健康診断の数値の見方、読み方
健康診断とは
健康診断の種類には、大きく三種類あります。
1.企業や団体などの事業者が、実施する労働安全衛生法に基づいた「一般健康診断」
2.学校が生徒を対象に学校保健安全法に基づき実施されている「定期健康診断」
3.医療保険者が行う「特定健康検査」
健康診断は、医学検査であり、健康状態の評価、特定の疾患に関して発症者や発症が予測される人を選別する医学的手法のことでスクリーニングともいいます。
また、法定検診とは違い、受診者が検査項目を選択して実施する場合は、日帰り人間ドック、総合がんドック、脳ドックなどの人間ドック検査が行われています。
検査における基準範囲
健康診断などで、検査結果に対する評価が行われますが、基準になっている数値と範囲は、過去には「正常範囲」と呼ばれていました。
「正常範囲」から外れた場合に「異常」であり病気であると誤解を招く恐れがあるため、1995年に米国臨床検査標準委員会(NCCLS)から指針が出されて、「正常範囲」ではなく、「基準範囲(reference interval)」が使用されるようになりました。
基準範囲とは
健常者を120例以上を集めて母集団として、各検査項目の検体採取条件や測定方法及び、統計処理方法を統一し、対象とした健常者の測定値の分布の中央の95%を含む範囲を基準範囲に採用しています。
ただし、健常者のうちで、検査値に影響を与える、生理的、病態的な変動があるものは、除外されます。
基準値に範囲が設定されている要因として、@測定における方法、器具、技術の変動、A性差、食習慣、運動習慣、年齢などの個人的特性、B季節、食事、運動等の個人の変動等があるからです。
例え、基準範囲から外れても、病気と判断することはできないし、基準範囲内でも、必ずしも健康と判断されるわけではありません。
病院によって基準範囲が異なる
基準範囲は、国の統一基準はありません。
それぞれの医療機関や医療関連団体が、独自に一定数以上の健常者の検体の測定値から設定されています。
基準範囲は、基準値の分布の95%を含む範囲と定義されています。
よって、健康診断をした医療機関によって、基準範囲に違いがあります。
容量の単位、読み方、意味
健康診断などの検査の基準値は、検査する医療機関や施設などによって異なる場合があります。また、測定値の単位も違うこともありますので注意しましょう。
下表を参考にしてください。
容量
記号 |
読み方 |
意味 |
l | リットル | 1L |
dl | デシリットル | 10分の1L |
ml | ミリリットル | 100分の1L |
μl | マイクロリットル | 100万分の1L |
nl | ナノリットル | 10億分の1L |
重量
記号 |
読み方 |
意味 |
kg | キログラム | 1000g |
g | グラム | 1g |
mg | ミリグラム | 1000分の1g |
μg | マイクログラム | 100万分の1g |
ng | ナノグラム | 10億分の1g |
pg | ピコグラム | 1兆分の1g |
濃度・割合
記号 |
読み方 |
意味 |
g/dl | グラム・パー・デシリットル | 液体1dl中の物質の重さ(g) |
mg/dl | ミリグラム・パー・デシリットル | 液体1dl中の物質の重さ(r) |
μg/dl | マイクログラム・パー・デシリットル | 液体1dl中の物質の重さ(μg) |
μg/ml | マイクログラム・パー・ミリリットル | 液体1ml中の物質の重さ(μg) |
ng/ml | ナノグラム・パー・ミリリットル | 液体1ml中の物質の重さ(ng) |
pg/ml | ピコグラム・パー・ミリリットル | 液体1ml中の物質の重さ(pg) |
U/L | ユニット・パー・リットル | 液体1L中の物質の量(慣用単位) |
U/ml | ユニット・パー・ミリリットル | 液体1ml中の物質の量(慣用単位) |
IU/L | 国際単位・パー・リットル | 液体1L中の物質の量(国際単位) |
IU/ml | 国際単位・パー・ミリリットル | 液体1ml中の物質の量(国際単位) |
その他
記号 |
読み方 |
意味 |
mmHg | ミリメートル水銀柱 | 水銀柱を押し上げる圧力 |
dB | デシベル | 音の強さ |
pH | ペーハー又はピーエイチ | 水素イオン指数(酸性度) |
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