけて白くにごり、皮膚がむけてふやけが広がります。
女性に多いのもこの趾間型で夏冬問わず広がっています。
冬場、女性はブーツを多用するため足が蒸れて感染が広がる原因になっていると考えられています。
症状が進行すると硬くなってウオノメのように痛みがでることもあります。
趾間型では足の指間が特に蒸れて湿度が高くなるためできやすい部位です。
◎乾燥型 → 皮がむけてカサカサする。
◎湿潤型 → 皮膚がふやけてかゆみが強い。
小水疱型足白癬
「小水疱型」の症状は、土踏まずや足の裏、側縁、足の指に虫刺され様の小さい水泡がポツポツとできます。
水泡は集中的に発生したり散らばって発生したりします。
足の裏は皮膚が厚いため水泡は破れにくいため水泡がしぼむまで時間がかかる傾向があります。その後皮膚が乾燥して水泡部分の皮膚が乾燥して褐色に変色して皮がむけて自然治癒することもあります。
しかし、治癒したと思ってもすぐ隣に水泡ができ、範囲も広がる症状が小水疱型足白癬の特徴です。
春先から夏場にかけて悪化しやすく進行するにつれてかゆみが強くなります。靴の上からかきたいくらいに辛いかゆみがあります。
小水疱型足白癬の症状はあせもに似ているため治療を間違えて、逆に悪化させる場合がありますので注意が必要です。ちなみに、小水疱型足白癬は足の甲にはできません。
角質増殖型足白癬
「角質増殖型」は、かかとを中心に足の底全体の皮膚の角質が全体的に厚く白っぽくなりボロボロとむけたり、ひび割れを起こすこともあのます。
高齢者に多く加齢による免疫力も低下で悪化することがあります。
足の水虫を手でかくことで手にも感染してブツブツの水泡ができてかゆみがでますが、慢性化すると足と同じように手の角質層が厚く、シワが深くなり皮膚がボロボロとむけることもあります。
これらの手の症状は手荒れと勘違いしやすく、間違ってステロイド剤を塗ると白癬菌はこれを栄養源にして活発になります。
手に感染した白癬菌は一年を通してあまり変化がないため水虫と気づきにくい点があります。
角質増殖型の白癬は水虫が慢性化した状態といえます。この状態になると足や手に膨大な白癬菌が広がって巣くっていると考えられます。
乾燥による肌荒れと勘違いして治療が遅れ家族にうつしやすい水虫です。
5.爪白癬
爪白癬は、爪の中に白癬菌が感染した状態です。白癬患者人口の約20%といわれています。
爪が分厚くなる他、爪の色が白や黄色に濁ったり、白い線が現れたり、また変形もみられます。
初期は爪の周りの皮膚から白癬菌が入り込み、爪の中に侵入します。かゆみや痛みなどの症状がでないため水虫とは気づきにくい時期です。
爪の表面は硬いため白癬菌は侵入することができませんが、爪の周囲の皮膚から侵入して爪の下層は柔らかくて水分を含んでいる部分に入り込みます。
爪白癬になると爪の下層からボロボロとむけて濁った黄色に変色します。
爪が水虫になることを知らない人も多く治療が遅れる要因なっています。
女性の場合、爪が黄色く変色したとを恥ずかしく思ってマニキュアを塗る人もいますが症状が悪化して治りにくくなります。
爪白癬を放置すると爪が変形して歩くたびに激痛が走る場合もあります。爪白癬を完治させなければ、他の水虫が治っても再発を繰り返しますので注意が必要です。
爪白癬は足の爪に起こる事が多いのですが、まれに手の爪にも起こります。
水虫感染の予防
家族にひとり水虫の感染者がいると他の家族に感染する可能性が高くなります。
水虫がうつらないためにも直接皮膚に接触する物の共有を止めましょう。
自宅で別にする物
1.室内用スリッパ
2.風呂の出入り口のバスマット
3.手洗い後はタオルの共用をやめてティッシュペーパーにする
公共の場所
不特定多数が利用する運動施設では特に注意が必要です。プールやお風呂、サウナ、シャワーなどの設備を利用する際には利用後に足や手を十分に洗い、靴下は足を完全に乾燥させてからはきましょう。
ペットからの感染する
犬や猫などのペットは「犬小胞子菌」を保有している可能性があります。
ペットからの白癬菌感染を避けるためには犬の散歩後には念入りに足を洗いましょう。
土の中にも白癬菌が生息しています。
出来る限り犬の散歩で草むらなどは避けましょう。
水虫はしつこく一度感染すると治りにくい疾患です。水虫はカビです。軽く考えて放置すると思わぬ事態に巻き込まれます。すぐに治療して、早めに完治させましょう。